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『金の国水の国』#今年のベスト映画


今年(2023年)の1月に、アニメ映画『金の国水の国』を見た。原作がもともと好きだったので、悪い改変をされていたらどうしようかと思っていたが、杞憂だった。原作のいいところはきちんと描き、オリジナル要素も素晴らしく、よい映画だった。映画を楽しみにしていた時間が報われるような、そんな1日だった。
今年一番面白かった映画は、『金の国水の国』だ。1月に見た映画が今年トップというのも皮肉だが、それでも面白かったのだから仕方ない。
『金の国水の国』は、敵対する国がお告げによって政略結婚を行い、しかし和解したくないゆえに花嫁花婿の替え玉を犬猫にしたことから始まる。技術者の青年ナヤンバヤルと、末娘であるサーラ姫のロマンスは美しく癒される。しかも、ナヤンバヤルとサーラ姫の外見が、いわゆるテンプレ的な美男美女ではないのが特徴的である。私は、少女漫画的な恋愛描写も、キャラクターの外見が違えばここまで印象が変わるのかと驚いた。
ストーリー自体は単純で、過去の作品と似かよっているところもある。しかし、美男美女のために描かれた物語を、特別容姿に恵まれていないキャラクターがなぞるということろに意味がある。逆に、女性向けロマンスにおけるキャラクターの外見の多様性のなさ、キャラクターを外見で判断してしまう読者への皮肉にもなっている。どんな顔のキャラクターが演じても、美しい物語は美しい。そう思わせてくれる作品だった。


#今年のベスト映画


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