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★★★★☆『頭のいい人が話す前に考えていること』安達裕哉

考え方/話し方全般について述べる一冊。各項目が簡潔にまとめられており、非常に参考になった。
日常生活での実践を経て、本著で述べられている多くのポイントは淘汰された(自分には合わなかった)が、例えば「ちゃんと聞くこと」や「言葉に敏感であること」などは、普段の会話において最も大事なことのひとつとして今でも認識し、活用している。この本を読まなかったら、欠如していた会話力を向上させる糸口が見えなかった。個人的には効果抜群だった。

印象に残ったことを下記。

***

怒りや強い感情に囚われると、愚かな行動に走りやすい。怒っていると誰でも頭が悪くなる。冷静な方がメリットある。つまり「話す前に考える」とは、感情に任せて反応するのでは無く、冷静になることだと言い換えられる。

1.すぐに口を開かない、2.いくつかの案を考えて比較検討する。カッとなった方時は6秒待つ。その時間を稼ぐためにも、複数の案を検討する。何かを言いたくなった時ほど、逆に口を閉じる。とにかく反応しない。

頭がいいってどう言うこと?誰が決める?他者が決める。その人を頭がいいと認識する人が多いほど、その人は頭がいい人となる。ドラッカーより、知識ある者は理解されるよう努力する必要がある。

コミュニケーションの主体は自分ではなく、相手にある。どれだけ素晴らしいアイデアを持ってても、相手に伝わらなければアイデアは存在しないのと一緒。

SQは社会的知性。つまり、「他者との関係において」高い知性を発揮する能力。マーケティングなどにおいても同様。相手の欲求から考える、相手が何を求めているのか?を想像しながら生活する。他者とのコミュニケーションの中で知性を身につける。「社会的知性」と「学校的知性」を往復。

論理的思考ー立場も価値観も違う他人と考えを共有するために必要。そのために論理を組み立てる。例えば、結論を短くまとめ、理由をわかりやすく3つにまとめる。

とことん相手の立場に立って考える癖をつける。頭の良さは他人が決める。自分のやりたいことを押し通すのではなく、一旦「頭のいい人」になってみる。すると周りが話を聞き、やりたいことも通りやすくなる。

「話す前だけ」。話す前にだけ、相手の立場に立って考えれば良い。普段は自分の感覚を大切にしてOK。

賢いふるまいは、賢いふりをする事ではない。真逆。
頭のいい人は「賢いふり」ではなく「知らないふり」に徹する。

最初に発言せよ。どんな仕事でも、一番偉いのは最初に案を出す人。批判なんて誰でもできる。

信頼が生まれる瞬間ーこの人、私たちのためにちゃんと考えて「くれてる」な。
人は、ちゃんと考えて「くれてる」人を信頼する。

論破しないー人と闘うな、課題と戦え。クレーム対応をみると、仕事ができるかどうかが分かる。
勝ち負けは気にしない。議論の勝ち負けではなく、議論の奥にある本質的な課題を見極めること。

「ちゃんと考えて話す」というのは、「相手の言っていることから、その奥に潜む想いを想像して話す」ということ

話し方、伝え方の型を覚えて使ってみても伝わらない。伝わっても相手の心が動かない。つまり、型に当てはめただけでは考えたことにならない。
型に当てはめるだけでいいというのは、考える手間が省ける、という意味だが、例えばプレゼンでは終わった後の質問にうまく答えられず、ボロが出る。
信頼は、プレゼンがうまくできた瞬間ではなく、プレゼンの後の双方向のコミュニケーションによって生まれる。

ルールが大量にある会話はもはや「雑」談ではない。
落語家などの話すことが本職の人は別として、一般の人は、ちゃんと考えることができていれば、ただ考えたことを話すだけでいい。言い方には気をつけるべきだが、うまく話せる必要はない。

黙っていい、むしろ積極的に沈黙しろ。

テクニックのジレンマ。オウム返しは話し方のテクニックなのに、逆に話を聞いてないと疑われる。
「型」はあくまで、考える「きっかけ」だと捉えること。

相手に伝わらなかったのは、話し方が悪かったのではなく、考えが浅かったから、と考える。

コンサルに入ってまず「簡単にアドバイスするな」「意見を言うな」「とにかく相手に話してもらえ」と徹底的に教えてもらったと。
知識は披露するのではなく、誰かのために使って初めて知性となる。

