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レイの優しい手 ー 小さな奇跡の物語」

ある村に不思議な力をもつ少女がいました。年は5歳でまだ幼く、村に住む子供たちと遊ぶのが大好きな女の子でした。少女の名前はレイ。レイが触れるだけでたちまち病気や怪我が治ってしまうのです。

最初はそんな力があることはレイはしりませんでした。

でも、ある日のことです。いつものようにレイは村の子供たちと一緒に走り回っていました。しかし、一緒にあそんでいた男の子の1人が怪我をしてしまったのです。怪我した部分に触れた時、たちまち怪我が治ってしまったのです。そのときは不思議な力の凄さにはびっくりしませんでした。それは大したことの無い怪我だったからです。

その後も、レイは仲間たちと遊び続けました。でも、友達が怪我をするたびに、レイが触れるとすぐに治ってしまうのです。最初は気にしていなかったレイでしたが、だんだんと自分の手には特別な力があるのではないかと感じ始めました。

ある日、村の畑仕事を手伝っていた時のことです。レイのお父さんが鎌で指を深く切ってしまいました。血がたくさん出て、お父さんは痛みで顔をゆがめていました。レイは急いでお父さんの元へ走り寄り、切れた指に触れました。するとどうでしょう。傷がみるみるうちにふさがり、血も止まったのです。

お父さんは驚いて目を丸くしました。「レイ、お前...一体どうしたんだ?」

レイは恥ずかしそうに言いました。「わたし、みんなの痛いの、治せるみたい...」

この出来事がきっかけで、レイの力は村中に知れ渡りました。最初は村人たちも驚きましたが、レイの純真さと優しさに触れ、みんな彼女を慕うようになりました。病気の人や怪我をした人がいると、「レイちゃんを呼んで!」と声がかかるようになったのです。

でも、レイにはまだ分かりませんでした。なぜ自分だけがこんな力を持っているのか。ある晩、レイはお母さんに尋ねました。「どうしてわたしだけ、みんなを治せるの?」

お母さんは優しく微笑んで答えました。「それはね、レイの心の優しさがみんなを癒やしているのよ。その力は、みんなを大切に思う気持ちから生まれているの。だからレイは、その力を大切に使っていくのよ。」

それからもレイは、村の人々を助け続けました。大人になっても、レイの手は村の人々の希望の光でした。レイは決して力を自慢せず、いつも謙虚で、みんなを平等に愛しました。

人々は言いました。「レイの手には奇跡が宿っている。でも、本当の奇跡は彼女の優しい心なんだ。」

この物語は、特別な力は外見や能力ではなく、思いやりの心から生まれるということを教えてくれます。そして、その力は、みんなのためにそっと使う時、最も輝くのだと。

物語楽しんでいただけたなら幸いです。

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