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フードコンサルタント・コーディネーター・ジャーナリストが考える、依存と柔軟性が交差する時代

以前に、会社の社員の方の離職について、お話ししました。

外部委託のため、直接的な問題ではないものの、その企業へのアドバイスを行っていることから、相談を受けることがしばしばあります。
つい最近でも、従業員の方が離職するという事例が発生しました。

既に、終身雇用という考えは、とっくに消え去ったと言っても良い時代に突入したのかもしれません。

さまざまな企業とお仕事をさせていただく中で、決して良い環境ではないものの、多くの社員が長く続けている企業もあります。その多くは、圧倒的なカリスマ性を持つ社長がいて、ふと垣間見せるチャーミングさがあり、その人柄に惹かれて働いている方々です。時には無謀なことも平気で言われることがしばしばですが、それさえも後になって笑える話になることが多いです。

一方で、感情を抑え、社員をコントロールする経営者もおられました。
今の世の中、会社以外の選択肢も広がっています。その一方で、日本は慢性的な人手不足に悩まされています。それをカバーすべく、とある経営者は、いくつかの新興宗教に関わり、人を動かす術や心理を学び、社員教育に取り入れている方もいました。宗教で人を動かすというのは、非常に危険な使われ方とも言えます。信念や教義を利用して社員を依存させることで、自由な意思や判断を奪う可能性があるからです。

非常に頭の切れる方で、正直なところ、複雑な気持ちになりました。
「怒る」という人間らしい行動を決してしない理由は、本来の性格のみならず、緻密に計算された処世術を身につけようとしていること、カリスマ性がないことも重々、理解したうえでの行動に驚かされました。
当時は、どうしても受け入れられないと思っていましたが、最近では少し考え直しています。

混沌とした時代に突入している今、経営者だけでなく、日本全体がどこかに依存したい気持ちが強くなっており、それは、現代社会の複雑さや不安定さが影響していると考えられます。
宗教についての理解を深め、良い面を学ぶことが重要です。

日本は無宗教と言われていますが、日常生活の中には神道に基づく食生活が存在しています。歴史の中で反抗する人々も幾度かいましたが、その都度、排除され、最終的に残った人々の子孫が今の日本人です。つまり、日本人には、文化や歴史の影響を受けた依存傾向が根付いていると言えるかもしれません。

これまでも日本人に特徴的な心理的・社会的特性に焦点を当てた学術研究で広く議論されており、注目すべき概念の1つは「甘え」(甘え)です(土井武夫が「依存の解剖学」参照)。
甘えとは、個人が密接な関係や社会構造の中で、受動的に依存することを期待し、相手からの支援を求める心理的傾向であり、日本独自の特性とされています。

日本文化における依存傾向が深く根付いた心理的特性であると同時に、文化的に強化された規範であり、日本の社会的・個人的な相互作用を形成する上で重要な役割を果たしていることを述べられています。

従来のマーケティング手法は重要ですが、それは一つの通過点であり、昭和時代に流行した手法に過ぎないとも言えます。

現代では、明確に断言できない曖昧な部分にこそ、深く掘り下げていく必要があります
そこで最近は、クライアントに対して時には一刀両断しつつ、場面によって、少し距離を置き、見守る安心感のような存在が食の仕事をする上で重要であり、その柔軟性の有無が非常に大きな影響を及ぼすのではないかと考えています。




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