何かを話したくなった時、「それは相手のためになるか?」の視点で考えること。勿論、相手のためになるかは話してみないと分からず、アドバイスする人は皆「相手のためになる」と思って話す。ただ、話す前に「相手のためになるか?」と立ち止まることで、知識を披露したいだけ、ただ言いたいだけの自分に気づくことができる。話す前に相手の立場に立つことで、自分を客観視できる。

話が上手になること、よりも大切なこと。承認欲求をどうコントロールするか。自分の承認欲求を抑制し、他者の承認欲求を満たすことができれば、「コミュニケーションの強者」になることが可能。その条件は二つ。
1.自信を持つこと。自尊心が低い人間は他者をうまく承認することができない。むしろ承認を必要とし、コミュニケーション弱者になる。
2.自己アピールではなく、結果で自分の有能を示すこと。他者は褒めつつ、自分は「何でもない人間です」という顔をすること。

コミュニケーション強者の思考「相手が承認を求めているのであれば、思い切り承認してやろう。逆に、私が彼に承認されるかは、私が彼に何をしてやったかによる。」人は親切にされた時、他者を承認したくなる。コミュニケーション強者は、承認欲求を満たしてもらう側ではなく、承認欲求を満たす側に回ることで、上手に信頼を得る。

●思考法。ちゃんと考える。まず,何をやめるかについて。

客観視の思考法。
少ない情報を信じ切るとバカに見える。少量の、根拠の薄い情報に依存しているように見えると、話は浅く聞こえる。肩書きが立派だからと引き合いに出すのも同様。権威がなぜこのように述べるかの理由を知らない、のに引き合いに出すのが問題。
理由を知らないのに話しているのは、他人の口を借りてもの言うだけで、自分の意見がないように見える。

確証バイアスを減らす行動。
1.あえて真逆の意見を調べる。
2統計データを調べる。
検索術。政府データで客観性を高める。(検索用語/スペース/site: .go.jpと入れる。末尾に「総研」「site: .ac.jp」と入れる。)

言葉に敏感に。
「認識のブレが少ない言葉を使え」
定義の曖昧な言葉は使わないか、定義をはっきりさせる。ちゃんと考えて話す、とは相手が受け取る言葉の意味を想像し、できるだけ定義の齟齬が出ないように話すということ。

辞書を引く。違いを明らかにする。言葉に敏感になることで、思考の解像度を上げる。

成り立ちを知る。語源を調べる。人と違うアイデアも議論も生まれる。

●整理する
物事の本質を理解できている人ー分かりやすく話せる。小学生にも分かるように。相手のレベルに合わせた説明をすること。本質を理解していないと相手のレベルに合わせて説明することができない。

「理解している」は、「整理されている」と同義。思考とは、比べる情報要素が「同じ」か「違う」かの認識をすること。人間の知覚機能は区別、同定を繰り返している。

結論から話す。
結論とは、相手が最も聞きたいであろう話。自分がしたい話ではない。過程を説明しがちだが、それは自分がしたい話。

なぜ結論から話す必要があるか。自分の話を聞いてもらうため。そのためには、まず相手の立場になって考えないといけない。結論から話す、とは相手に「聞くスイッチ」を入れる行為。

事実と意見を分ける。
質問に対し、意見と事実を分けて話す。話を深くする(自分と逆の考え、統計データ調べる)ことで、ただの感想を意見に昇華させる。

●ちゃんと聞く。
聞いているふりは簡単だが、ちゃんと聞くのは難しい。会話本のテクニックで、聞くフリはすぐにできても、ちゃんと聞くことは身につけられない。

話を聞いているのに、聞けない人。(まさに自分。。)彼らは「自分の認識できたこと」だけを切り取って話を聞いている。

自分の好きなことや興味あることだけを聞くのではなく、細部にまで耳を傾け、相手の思いを感じ取るのが「ちゃんと聞く」と言うこと。

話を聞いている時に何を考えているか。
・自分の言いたいことを考えながら聞く。ーこれは、反論したい、教えてあげたいと言うような態度。相手の話を聞いているようで、自分の話すことを考えながら聞いているので、自己中心的に見える。また、言いたいことありきなので臨機応変さがない。

・相手の言いたいことを考えながら聞く。
こっちが望ましい。まずは相手の言うことを正確に理解しようとする。そして、相手から学ぼうと言う意識で聞く。人の話をよく聞くだけで、人生は好転する。「話し手への敬意」がベースにある。

