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てん菜のひみつ~砂糖になるまで~

こんにちは!
北海道だいすき、くりあです。

かなり遅れてしまいましたが、明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします~!

さて今日は、前回の続き「てん菜」についてです。
前回は歴史パートが長くて、疲れさせてしまったかもしれません‥。
今日はてん菜の生産から収穫、そして"てんさいとう”になるまでを、追っていきます!


産地

国内では北海道だけで栽培されています!
寒さに強い作物で、最適な気温は25度といわれています。

北海道はてん菜生産振興地域で、現在は十勝平野や網走管内を中心に道内総面積7万haで栽培されています。


栽培

まだ雪の多い初春に、ペーパーポットと呼ばれる資材に種を蒔き、ビニールハウスで苗を育て、雪解けを待って畑に移植します。

夏を経て成長し、収穫の秋を迎えます。
10月中旬~11月下旬にかけて収穫され、道内の製糖工場へ輸送されます。
10月中旬から製糖作業が開始し、24時間操業で翌年2月頃まで続きます。

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成分

てん菜の平均的な組成(成分)は、生育条件により変化しますが、
水分 76.0%、糖分17.0%、非糖分7.0%。非糖分には、セルロース、ペクチン等の不溶性非糖分(繊維分)と、アミノ酸、有機酸、還元糖、灰分等の可溶性非糖分があります。

ちなみに糖分は、栽培年の気温に大きく影響されます。
7~10月の最低気温が低い年は糖分が高く、高い年は糖分が低くなるといわれています。

ラフィノースベタインという成分は、糖蜜から回収することができ、機能性食品、天然食品添加物として製品化されているようです。

ラフィノース・・
天然のオリゴ糖で、ビフィズス菌増殖の効果や便秘改善にも◎
ベタイン・・
アミノ酸の一種で、高脂血症や肝機能の改善に効果があるといわれています。



ビートファイバー?

ビートファイバーは、てん菜の根に含まれ、温水で砂糖を抽出した後に残る繊維分を、食品向けに洗浄・乾燥・粉末にした天然の食物繊維です。
野菜に含まれる食物繊維の特性があり、水に不溶の食物繊維として便秘解消などのサポートになります。特に女性の味方かも♪



てん菜1つからどれくらいの砂糖に?

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てん菜1個の重量は約1,000g。
糖分は約17.0%ですから、てん菜1個から170g前後の砂糖を製造できます。この量は、コップ1杯分の砂糖に相当するようです!



砂糖になるまで

上記のとおり、てん菜には糖分(砂糖)以外に非糖分が含まれています。
てん菜から砂糖を製造するためには、その非糖分を取り除いて、糖分のみを取り出す必要があります。

➀てん菜の根を切って温水で糖分を溶かして煮詰め、非糖分のうち不溶性成分(繊維分)を除去します。

この不溶性成分は、牛のえさになります。
ちなみに葉は緑肥として再利用されます。

➁可溶性非糖分のうちタンパク、ペクチン、有機酸の一部をろ過して除去します。
➂残った非糖分はイオン交換樹脂にて吸着除去し、糖分純度の高い糖液とします。この糖液を凝縮し結晶となったものが砂糖となります。
天然100%の甘味料です!


てん菜を生で食べる?

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てん菜は生でも、加工された状態でも食卓に上ることはありません。
根を生で食べると、甘い味があり口当たりは良いのですが、あくが強く、土臭いらしいです。
根を煮込むと、煮汁があくで黒ずみ、根には土臭さが残ってやはり食用には向かないようです。

煮出した汁は黒くて土臭いですが、甘みがあり、終戦後の砂糖が貴重品だった時代には自家製の甘味料として利用したこともあったみたいです。
葉は一見ホウレンソウに似ていますが、ゆでて食べると甘みがあります。しかし、やはりあくが強いため食用にはしません‥。


自分で砂糖を作ってみる

味も効率も考えなければ、作ることはできるようです。
戦中、戦後の物がなかった時にてん菜を刻み、お湯で砂糖を煮出して、木灰を加えて不純物を沈殿させ、その上澄みを煮詰めてビートシロップを作ったという話も‥。


~作り方~
➀約1kgのてん菜を4~5mm角の軸切りにし、重量の約2倍のお湯に入れます。

水から煮ないのは、甜菜の酵素をお湯で失活させるためです。

➁しばらく70℃位のお湯で煮出し、てん菜を引き上げて軽く絞ります。
➂少量の石灰(液重量の0.1~0.3%位)をよくかき混ぜながら加えて、55℃から85℃位まで温めます。
この時、3回から5回に分けて石灰を加えると良いです。
➃放置しておくと、若干緑を帯びた黒灰色の沈殿ができます。上澄みは黄緑色を帯びた琥珀色になります。
➄この上澄みを糸が引くくらいになるまで煮詰めると、ビートシロップの完成!

味は、舌に残るえぐみがあり、ほうれん草の匂いがするようです。試したいけど試したくない‥。笑


調理方法

パン・・
てんさい糖で作ったパンは風味豊か!バターやジャムなどのスプレッドを塗らなくてもおいしく食べられます。
同時に、他の素材を邪魔しないやさしい甘さなので、好きなスプレッドを塗ったり、卵やハムなどの具材を挟んだりしてもおいしく、思い思いの楽しみ方ができます♪
黒糖パンよりもやさしいです。

肉や魚、野菜など、素材にコクや照りを与えてくれます。煮物や照り焼きを作るときにもおすすめです!

てんさい糖は、ほろ苦いコーヒーや紅茶とも相性抜群。深みが増して独特の味わいが生まれます。また、オリゴ糖を手軽に補うこともできちゃいます。


私は、家で使う砂糖は全部てんさいとうです!
「天然のオリゴ糖」につられてしまいますし、やさしい甘さなので使いやすくてお気に入りです♪
皆さんも、機会があればぜひ手に取ってみてくださいね!



・・・
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本当に始めたばかりなので、よければ皆さま応援してもらえると泣いて喜びます✨

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