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星月夜

アイントホーフェンの自転車道を探す小旅行に出かけた。目的は、夜になると美しく静かに青碧に浮かび上がる、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホの『星月夜』が表現された光の道だ。

周辺は暗く手元に明かりがないと歩けない。ただ時折、闇のなかの小さな町の灯の間を通る列車が眩い。まるで銀河鉄道が地上に降りてきたかのようなその光景は、レンズに収まりきらない一瞬の映像だ。

ゴッホも宮沢賢治も、天文学に明るかったことや生に向き合ったこと、病床において名作を生み出していることは共通している。さらにその日々は生前評価されることはなく、どちらもこの世を去ってからだ。

評価なんていうものはわからない。ただそのいのちを夢中に生き、表現し続けるからこそ、心を揺さぶる力を持つものが残り輝き続けるのだろう。輝いて見えるひともいれば、闇に隠れて見えないひともいるだろう。

ひとは誰でもきっと自分に一生懸命でいられる。それだけでいいはずだ。

(Einthoven, 2016)

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