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街のクリスマス

Edinburghでは、クリスマスシーズンになると新市街にマーケットが開かれる。観覧車や動く乗りものがやってきて、電飾を身にまとった小さな店が結集した、煌びやかな空間が登場する。スコット・モニュメントはふもとの光に圧倒されているのか、あるいは少し遠慮しているのか、夜はただただシルエットに徹する。

音楽が聞こえなくなるくらい離れた路地に入ると、静かに灯るツリーや、リースがそっと扉を飾る家々が並ぶ。オレンジ色の光は、外の冷えた空気のなかでさらに温かい。それでも、ひとがいるような、いないような、あの静謐な雰囲気はなんだろう。

足先がじん、とするくらいに冷えるくらい歩くと、次第に部屋が恋しくなる。そろそろ帰って、ホットワインを飲みたいな、なんて思う。あ、でもその前にスーパーに依らないとワインがない。

真っ白な電光に照らされながら、ちょっと夢見心地でいたことに気づいて、苦笑いする。

(2011 Edinburgh, Scotland)

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