ひとり親家庭の中学生を応援するSTEAMワークショップ”Tech STAR Camp”とエリックゼミがコラボレーション

ひとり親家庭の中学生を対象にしたTech STAR Campワークショップ。一般社団法人日本ワーキングママ協会(東京都港区、代表理事 大洲早生李)が主宰しているこのワークショップではAI時代を見据えて、教育・進学において悩みを抱えるひとり親の中学生を対象にSTEAMの思考を取り入れたプログラムを通して、次代を担うイノベーティブリーダーを育成することを目標にしています。昨年は、私自身のクリエイティブ思考も取り入れイラストレータや美大生をファシリテーターにする新しいワークショップをデザインし、子供たちのアイデアをさらに発展させるワークショップを米国・シリコンバレーで実施しました。

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(reference:一般社団法人日本ワーキングママ協会 http://wm-univ.com/)

今年は、ボストンを拠点として活発な活動を展開しているJWLI(The Japanese Women’s Leadership Initiative)からの助成をいただきAsia Society やOECDが提唱するGlobal Competenceのフレームワークグローバル・コンピタンスをベースにワークショップをデザインしました。また、新型コロナウイルス感染症の影響により対面のワークショップからオンラインのワークショップ開催となりTech STAR Campはオンライン化へと進化しました。

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(reference:The Japanese Women’s Leadership Initiative https://jwli.org/
 : Asia Society https://asiasociety.org/))

Tech STAR Campでは、プロジェクトに共感する親以外の大人、例えばイノベーター、メンター、専門家や大学生がサポーターとなって支援するエコシステムを形成しています。ワークショップのコンテンツについては、私エリックがグローバル・コンピタンスモデルをベースに、イノベータやメンターと議論を繰り返し作成しました。また今回は、グローバル・コンピタンスを使った議論のベースとなるテーマを青山学院大学エリックゼミの学生が”フードロス”を取り上げ、プレゼンテーションの資料からワークショップの流れまでをチーム一丸となって作り上げました。実施は3日間のプログラムで、8/2(日)、8/9(日)、8/10(月祝) 9:00-12:30に開催しました。

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(Reference : エリックゼミ http://ericmatsunaga.jp/seminar-member/)

まずプログラム設計は、”世界で起こっている問題を知り、皆で何か行動を起こす”ことをゴールとし、
1.起業家の話を聞く(mymizu共同創設者ロビン敬・ルイス氏)
2.グローバル・コンピタンスについて起業家の話を通して学ぶ。
3. ”フードロス”についてグローバル・コンピタンスを用い新しいアイデアとその実現の為のアクションについて考える。
というプロセスで進行させます。各セッションはファシリテーターのアイスブレイクと説明、グループセッションから最終的に全体での発表とディスカション、そしてファシリテータの取りまとめという基本的な流れにデザインしています。

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(Reference : mymizu https://www.mymizu.co/)

グローバル・コンピタンスは、グローバルな課題の重要性を理解し、行動するために必要な多元的な知識、スキル、行動様式、価値観のフレームワークであり、4つの学習分野から構成されています。
1.世界を知ろうとする力・探究心(Investigate the world)
2.複数の視点を認識・理解する力(Recognize perspectives)
3.アイデアを多様な人に伝えるコミュニケーション力(Communicate ideas)
4.アイデアを活用して課題解決する行動力(Take action)
まずは、このフレームワークの理解と各分野の理解が日本の中学生には難しいので、頭に入りやすく議論に展開できるような語句に変え、それぞれの分野を丁寧に説明するスライドを作成し丁寧に話すようにしました。

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(Reference : OECD Global Competence https://www.oecd.org/pisa/pisa-2018-global-competence.htm)

このプログラムで一番キモとなるのが共感の部分になります。このワークショップ設計ではクリエイティブ思考のフレームワークを使い詳細なタスクの内容を詰めていきました。こだわりは”共感”で、アイデアを行動にうつすまでの全てのタスクが他の参加者との共感から生み出されるようにしています。共感とは相手を認め、敬意を払い、対応な立場で議論することを意味します。様々な能力の学生がいる中、共感を全体に浸透させる為には、学生全員の一つ一つの会話や表情を読み取り、コミュニケーションを成立させる高度なファシリテーション能力が要求されます。これはIDEOが提唱するデザイン思考のフレームワークのEmpathyに該当する部分になりますが、簡単なようで一番難しいパートになります。共感が全てのワークショップの成果を左右しますので、ファシリテーターやスタッフは、学生の変化に常に注目し柔軟に対応することが重要になります。

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(All the Copyright about Creative Thinking belongs to ONE+NATION Digita&Media Inc.  : http://ericmatsunaga.jp/onenation/)

最終日は、外部からゲストを招きプレゼンテーション大会を行いました。プレゼンテーションの一番の目的は自分の頭と体をフル回転して出てきたアイデアを自信を持って話す事です。最近の義務教育では自由な発言は教師とって邪魔なようで、欧米のように自由に発言できる環境とは言えないようです。このような環境で教育を受けている学生と想定し(もちろん自由にさせる教員もいます)、それぞれの発表において、全てのアイデアには価値があり、それを伝えるこの瞬間も素晴らしい行動なのであるということを学生に実感させることが最も重要です。本番前にグループに分かれ十分なリハーサルとファシリテーターから自信をつけてもらい本番に臨むような時間も必要です。不安を取り除く時間は決して省略してはなりません。中途半端な発表は、学生の自信を失わせてしまう可能性があるからです。

今年は、6人の中学生がオンラインで発表しました。スタッフ全員が驚くほど多様な視点での発表となり、彼らの可能性の深さとワークショップの効果を実感することができました。お恥ずかしい話ですが、子供たちの発表の途中で何度も感動で涙が出てきました。本当に素晴らしい発表でした。

テクスタ全体

Tech STAR Campでは海外で高い評価を得ている様々なフレームワークやメソドロジーを独自に分析、解釈しワークショップ設計を行っています。毎回がチャレンジであり、発見と失敗の連続から我々自身も成長していきたいと考えています。未来を担う若者をTech STAR Campは応援し続けていきます。興味をもたれたら気軽にイベントに参加していただければ幸いです。

どんな状況下でもTech STAR Campは学びと進化を止めません。

Peace out,

エリック



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