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熊本・島原・長崎旅行(2):島原でサイクリング

【前回】熊本・島原・長崎旅行(1):熊本へ|R-9|note

熊本の朝

4泊5日の旅、2日目です。特にタイムテーブルを決めているわけでもなかったんだけど、早くに目が覚めたから、折角なのでちゃっちゃとチェックアウトを済ませ、サクラマチクマモトのスタバで朝食。ターミナルの3番乗り場から熊本港行きのバスに乗り込みました。

熊本市内、こんなふうにバス路線網が充実しているから徒歩の観光でも支障なさそう。石畳の上を並走する市電の車両も雰囲気いい。熊本駅のターミナルビルも2021年に開業したばかりだそうで、ピッカピカでした。この辺り、いずれまたゆっくり見て回りたい。

島原行きフェリー「オーシャンアロー」

バスで30分そこそこで熊本港に到着。ここからはフェリーで有明海対岸の島原へ渡ります。改めて拡大地図を。

東京から島原へ車抜きで行くには、大まかに長崎ルート熊本ルートのふたつがあって、前者が長崎から諫早を経由して島原鉄道で島原駅を目指す鉄道のルート、後者が熊本からフェリーで直接島原港を目指す船のルートです。どちらも1時間半から2時間といったところで、近さでいうと大差はないとのこと。ならば普段は滅多に縁のない船旅で行ってみたい。

で、実はこの熊本と島原を結ぶフェリーにも2種類あるのです。地元の足として重宝されているエコノミーな九商フェリー(所要時間60分/片道890円)と、熊本フェリーの運用する高速カーフェリー「オーシャンアロー」(所要時間30分/片道1,500円)のふたつ。安さを取るか時短を取るか。今回は、時刻表上もバスとの乗り継ぎが良かったオーシャンアローで行ってみます。

熊本港フェリーターミナル
オーシャンアローの乗船口
船内はこんな 快適!

いざ出航すると、高速船だけあって甲板はなかなかに風が強く、アトラクション感がある。校外学習かなんかの小学生の集団が賑やかで、今にも柵を乗り越えてしまいそうなはしゃぎよう! 引率の先生方が見るからに大変そうでした。

行く手には、島原半島の誇る雄大な雲仙(平成新山)。海とは言っても有明海は広大な内海、湾であって、遠く四方を陸地に囲まれている。今回のように高速フェリーを利用してしまえば30分の船旅なんかすぐという感じ。

島原港が近づくと、始めに見えていた平成新山はすっかり隠れてしまい、代わって町の向こう側に巨大な壁のようにそびえる眉山の険しい稜線がはっきりと見える。この特徴的な風景は事前にGoogleマップで見ていたとおりで、本当にここへ来たんだなあという感じです。

港に到着したら一旦宿泊予定のホテルに荷物を預け、戻ってきて島原港ターミナル内にある観光案内所でレンタサイクルを利用する。

市内では、このように何か所かで観光向けに電動自転車の一日レンタルをやっています。島原港から島原駅までもそこそこ距離があり、その他の観光スポットを徒歩で回るにも移動が大変なので、こうしたサービスはありがたい。幸いにして日中は雨の予報もなく、サイクリング日和です。

海の向こうにうっすら熊本が見える

平成の噴火のあとに道が大きく整備されて、特に南へ向かう道は標識で自転車も走れることになっている広い歩道もあり、走りやすい。実は初めて電動チャリに乗ったんだけど、背中をグーンと押されるような漕ぎ出しのパワーに最初びっくりしてしまった。これはらくちん。

雲仙岳災害記念館「がまだすドーム」

最初に訪れたのは、港の南3kmほどのところにある雲仙岳災害記念館「がまだすドーム」。1991年の雲仙・普賢岳の噴火による土石流が海を埋め立てた、まさにその上に建てられた施設で、雲仙の火山活動の歴史、被害の記録、および災害に対する備えについて子供にも分かるように説明してくれる科学博物館です。雲仙の噴火、わたしくらいの世代だと子供のころ見たニュースとしてうっすら記憶に残っている。

こうして見ると火砕流の被害も生々しい。噴火と聞いてなんとなく想像するような噴石や降灰、ゆっくりとした溶岩の濁流なんてものではなく、一瞬にして高熱の爆風が襲う火砕サージが起きたとされている。

歴史を辿るとそもそもがこの長崎県、いくつもの海底火山の噴火により隆起した土地が繋がってできたものだそうで、特に島原半島を形作った雲仙岳の活動は現代に至るまで活発に続いており、何度も噴火による被害が繰り返されています。特に大きなものが1792年に起きた「島原大変」で、このとき崩壊した眉山の山体の一部が海にまで転がってできたのが九十九島、という、まるでどこかの神話のような逸話が本当にある。

島原市から見ると手前に眉山、奥に雲仙という地形になっているわけですが、91年の噴火のときは、まさしく眉のようにして土石流の市中心部への被害を防いでくれたようなかたち。一方で、主に土石流が流れたところは現在は水無川として将来の被害を防ぐために砂防ダムや導流堤が運用されている。このあたりの防災メカニズムも知れば知るほどおもしろかった。

