それぞれの都合
人はだれしも、それぞれが持つ都合というものがあるのでしょう。
私にもありますし、これを読んでくださっている皆さんにもあると思います。
しかし、互いの都合が合うことは、時として難しい場合もあります。
性別や年齢、肩書や住む場所など、それぞれが持つ、自分にとっての都合というものがあります。
私はAのようにするのが都合がいいと思っていても、それを他の人から見たら、都合が悪いなと感じ、苦虫を噛むような思いで見ている人もいるかもしれません。
だからと言って、周りの都合に合わせすぎたら、ストレスが溜まることもあるでしょう。
ですから、もしも話し合うことが出来るなら、まずは互いの都合を正直に出し合って、そこからどう近付けていくかを考えてみるといいでしょう。
共感力が高かったり、優しい人は他者の都合を優先してしまうこともあるかもしれません。
相手の気持ちがわかりすぎると、受け入れたくなる気持ちはよくわかります。
しかし、その場合は相手の都合を差し出されただけで、こちらは都合を出せていません。
ですから、お互い様にはならずに、場合によってはストレスを感じたり、何度も繰り返されれば、ストレスが溜まっていくこともあるかもしれません。
またその逆もあるでしょう。
そのため、互いに都合を出し合える関係性が望ましいとは思います。
ただ、言える時ばかりではないですよね。
相手からの都合ばっかり引き受けて、私の都合は引き出しに入ったままであれば、それはお互い様の関係性ではないのです。
まずはそれを知る必要があります。
そして、お互いさまではなければ、こちらもあちらも互いに歩み寄れるように、都合を出し合える関係性を作った方がいいかもしれません。
その時に、どちらか一方が都合を出さないとか、出せない関係性であれば、その関係はすでに横並びの関係ではなく、上下関係になっていると考えてもいいでしょう。
職場ならまだしも、親しい間柄にも関わらず、横並びの関係性ではなく、上下関係になっているのであれば、その関係性を変える努力は必要かもしれません。
また、職場など、すでに上下の関係性になっているのであれば、何も言えないことの方が多いでしょう。。
ですが、もしそうであっても相手に共感しすぎたり、感情移入しすぎる必要はないのです。
上司は上司の都合で、先輩は先輩の都合を差し出しているだけなのです。
例えば、蚊が身体に止まって刺されたとします。
その時に、あなたは蚊に共感して、
『よかったね、美味しいご飯が食べられて』と一緒に泣いて喜んだり、
『ああ、蚊に刺されるなんて、私の身体はどうしてこんなにダメなんだ』と、自分をひどく責めて、世界の終りのように絶望することはないでしょう。
蚊には蚊の都合があって、その都合を勝手に満たしているだけです。
しかし、そこには私の都合は含まれていません。
もしも、私も都合を出せるのであれば、
『刺さないで欲しい』
と訴えるはずです。
お互いに都合を出し合って、歩み寄れるなら、
『じゃあ、半分くらいなら』とか
『あまりかゆみを出さないでくれるなら』みたいに
譲歩できたはずです。
このように、相手の都合だけを出してきても、こちらが出せておらず、歩み寄りも出来ていないのであれば、相手の都合に対して反応しなくてもいいという事です。
反応しないという事は、先程の蚊の時と同様に、感情をいちいち出さないでいい、ということです。
それは共感しないという事でもありますし、巻き込まれないという事でもあります。
そして、距離を離すという意味もあります。
共感しすぎたり、巻き込まれ過ぎると、互いの感情がごっちゃになってしまうこともあります。
どんなに仲の良い間柄であっても、家族であっても、私は私で、あなたはあなただからです。
相手を所有することは出来ず、私にできることは私の事だけなのだと、改めて気付き、
そして、互いに都合を出し合い、歩み寄れるような、自立した関係性を作れたらいいですね。
私たちが出来るのは、横に並んで一緒に歩くことだけで、相手を背負って歩くことではないのかもしれません。
いかがでしょうか。
今日もお読みいただきありがとうございます!