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複合機のUSBポート - UX失敗写真集 vol.1
どーしてそうなるかなぁ? というUXに出会うことが度々ある。たまに写真を撮ったりしているので、せっかくだからシェアしようと思う。別にこれはそのプロダクトや会社をこき下ろしたいのではなく、なぜそうなったのか、それによって何がどう失敗しているのか、などを考えて今後のデザインに生かしたい、のです。
第1回の今日は、私の働くオフィスにあるCanonの複合機を見てみよう。コントロールパネルもまたすごく使いにくいのだけれど、今回はそのUSBポートの位置を見てみよう。
さあご覧あれ。
なぜそこに!
なぜ使いにくいのか
見つけづらい
まず、このUSBポートの位置がそもそも非常に見つけづらい。コントロールパネルではUSBに保存するメニューはあるものの、さあどこにそのポートがあるのかわからない。どこにあるというのは書かれていないし、立った状態(多くのユーザが使うであろう姿勢)ではこのポートは見えない。
挿しづらい
そして、すごく、とっても挿しづらい。机のサーフェイスギリギリにあるので、USBを挿そうとする手の甲とか指の関節とかが邪魔をしてうまくさせない。しかも、ちょっと内側に傾斜している側面にあるために、立った状態ではそのポートが見えない。体を横に倒して、あるいは屈みこんでそのポートの穴を見て、こっち向きかな? あれ挿さらないな反対かな? あれでも挿さらないな、またひっくり返す(これはUSBの仕様の問題)などしてようやく挿さる。
メンタルモデルとの乖離
多くのユーザがこのポートを見つけられないということは、つまり一般的ユーザはまさかこんなところにポートがあるとは思っていないのだ。コントロールパネルでぽちぽち作業をして、さあいざUSBに保存するか、となったときに、ユーザはそのコントロールパネル近くにポートがあることを期待するであろう。そこに見つからなければ側面や、もしくは背面をチェックするかもしれない。でもこの、ちょっと傾斜して「もうここはこのデバイスの脚ですよ」的雰囲気を出しているここにあるとはなかなか思わない。
ユーザがつけたラベルは失敗UXを見つけるキー
写真で見える通り、ユーザによって貼り付けられたラベルが、このプロダクトのUXの失敗をまざまざと物語っている。ここにこのラベルが貼られるまでに、たくさんの人たちが「ねえ、USBどこに刺すのかな?」とこの複合機のそばに座っている人に散々尋ねてきたに違いない。その人はある時点で、ラベルを貼って自分に降りかかってくる問題(仕事を邪魔される)を解決したのだ。
このように、ユーザがつけたラベルというのは失敗UXの目印であり、ユーザによる問題解決の手段なのである。
改善案 - 技術的な問題でそこにしかつけられなかった場合
なぜそこにポートをつけたのか、私にはよくわからない。デザイン担当者に聞いてみたい。もしかしたら技術的な制限があったのではないか、とも思う。
よくあるのだ、技術的にもうそれしか選択肢がない、ということが。でもそれでもUXを改善することは可能だ。どうしたらいいか考えてみよう。
ユーザをガイドする
ユーザが複合機を使うとき、大抵の場合立って使う。コントロールパネルを見ながら、ぽちぽちっと作業をするわけで、そのコントロールパネル状で、USBポートはあなたの左手下部にありますよ、と表示してやる。あるいはUSBポートそのものをもっと目立たせる。
ちなみにこのコントロールパネルはこんなかんじだ。立った状態で、デバイスをさわる前の状態。ユーザによって貼られたラベルの紙がチラッと見えるが、ポートは見えない。さわる前は、パネルは真っ暗(写真のように)。
デバイスの足元を傾斜させない
まっすぐの四角い形でいいのだ。傾斜させていることによってUSBポートが立った状態では見えなくなっている。せめて傾斜がなければ、この穴はもっと見つけやすいはずだ。
改善案 - 比較的自由に位置を決められる場合
コントロールパネルのそば
多くのユーザは立った状態、あるいは座った状態でコントロールパネルを上から見ている。USBを使う機能としてはスキャンデータの保存、あるいはデータのプリントなどで、コントロールパネルとは切っても切り離せない。そんなわけで、ぽちぽちっとやってるすぐそばでサクッとさせるべき。スタートボタンが右手にあるので、その周辺が理想的。
USBポートだよ! というのがわかりやすい表示
アイコンをつける、できれば穴は上を向いていた方が良い。見るからにここに刺すんだよ、というのを見えるように。LEDで光らせるのも良い。
ユーザによるラベルを探そう
街中で、オフィスで、ときどき見かけるユーザによるアドホックラベル。UXに関わるものとしては、見逃せない学びの機会だ。探してみよう。
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