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ブスがおしゃれを楽しむ引け目について

小さいころ、スカートやピンクの服を着られなかった。髪も短いおかっぱだった。女の子らしい恰好は、細くて明るいかわいい子にしか許されないから、対極にいるわたしはしてはいけないと思っていた。

エラ団子という名前は、わたしのエラ張りと団子鼻のコンプレックスをそのまま詰め込んでいる。昔から父親譲りのがっしりした体型やエラ、丸い鼻や老け顔に悩んでいた。ニンテンドースイッチで作ったMeeをアイコンにしているが、めちゃくちゃ似ている。

大学生になって化粧をするようになって、アイシャドウは決まって暗い茶色、チークやリップはオレンジを選んだ。ほんとうは砂糖菓子みたいな淡い色合いや繊細なつくりの女の子らしいものに憧れがあって、白かピンクか判別つかないような色合いのチークやリップをしたかったけど、それはかわいくてきれいで細い女の子にしか許されないと思っていたので好みと真逆のものを選んでいた。ブスだから自分の嫌いだと思う色合いがお似合いなんじゃね?って考えだった。それに、美容にこだわるのはおこがましいと思っていた。

大学3年生の時、彼氏が欲しかった時にネットで「恋コスメ」たるものが流行っていた。そのコスメを見に着ければ好きな人とうまくいったり偶然出会えたりするおまじないみたいな内容だった。
なんだこれと思いつつもとりあえずリップ、チーク、アイシャドウを揃えてメイクしてみると優しい顔をしていて感想は「いつもよりよく見える、似合うメイクってほんとうにあるんだ」だった。
それは全部淡いピンク色や多少キラキラした質感でできていて、ピンクの薄化粧なら男ウケもよくなるので恋愛に効果があるというカラクリが恋コスメだった。けれど、それ以上に恋コスメの正体はすごかった。

なんでこのコスメが似合うんだ??と不思議に思ったわたしは恋コスメをネットで調べまくった。大学の成績学科3位以内を目指し単位を落とすことはおろか授業をさぼったこともないわたしが授業中スマホで検索し続けるほど熱中した。
そしたら、どうやら人にはパーソナルカラーといって明度、彩度、黄味と青味で色を分けて自分にぴったり似合う色味を探す診断に行きついた。
わたしは明度が高く、彩度も高く、青みのある色、つまり淡くて明るくて砂糖菓子みたいなピンクが似合うタイプだった。さらに、いままで身に着けていたメイクは色が濃くて暗くて似合わない色ばかりだった。

つまり、わたしは自分に似合う色を直感で「すてきだな」と思いつつも、自信のなさゆえに「魅力的に思えない自分に似合わない色」を選んでいたのだ。ブスの業、深い。

自分に似合う色を知った後は、それに該当するコスメ選び、ヘアカラー選び、色に飽き足らず服の素材や形、ヘアスタイルも調べ現在はおしゃれを楽しんでいる。好きな色は似合う色だけど、すきな服は似合う服ではなかった。どちらかといえば、魅力的に思えない服なのでおしゃれに悩みはつきないし引け目もある。
けれど、今の引け目はブスのくせにおしゃれをしているから感じるものではなく、好きなものが似合わないから、似合うひとがうらやましいなと感じるものだ。ちょっと前向きになれた。

あしたも出社の時、ほんとうはパフ袖のブラウスにフレアスカートをはきたいのに、飾り気のないシャツにスラックスを履くんだ。そして、淡くて青みのある大好きなピンクのチークやリップを塗るんだ。

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