「本に出会ってしまった。 私の世界を変えた一冊」
図書館の新刊コーナーにあった、潔さを感じる真っ白な表紙とタイトルに惹かれて手に取った一冊。
本書は、20人の表現者(哲学者、画家、ノンフィクション作家、モデル、翻訳者、精神科医、書店主など)による、その人の人生にまつわる本に関する書き下ろしエッセイを収録したもの。
目次には、それぞれの執筆者のお名前と、執筆者の方がつけたと思われるタイトルが表記されているけど、肝心の本に関する情報(本の名前や、作者、出版社など)は書かれていない。
そのため、タイトルだけでどんな本についてのエッセイなのかを推理するのはなかなか難しい。
(一冊だけ、本の名前=その本の主人公の名前があるので、あの世界の名作!とわかる。)
気になる本については、それぞれの執筆者のページ表紙に挿絵と、表紙裏に本の名前と作者、初版発行の出版社とその年がさらりと記載されている。
読者はそこで初めて執筆者の人生にまつわる本の情報を知ることができ、「この本私にとっても大事な本だ」とか、「こんな本があったんだ」など、自身の読書体験を思い返しながら、20人の執筆者のエッセイの世界へ入っていく。
巻末には、執筆者一覧が掲載されているので、エッセイを読んだ後に執筆者の経歴を読んでみるのも、読者に深みを与えてくれるかんじがした。
本書は、どのエッセイから読んでも面白く、自身の読書体験や人生を振り返るきっかけにもなり、さらに、もう一度読んでみたい本やこれから読んでみたい本が見つかるという、読書好きにはうれしい内容であり、読書という体験のすばらしさを改めて感じることができる一冊だった。
本との出会いそのものが物語になるとしたら、本の数やその本を読む人の数だけ物語が産まれる。なんて果てしないんだろう。
本は自分の世界をほんの少しでも広げてくれるし、見たことのない景色も見せてくれるから、できるだけたくさんの本をこれからも読み続けていきたい。
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