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EqualityとEquity/平等と公正

February 17, 2021

2月も後半に入り、春の気配も少しずつ近づいてきました。年度末に差し掛かり新入生の受け入れ準備に追われている部署も多いのではないでしょうか。学生の受け入れには、部の名前のとおり、教育だけでなく学生支援が欠かせません。

ところで、東京工業大学では2020年度から奨学金に「ファーストジェネレーション枠」が創設されました。「ファーストジェネレーション(First Generation)」というのは家族の中で四年制大学に初めて進学する世代を指します。
家族が四年制大学を卒業しているかを基準に奨学金枠を設けるのは、ともすると一部の学生を優遇しているようにも見えるかもしれませんが、実は、「ファーストジェネレーション」という概念はアメリカの大学では一般的。そして、そこには"Equality"と"Equity"という考え方があります。

EqualityとEquityは、英語の字面も似ていますが、日本語では「平等」と「公正」。一見、同じ意味に見えます。しかし、Equality(平等)が、「同じものを与える」のに対して、Equity(公正)は、「同じ環境になるように与える」のが違いです。背の高さが違う3人が塀の向こうの野球を観戦するのに、3人に同じ高さの踏み台を渡す(Equality)か、3人全員が塀の向こうが見られるようにそれぞれの高さにあった踏み台を渡す(Equity)か、と例えられることが多いようです。
アメリカの大学には EOP(Education Opportunity Program:教育機会プログラム)というものがあり、歴史的に支援が行き届いていない(underserved)低所得学生、ファーストジェネレーション学生向けの入学試験や入学後のサポートも行っています。

教育機会の不均衡というと研究型大学の本学には遠い話題にも感じますが、地方学生、女子学生、ファーストジェネレーション学生、と本学へのアクセス機会が少ない学生が日本にもいます。また、当初は世間から「逆差別では」という意見もあった本学の「女子学生向けの住まい支援」もEquity(公正)の考え方。高さの違う踏み台を渡すことでバリアをなくす取り組みといえると思います。

さて、1ヶ月後には卒業と入学の季節。繁忙期を迎えている部署も多いと思いますが、今日はノー残業デーです。春に向けて力をたくわえるため、本日は早めに仕事を切り上げて頭と身体を休めましょう!

*EqualityとEquity(イラスト)
https://medium.com/@rahmiqurota/equality-vs-equity-in-education-where-we-should-start-69c81e762371

*東京工業大学:大隅良典記念奨学金に「ファーストジェネレーション枠」を創設(2019年10月4日)
https://www.titech.ac.jp/news/2019/045346.html

*教養学部報592号:家賃補助は女性優遇か?(2017.05.09)
https://www.c.u-tokyo.ac.jp/info/about/booklet-gazette/bulletin/592/open/592-1-2.html

*Education Opportunity Program (EOP) (サンフランシスコ州立大学)
https://eop.sfsu.edu

(写真:モンタナ州ボーズマン )

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