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生存20日目 2020/05/09

<心のバリアフリー>

ワシには夢がある。社員全員が統合失調症患者の会社を立ち上げて、事業を成功させる事だ。

ーーそれはまたリスキーと言うのか、ぶっ飛んでいると言うのか、あまり世間では無い考え方かもしれませんね。

統合失調症患者は仕事が出来ない、と言うのは健常者のステレオタイプな考えとしか思えんのよ。実際にビジネススキルが病的に高い人、クリエイティブな能力がずば抜けている人、病的な集中力を発揮できる人、考えられない程のルーチンワーク適正が高い人・・・物凄く高い能力を持っている人はいくらでもいる訳さ。つまり金を生み出せる能力のある人は沢山いるって事。もちろんダメな奴はダメ、使えない奴は使えない。でもそれは健常者でも一緒だろ?

ーー”統合失調症患者”と一括りにしない方が良いと言う事でしょうか。

ごくごく当たり前の話。仕事が出来るかどうかの定規と、病気かどうかの定規は全く噛み合わないだろ。比べる単位の異なる物を無理やり比べようとするから歪みが生じるんじゃねーのかな。

ーー使える統合失調症患者と、使えない統合失調症患者がいると認識する必要があると。

ビジネスは金を稼ぐ事、と定義するならば利益を生み出す能力のある人を集めて事業を興す事は、金鉱脈を開拓するに等しいとは思わんか?ほれ一般企業でも、やれヘッドハンティングだ、青田刈りだ、人材育成だ、金をジャブジャブ突っ込んで人を集めて、人を育ててるじゃないか。それは何故だ。会社の利益に直結するからだよな。それを否定してしまえば、採用活動や人材ビジネスそのもの全てを否定する事になってしまうよな。な。

ーーぐぬぬ・・・絶対に否定出来ない事を押し付けて論調を進めるスタイル、相変わらず卑怯です。

けどさ、統合失調症の奴らは会社勤めが苦手な傾向にあると思うわ。満員電車で通勤したり、オフィスで誰かの目を気にしながら仕事をする、誰かに監視されながらだね。後はマイペースを保てなかったり、他の人と歩調を合わせられなかったりな。仕事を一気に片づけてのんびりしてると、上司から別の仕事を振られたり。色んな理由ですぐに体調を崩しちゃうのよ。んで、すぐに遅刻早退や欠勤しちゃう。だから社会不適合者とも言われるんだわ。

ーー確かに、仕事に対してのON/OFFスイッチが故障している人が多いなんて話を聞いた事があります。

でもさ、冷静に考えてみようや。勤務態度が粗悪な事と、仕事が出来ない事。これってやっぱ比べる定規が噛み合わないんじゃね?極端な事を言ってしまえば、勤務態度が良好だけど仕事が出来ない奴に対して仕事の能力を押し上げてやるのか。それとも勤務態度が最悪だけど仕事の出来る奴に対して勤務態度を是正させるのか。そんな話に至らんか?社会を構築している多くの企業や団体は、ほとんどの場合で前者だろうよ。じゃあ逆のアプローチも面白いんじゃね?

ーーなるほど。ただの弱者救済なんて事ではなくて、人材確保と言う話なのですか。

車椅子の人が通行しやすいようにエレベーターやスロープを作ったり、トイレに手すりを用意する事はバリアフリーとして一般的だろ。実際にそういった工事に対しては補助も出るし、広くその意義は広まってると思うんだわ。これも否定出来んよな?じゃあさ、統合失調症の人が働きやすいように環境を整えてあげる事もまた、バリアフリーじゃねーのか?心のバリアフリーだよ。

ーー心のバリアフリー。言葉として見てみれば、やたらと説得力を帯びてますね。

会社が利益を確保出来るだけの仕事してもらえば良いんだろ?仕事内容によっちゃ1か月分なりの作業量を割り出す事も出来るよな。じゃあさ、1か月の間にその仕事を完遂でOKにならんか?自分たちのペースで仕事してさ。仕事しやすいなら自宅でもカフェでも温泉旅館でもどこでも良いじゃん。

タバコ吸いながらでもお菓子食いながらでも関係ない。誰も見てないし自分で管理すりゃ良いだけの事。酒飲んだ方が仕事が出来るっていうならば酒飲んだって良いじゃん。何時に仕事始めるも何時に仕事終えるも、そんなのも全部自由。サボるのも遊ぶのも全部自由な訳。会社としては、利益を出せる仕事をこなして貰えば良いんだから。出社して座席に座ってる事が仕事じゃないだろ?業務を遂行する事が仕事に他ならないじゃんか。

ーーそれほど自由だと、自分を律する事が難しい気もしますが。仕事を残してしまう人も出るんじゃないでしょうか。

自分を律して管理が出来ない奴は、社会に出るのは早かったって事だろうよ。誰かに管理されないと自分に甘えてしまうならば、それまでの人だって事。サボり過ぎて仕事が残ってしまえば、そりゃデスマーチにもなるだろうよ。寝る間も惜しんで仕事しなきゃ終わらないだろうね。無理ならば退場してもらうしかないんじゃね?


ーーそんな夢物語をフェイスブックに投稿したおじさん。日課のおさんぽです。

身体がしんどい。前日までの良好な体調はどこへやら。太ももがピリピリ、チリチリするような不快な痛みに襲われてるし吐き気もするわ。とりあえずノイロちゃんとドンペリドンちゃんを飲んで、散歩頑張るかねー。

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頭もボロボロ、身体もボロボロ、満足に外出する事も出来ない身体だ。けれどもその分、なんて事ない場面が楽しいし、嬉しいんだよな。なんでもないようなことがー♪って奴か。街路樹に目をやってみれば、こりゃなんて花だったかね。ツツジか?良くわからんな。小さい頃にこの花を摘んで、おしべとめしべを引っこ抜くんだよ。んで口で吸うの。甘いんだよこの花。この蜜に虫たちも集まってくるんだろうね。今でもあの味は覚えてる。懐かしいな。もう一度あの頃を思い出してやってみようかなと思ったけど、さっき犬がションベンしてたから止めといた。


ーー30分の散歩で疲労困憊のおじさん。布団に横たわって息も絶え絶えの様子。

辛い状況に追い込まれた時には、いつだって頭の中に閃きが冴えわたる。今までもそう、今日だってそう。どれだけ逆境に立たされたとしても、その閃きによって命を紡いできたんだ。

身体も満足に動かない。声を出す筋肉もやられてるんだろう。大好きな歌を唄う事も出来なくなった。ギターのコードを押さえる事も出来ない。出来ない尽くしだよ。目もやられてりゃテレビを見たり、パソコンで動画を見る事も出来ん。大好きなネットゲームで現実逃避する事も出来なくなったわ。

膨大な時間は残酷なもんだよ。夜に薬を飲んだって2時間も寝られりゃ御の字。身体を癒す為に布団に入ろうが寝る事も出来ない。ゆっくりと過ぎゆく時間の中で、自分自身の置かれた状況と向き合い続けなきゃならんの。でもさ、そんなワシでも夢を見たり、妄想をする事は出来る。お金も掛からないしな。

ならばこれからも考え続けるだけだろ。生きると決めた以上、考えを止めてしまえば、それは即ち死ぬ時だよ。ワシは死ぬその瞬間まで考え抜く事を止めんぞ。

ーーイヤホンでブロンフマン演奏のラフマニノフ3番を聞きながら強がるおじさんだったのでした。


~~妄想炸裂おじさん、そろそろ誰も着いて行けない領域に突入ですね。~~


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