中央が1990~95年の噴火によって生まれた平成新山

一帯はユネスコ認定の世界ジオパークとして各所で案内されている。このように島原、観光の見どころとしてはまずダイナミックな風景とその成り立ちが挙げられると思います。

ちなみに、このがまだすドームのすぐ近くには高さ10mのサムライブルー龍馬像が建っている。まるで何の脈略もなく表れるので観光地特有のトンチキかと思いきや、12年前のワールドカップ南アフリカ大会のときの代々木競技場に設置された像が、龍馬ゆかりの地である島原へ移設されたのだそう。なにしろ坂本龍馬といえばサッカーの神ですからね。そう?

島原の街並み

がまだすドームのカフェで島原産ワカメたっぷりの島原うどんを食べ、再びサイクリングへ。今度は北上して島原港へ戻り、さらにその先の街中をぶらぶらしてみる。

鉄道の廃線跡

ここ島原へは、前述のとおり諫早から島原鉄道というローカル線が通っているんだけど、現在の島原港駅から先、島原半島西南端へ至る南島原路線は2008年に廃線になってしまった。今はこのようにして野ざらしになっている。写真を撮るなら、こうした形跡を追っても楽しそうだなと思います。将来的に廃線跡をサイクリングロードにする計画もあるそうで、この味わいも一時のものかも。

現役の路線では、こうして黄色いかわいらしい電車(島鉄)が走っている。踏切はたくさんあるけれど、本数は各方面1時間に1本くらいで、カメラを構えているときに見れたらラッキーくらいの間隔かもしれません。

地図で海の突端に島原灯台があるというので来てみたら、こんな感じの人気のない広々とした海浜公園。

ただ、ここにいた野良猫たちにつかまってしまい動けなくなった。エサをやらないようにという立て看板があり、どうやら一定数の猫がいるよう。地元の方は困っているのだろう。

しかしこれが本当に人に慣れていて、なにもしていないのにどんどん寄ってくる。ちゃんとエサに困っていないか気の毒だ。

動けないので
そろそろどいてくれませんこと

ある海岸には、坂本龍馬の上陸地を記念する碑が立っている。一行はここから長崎へ向かったのだそうで、昔はこの場所が古い港だったといいます。

現在はその面影も遠く、記念碑以外は取りたてて何もない海辺です。近くに地元の人に人気の食堂やカフェがあるものの、平日の昼間、ほんとに人の気配がない。

港付近に味わいのある鳥居
手入れの行き届いた足湯

島原中心街の観光は友人グループが合流する翌日以降の予定になっていたため、この日はこんな具合で気の向くままに自転車を走らせ、返却期限の16時までに観光案内所へ戻りました。戻ったら戻ったで、サイクリング利用者に配っているとかで島原の飴だとか天然水のボトルをわんさかいただいてしまった。島原港の観光案内所の方、他にもいろいろ親切に教えてくださりお世話になりました。

東洋九十九ベィホテル

この日の宿は港にほど近い東洋九十九ベィホテル。年季の入ったホテルだ。島原、古くからの温泉地なだけあってリーズナブルな宿がたくさんあり、全国旅行支援などの混雑するタイミングでも平日ならわりと空いていた。ここに決めたのはシンプルに港から徒歩圏内であったことと、なんだかこういう「古き良き」を敢えて感じられる宿が良かったから。

古いホテルはウェス・アンダーソンカットで撮りたい

部屋はめちゃ古いんだけど建物自体は増改築を繰り返しているようで、特に肝心の温泉はピカピカでした。今の状況ではお世辞にも繁盛している観光地とは言えないから、限られた費用でピンポイントにお金をかけている様子。

温泉は無色透明で匂いもない。夜と朝で3回入ったけど1人2人の宿泊客としか会わず、静かで広々と快適でした。ここ、とても良かったです。

宿泊費は正規料金で朝食付き8,570円。全国旅行支援適用で5,142円、さらに長崎県内で翌日いっぱいまで使えるクーポンが3,000円分ついてくる…。なんだか申し訳ないような気にすらなってしまう。

洋食と喫茶COSTA

夜は島原在住の友人の連絡が取れて、車で夕飯に連れ出してもらえることに。それが先ほど訪れた龍馬の碑のある古い港の近くの「COSTA」というお店で、古い蔵を改装したおしゃれなカフェレストラン。

横浜から島原へ移住してきた若いオーナーがやっているのだそうで、話を聞くと、わたしの地元も地元、家から徒歩で一番近いレストランで働いていたと聞いてびっくり。たまにこういうことがある。

島原の野菜をたっぷり使っためちゃうまスパイスカレー

友人との再会もそこそこに、翌日もあるのでこの日は早めに切り上げて宿まで送ってもらう。部屋からは島原港の夜景が一望できました。

3日目へ続きます。


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