eri.yamazaki

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マガジン

  • 記憶の現像帖

    旅や日々の記憶が時折現れる。そんなネガフィルムのような断片に光をあてて現像しておく日記。ひとまず週に一度はめくりたい。

最近の記事

橙色

陽が差した瞬間に光るチューリップ  わぁランプみたい! と思ったけれど、ランプの方がこうした瞬間を模しているのだろうと思うと、人間の方がいつだってあとなんだと思う ところで この橙色は大好きな色 好きな〇〇は?と聞かれてサッと答えられる、数少ないもののひとつ。自分の感情や好き嫌いに正直になることに肩肘張っているような今日この頃 何をどう思ったっていいのだけれど、なんでこうも感情さえ何かを気にするんだろうか まずは自分の気持ちにまっすぐでいたい、なんて思う仲春の候

    • 世代で纏う

      母方の祖父母が贈ってくれたというベビードレス。姪のお宮参りで再度活躍した。 母がとても大切にしまっておいてくれて、もう数十年も経つのに綺麗で状態が良い。 お宮参り前に、母も弟も、これを貸してもらってよいかと気にかけてくれた。私は着せてもらった側なのに、そんなふうに気持ちを汲んでくれることが優しくて嬉しかった。 晴れの日は澄んだ空で、みんなが素敵な笑顔で、本当に嬉しい温かい気持ちになった。 ふくふくの頬が可愛らしい姪っ子が、祖父母の想いも纏ってみんなに囲まれている姿には

      • 春味

        スーパーで見つけてわくわくしたタラの芽や蕗のとう 山菜が身近にある地域の方々はいいなぁ 苦味がこんなにも美味しいと感じられる、 そんな歳頃にもなったのか 美味しい山菜をいただいたからか 世界は広くておもしろい 東北の山菜と 海を越えたモーリタニアのタコ パスタ 花わさびのしょうゆ漬け、 今度作ろう #山菜 #中部 #東北 これは #タラの芽

        • 道端

          東京のど真ん中で育ったけれども、道端の小さな植物や季節の草木が好き。あ、ぺんぺん草だ、と思ってつい写真を撮った。 子どものときは、先に手に取ってぺんぺんさせていただろうに、今は懐かしむ気持ちと写真を撮ることが先にくる。 懐かしいな、って思えるだけ嬉しい気持ちなのだけれど、いつから自分の手に取ることを少し、先延ばしにするようになっただろう。 目線もなんだか高くなってしまって、ナズナ草原に大喜びしていた頃から、妙に変わった気がするな、とふと切なくなった。 植物が好きなのは

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        • 記憶の現像帖
          2本

        記事

          初雪

          ラジオはキキの姿にあこがれて聴き始めた。 最初は父の大きなボックス型の機械、次にやっぱり父が持っていた小さな携帯用。夜、特に土曜日の夜、布団に入ってこっそり聴いていた。そのまま寝てしまって、音が漏れたから、自分の秘密の時間が母にばれてしまった、なんていうことがあった(わるいことをしていたつもりではないのだけど)。 料理人になってからはさらに毎日聴くようになった。仕事時間、開店前はデスクワークのときも仕込みのときも、ずっとかかっていたから。合わせてブラックコーヒーを覚えて、自

          鏡開き

          いよいよお正月も区切り。 無病息災を祈ることはもちろんのこと、個人的には一つずつ形にしていこうという気概を示す(つもり)。 今生きてこれを考えられる有り難さも感じながら、さらに一歩進めるよう努めたい、な。 #鏡開き

          七草

          “せりなずなごぎょうはこべらほとけのざすずなすずしろ これぞはるのななくさ” 小さい頃からじゅもんのように、唄のように口ずさんでいた七草。山菜も大好きで、おかゆはほっとして、季節ものはいいなと満たす。 こんなにも心から、誰もの家族の自分の、無病息災を祈る一日になった一月七日。 #七草

          星月夜

          アイントホーフェンの自転車道を探す小旅行に出かけた。目的は、夜になると美しく静かに青碧に浮かび上がる、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホの『星月夜』が表現された光の道だ。 周辺は暗く手元に明かりがないと歩けない。ただ時折、闇のなかの小さな町の灯の間を通る列車が眩い。まるで銀河鉄道が地上に降りてきたかのようなその光景は、レンズに収まりきらない一瞬の映像だ。 ゴッホも宮沢賢治も、天文学に明るかったことや生に向き合ったこと、病床において名作を生み出していることは共通している。さらにそ

          街のクリスマス

          Edinburghでは、クリスマスシーズンになると新市街にマーケットが開かれる。観覧車や動く乗りものがやってきて、電飾を身にまとった小さな店が結集した、煌びやかな空間が登場する。スコット・モニュメントはふもとの光に圧倒されているのか、あるいは少し遠慮しているのか、夜はただただシルエットに徹する。 音楽が聞こえなくなるくらい離れた路地に入ると、静かに灯るツリーや、リースがそっと扉を飾る家々が並ぶ。オレンジ色の光は、外の冷えた空気のなかでさらに温かい。それでも、ひとがいるような

          街のクリスマス

          表現

          度々耳に響く、「えりちゃんの字はどこへいったの?」という言葉がある。お手本通りに、忠実に書いた字は何も伝えられていなかった。 今、その言葉を思い出す。きっとどこへ向かっているのか、どこを見ているのかを問い直すための警鐘を鳴らしてくれているのだろうと思う。