"サボる"のも仕事のうち
September 16, 2020
暑さも和らいできましたが、気温や気圧の変化といった夏の終わりの疲れに加え、
見通しのつきづらいコロナ渦での業務や働き方に、心身にもやもやがたまっている
人もいるのではないでしょうか。
シリコンバレーに本社をもつGoogleでは、通勤時間帯に社員専用の2階建ての大型バスを走らせています。社員も多くが住むサンフランシスコからGoogle本社までは車で40分ほど。バスに乗ったと同時に出勤扱いとなり、車内のWi-Fiでさっそく仕事を開始する人もいれば、もうひと眠りする人も。車内の時間の使い方は自由だそうです。そして、会社には無料のカフェテリアにシャワールーム、仮眠室。生活が完結するのではないかと思うほどの仕組みが整っているようです。
なぜこんなに至れり尽くせりなのか?Googleで働く人に聞いたところ、サンフランシスコまでバスが送迎してくれるのも、社内でお茶ができるのも、社員が、"力を存分に発揮して働くため”。世界の巨大サービスを日々進化させるには、目の前の作業に没頭するだけでなく頭と身体を休める時間が不可欠なようです。
シリコンバレーだけでなく、アメリカでは大学のオフィスでもスタッフは息抜き上手。サンフランシスコ州立大学のオフィスでは昼休みが2時間ありましたが、一度家に帰って食事をとる人、運動する人、音楽を聞く人、集中して仕事を片づける人。時間の使い方は様々ですが、おのおのが午後のパフォーマンスを高める過ごし方をしていました。
日本でも2018年から提唱されるようになった働き方改革。幸か不幸か、コロナ渦によりテレワークや時差出勤といった働き方の多様化が加速しましたが、それにより仕事の進め方が以前と同じやり方ではスムーズにいかなくなってしまったり、理由がなければ働き方を選べないような気がしたりと、”働き方迷子”になっている人もいるのではないでしょうか。
アメリカでは、個々人が雇用先との間で交わすジョブディスクリプションと呼ばれる雇用契約書にのっとり、そこで細かく定められた業務に従事することが多いようです。自分の領域にエネルギーを集中して成果を出すことが期待される一方で、ジョブディスクリプションの内容を遂行できない場合は解雇。日本の場合は多面的に業務をこなすことが求められる場合が多いですが、その分、仕事の幅が広がるチャンスも多い。けれど、だからこそ自分でコントロールしないと、つい働き方も「空気を読んで」となりの席の人と横並びになりがちかもしれません。
本学には無料のカフェテリアや送迎バスはありませんが、在宅勤務で通勤時間を短縮し、資料づくりに煮詰まったら遠いほうのトイレまで散歩し、目がしょぼしょぼしてきたらコーヒーを片手に給湯室でおしゃべりし、業務が一区切りついたら(つかなくても)、有休を取ることで、合法的に"サボる"ことはできそうです。
働き方改革の根本は、仕事の生産性を高めること。今日はノー残業デーです。週の後半もより効率的に働くために、今日は定時で堂々と仕事を切り上げましょう。
*がんばりすぎない休み方(2018):ちょっと疲れたかな?というときのアドバイスが64個
https://bunkyosha.com/books/9784866510507
*Microsoft本社(シアトル)の社食 ※映像なので音が出ます
https://www.youtube.com/watch?v=c3zE6Rh8tVs
*Protesters Block Google Buses in San Francisco, Citing ‘Techsploitation’
https://www.nytimes.com/2018/05/31/us/google-bus-protest.html
近年、貧富の差が広がるサンフランシスコ。テック企業の象徴でもある通勤バスはこれまで何度か市民のプロテストにもあっています。
(写真:IBM)