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レジリエンス 「無理かどうかはやってから考えたい」

「無理かどうかはやってから考えたい」2020パラリンピック(実際は2021開催)のパラアスリートの言葉です。

2020東京パラリンピックは、コロナウィルスの世界的な感染拡大に伴い、1年の延期によって前回大会から5年の歳月を経て開催されました。モチベーションの維持、大会にピークを持ってくるフィジカルの維持などオリンピックアスリートよりも難しい状況を乗り越えたことは、選手のインタビューでも語られていました。史上最多の参加者を迎え、日本選手もメダルラッシュに沸きました。

事故や病気で機能を失ったり、生まれつき機能が足りなかったりする人たちが、自分の持っている能力を活かし、さらにトレーニングによって能力を伸ばし競技をする姿は感動を呼び、その結果は幾重にも思いの重なった涙をもたらしました。

あなたは、東京パラリンピックの選手の姿からどんなメッセージを受け取りましたか?
私が受け取ったいくつのメッセージの中から「レジリエンス」についてお伝えしたいと思います。

パラアスリートから見えたレジリエンス

レジリエンスとは逆境を跳ね除ける力ですが、今回のパラリンピックのアスリートの活躍する姿やインタビューの言葉から大切なことが見えてきました。

日本の学校教育も多くの場合でそうですが、足りないことに目を向け補うために努力することを美徳とし、みんな同じように同じことができるように平均を求めます。
しかし、例えば発達障害と言われるハンディキャップを持つ人は、表面的には何らハンディキャップが無いように見えても、生まれつき難しいことや努力では補えきれない足りない部分を持っていたりします(一方で、他者が真似できない卓越した能力を持っていたりします)。
この2020東京パラリンピックでパラアスリートが教えてくれたことの一つはは、

足りないことを補おうとするのではなく、自分の持っている能力に目を向け、それを伸ばそうとすること

だと思います。
足りない部分や不自由な部分を何とかすることに時間や努力を費やすより、自分の持っている能力を信じて、それを伸ばすことに時間と努力を費やすことで誰もが評価し感動を呼ぶ姿を見せてくれていました。

レジリエンスを支える「楽観性」

レジリエンスを支える要素がいくつかある中でパラアスリートが語る言葉から重要な要素の一つとして「楽観性」が語られていました。
「無理かどうかはやってから考えたい」
「なんとかなる」
「やればできる」
という楽観性を発揮しパラリンピックへの挑戦を続けています。よく話に出てくるのは「難しいだろう」「無理かもしれない」と思う家族など周囲の人よりも本人が「やってみなければわからない」と挑戦する意思を前面に出し「楽観性」を発揮していることが印象的でした。
パラアスリートたちは、「楽観性の発揮」が挑戦を続けることにとても大切であることを教えてくれました。

レジリエンスを支える「内発的なモチベーション」

レジリエンスを支える要素として次に印象的だったのは、
「自分ならできる」
「不可能なんてない」
「まだ能力を伸ばせる」

という根拠のない自信、内面からフツフツと沸き上がるモチベーションです。
事故や病気である日突然、機能を失った選手は絶望の淵からリハビリとしてはじめたことだったり、重度のハンディキャップを持つ人は時間を掛けながらの練習だったり、険しい道のりだったかもしれない。これまでの歩みが遅いものであっても一歩一歩気持ちを絶やすことなく「内発的なモチベーション」によって歩みを止めない姿が印象的でした。

レジリエンスを支えるもう一つの力「人の支え」

そして、もう一つレジリエンスを支える力として重要と感じたのは、本人の挑戦を支える周囲の人たちです。
例えば、視覚障害者ランナーの伴走者の存在は、分かりやすい例ではないでしょうか。

伴奏者は選手の目の代わりであり、ペースメーカーである。選手と伴走者に強い信頼がなければ結果を出す事は難しくなる。走る姿は画面で見ていても「まるで二人三脚」のように一体感そのものでした。

家族はもちろんのこと、選手の力を信じて寄り添ったトレーナー、競技で使用する車椅子や義足を選手ごとに最適なものを造りパフォーマンスが出せるようにメンテナスする人。こうした周囲で支える人と選手との強い信頼関係にも目頭が熱くなるのを感じました。

パラアスリートの挑戦に共感し共に歩む「共感力の活用」や選手の力を信じて長期的な視点で寄り添う「結果を見すえた思考」は周囲の人にとって重要な力だと感じました。

全ての人々が違った能力を持っている多様性を認め合い、お互いの得意やできることを持ち寄って進んで行くことは、これからの私達に求められる未来の姿だと思いました。

あの感動をもう一度

東京パラリンピックの感動をもう一度
パラリンピアンの言葉を感じたい
見落としたシーンを観たい
そんな方は、こちらのNHKのハイライトがオススメです
https://sports.nhk.or.jp/paralympic/highlights/list/filter/highlight/

スポーツだけではない活躍の場は他にもある

ハンディキャップを持つ人がレジリエンスを発揮し活躍しているのはスポーツだけではありません。一例として音楽や美術といったアート活動をご紹介します。

プライベートでもお付き合いのあるアカペラグループINSPiのリーダーで、ハーモニーを通じた社会活動などを行うhamo-laboの代表杉田篤史さんが参加している障害のある人が書いた詩に曲をつけて披露する「わたぼうし音楽祭」もその一つです。作詞者の太田純平さんとの曲作りは、共感がつくり出す未来でもあります。
ぜひ、hamo-labo 杉田さんの記事もお読み頂き、曲も聞いてもらえたらと思います。
https://hamo-labo.co.jp/2021/07/15/0801wataboshi-46/

もう一つは「こころMoji」アーティストの浦上さんです。漢字の中に文字を埋め込みメッセージを伝えるアートを生み出しています。
私がいろいろ説明するより百聞は一見にしかずですので、ぜひホームページを覗いてみてください。
https://kokoromoji.com/

メッセージは何にか?

2020東京パラリンピックは「不可能なことなんてない」「信じれば叶う」
そんなことを教えてくれたのではないでしょか?

挑戦することもなく、やる前からスマートに振る舞い諦めてしまっていることはないでしょうか?

自ら可能性を放棄してしまったり、足りないことばかりを数えたり、何かを理由に挑戦をあきらめたり、していないだろうか?

彼ら、彼女らのメッセージは、あなたへのバトンかもしれない。私たち全員へのメッセージかもしれない・・・

最後に
「United by Emotion」(参考和訳 感動で私たちは一つになる、直訳 感情によって団結を):東京2020大会のモットーをコロナ禍によって繋がりが薄れる時代にパラリンピアンが体現してくれたように思います。
https://olympics.com/tokyo-2020/ja/news/news-20200217-01-ja

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