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新生活はたのしくなる、はずである

うっ、、息がしにくい。湿った密度の高い空気がまるで壁のように感じられる。うだるような暑さの中、私は様々な期待と予感に胸を踊らせて空港の外でタバコを吸っていた。到着したばかりだがすでに汗だくだ。

騒がしい道路、人々の話し声、活気あふれる雰囲気。これぞ私の求めていた雑多だけれどもエネルギーで満ち溢れる土地。
ここで何ができるだろう。
どんな人と出会ってどんな会話をするのだろう。

今まで特に何の目標もなくただただ住み慣れた居心地の良い(そういうわけでもないかな)自分が予測、そして対処できる物事が起こる範囲内で生活してきた。安全な場所、つまり洞窟の中にいた。洞窟の中は薄暗くて周囲との境目がまるで自分の外側と溶け合ってしまったように曖昧に感じられ、私は私であることを忘れてしまっているように思った。
このままじゃいやだな、と思った。私は自分と外の世界との境界を感じたかった。同時に、自分がどこまで未知の場所で頑張れるのか、自分の限界が知りたかった。

湿った密度の高い空気は場所によって様々な匂いがする。とても強い匂い。
川の側では生臭い熱帯地域の清潔ではない水の匂い。
そこら中に出ている屋台の側を通れば、鼻をツンと刺すような辛そな香辛料の匂い。知らない香草の不思議な匂い。良い匂いかと聞かれたら決して良い匂いではない。だが、なぜか元気が出るのだ。
なんか生きてるって感じがする。
自分の外枠がくっきり際立つような感じ。

人々はエネルギッシュだ。道を歩けばクラクションの音が鳴り響き、道端で大声で怒鳴りあってる?おばさんだったり、おじさんだったりがいる。もちろん若者たちもたくさん。皆少し高いトーンで早口で喋る。少し小鳥のさえずりのようにも聞こえる。

あ、ここが好きだな。

予定通りに行かないこと、イライラすることはたくさんある。むしろ前の生活をしている時よりもある。でも、いちいちそんなことで腹を立てたりしてるのがバカバカしくなってくるくらい皆自由に生きてるように見えるし何よりとても楽しそうなのだ。
自分の好きなようにします。それが1番大事なことでしょと、当たり前に思ってそうな感じ。
私もそんな風に自分ファーストで生きてみたいのである。

だから、ここに来た。
私にはまだ何もない。
でも、新生活は楽しくなる予定だ。そして、そうであるべきなのである。(半分自分への言い聞かせだが)

#新生活をたのしく

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