ちゃんと聞くための具体的方法。
・肯定も否定もしない。まずは相手に気持ちよく話してもらう。
・相手を評価しない。相手がそう思っている、と言う話だと割り切って聞く。
・意見を安易に言わない。相手は安心したいだけ。「その通りだと思いますよ」と伝え、まずは相手の話を全て聞き出す。
・話が途切れたら、むしろ沈黙する。こちらに何かを求めているようならば、じっと相手を見て頷く。
・好奇心を総動員する。普通の人であっても、皆何かしら面白い話があって、何かしらのプロだと言う意識を持って聞く。相手の話がつまらないと感じるなら、自分の好奇心が足りないから。

相手の話を最後まで聞き終えたら、「相手は私に何を言って欲しいのだろうか」と考える。
→褒めてほしい?共感してほしい?解決策を求めている?提案が欲しい?慰めてほしい?
ちゃんと正確に聞けていれば、相手が何を求めているかが分かるはず。

アドバイスするのではなく、交通整理する。

●質問の技術。
質問でその人の頭の良さが分かる、議論も仕事も深まる。また、教わるのも早くなる。

深く聞く技術ーコミュニケーションを取りながら一緒に思考を掘り下げることで、信頼関係を築く技術。ひとりでは気づかなかったことに気づく、これが人とコミュニケーションをとる理由。

構造化面接の質問術ー人の採用面接に使われる質問。たった5つだが、何にでも適用可能な質問術。
導入ー①過去何やっていたか、②仮に/もし
深堀ー①状況を深く聞く②状況に対しての行動を聞く③行動に対する成果を聞く

もちろん、「尋問」になっては困るので、相手の様子を見ながら、質問は小出しにすべき。基本的には相手が話している限りは、聞きに徹すること。

会話が途切れそうになった時は、これらの質問を組み合わせて繰り返すだけで、相手の話を掘り下げることができる。

仮説を持って質問することで、回答の質が変わってくる。もし私が〇〇の立場だったら、、で質問する。反対意見から仮説を立てて質問することもアリ。質問の前に、様々な角度から物事を考えて質問する。

有能な人は、有能な人に聞いて早期解決を図る。教わる技術は以下4つ。
1.質問は一つだけ聞く。
2.質問の目的(意図)を伝える。
3.ざっくり聞くのではなく、要素分解して具体的に聞く。
4.今までやったことを漏らさず伝える(どこでつまづいているかが相手に分かる)。

●言語化。
電話を嫌がるホリエモン。イーロンマスクも電話はほとんど取らない。他人とコミュニケーションをとる時、コミュニケーションコストが発生。それを嫌う。

「とりあえず」電話するのはなぜ楽か?ー「言語化」という最も労力のかかるプロセスを相手に負担して貰えるから。ー相手が時間を割き、話を聞き取り、整理し、適切に意見を述べることを強いる。

メールは、書き手がコミュニケーションコストを負担している。コミュニケーションコストとは、言葉選びや整理、書き直すことなどを内包。

もちろん電話にはメリットがあるが、コミュニケーションコストをどちらが払っているかを常に意識すること。

言語化コストをこちらから進んで負担すること。相手にはサービス精神があるな、と感じてもらえる。整理してから相手のところに行くだけでも、相手の負担は減る。

言語化とは、アウトプット全般を示すのでは。家の建設を建築士に頼む場合も、依頼者と共に語り、時間を過ごして思いを形に変えて作り上げていく、その成果が建築という形で現れる。プロは自分の思考回路を言語化出来ている。言語化無しに高度な作品をアウトプットすることはできない。たまたまうまく行くかもだが、それは一発屋であり長続きしない。

思考を深める、そして最後に良質な言語化を行う。

相手にインパクトを与えるための最終手段としての型。
「〇〇ではなく、△△である。」つまり再定義。良いもの、悪いものを比較して考えてみると再定義しやすいかも。

小並感から抜け出すには。
言語化は挨拶と似ている。本質的には「習慣」に依存する力。実践を繰り返すことで、言語化する力が身につき習慣化する。方法は以下。

1.ネーミングにとことんこだわる。名前のない物事は考えられない。ネーミングを思考の出発点にする。名前のないものに名前をつけ、その名付けにこだわる。
2.ヤバい、エモい、スゴイという語彙を貧弱にする言葉を使わない。オイシイ、ウマイも。
3.読書ノート、学びメモを書く。

頭のいい人であり続けるのが一番難しい。
わかった気になった時が一番危ない。わかった気になっている時こそ、丁寧なコミュニケーションを心がけること。

コミュニケーション力を周りに還元せよ。
大切な人を大切にできる人が本当に頭いい。

ありがとうございます!