見出し画像

熊本・島原・長崎旅行(4):雲仙と長崎の夜景

【前回】熊本・島原・長崎旅行(3):島原市内観光|R-9|note

雲仙ロープウェイ

4泊5日の旅、4日目。この日は天気も良く、友人の車で雲仙を案内してもらえるとのことで、朝のうちに出発。島原市内から雲仙へは、南側からぐるっと国道57号を通って30分くらいの道のりで、途中からは一方通行の有料道路を通って仁田峠へ。ここから、ロープウェイで更に行った先で雲仙普賢岳、そして30年前の大噴火で生まれた平成新山を間近で見られるとのこと。

上まで行かずとも、この時点でもうなかなかの眺望。南島原を見下ろすことができるばかりか、有明海の向こうの天草、熊本までも見渡せる。

ロープウェイの設備は見るからに古く、危険の険が旧字体なことにスリルを感じる

妙見岳の展望台は大パノラマ。諫早湾の広大な干拓地、遠くに長崎、島原半島の南端を中心とした半島の全景が見渡せます。まさにこの火山の活動によって半島が生まれたことが実感できる。

展望台からさらに階段で行った先に、カルデラと溶岩ドームを一望できるスポットがあり、今なお地下に豊富なマグマを蓄える火山の様子が観測できました。

妙見岳展望台と雲仙温泉

雲仙地獄

峠を越えるとちょっとした旅館の立ち並ぶ雲仙温泉の一帯があり、そのなかに今なおもうもうと湯気を噴き上げる雲仙地獄がある。

麓の島原温泉は無色無臭、透明のお湯だったので、硫黄の立ち込めるこの地獄の様相は意外なものでした。島原半島、同じ火山を元とする温泉でも、場所によって泉質はかなり異なるのだとか。よく整備されたお散歩見学ルートがあり、なかなか見ごたえがありました。熱気でぽかぽかしてくる。

ここにもネコ

雲仙温泉はこんなふうに小ぎれいな観光地になっていて、近年、星野リゾートを始めとした新しいホテルが次々にオープンしているのだそうです。

再び島原市内

お昼ごはんを食べたら山を下りて、再び島原市内へ。平成噴火の土石流で被災した家屋をそのまま保存したという公園を見学しました。

奥の山から、ここまで土石流が流れてきた
一部の家屋はドームのなかへ移設展示されている

30年前からまるきり時が止まったようになっていて、噴火の瞬間的な凄まじさを雄弁に物語る。2日前に雲仙岳災害記念館でも感じたことだけど、この地域の人々は、大昔から繰り返されてきた噴火の記憶を絶えず語り継ぐことで、逆説的ながらも、この土地での暮らしの安全を担保してきたのだなということが分かった。忘却こそが悲劇に繋がるんだものね。

少し移動して市内へ。夕方の電車で長崎へ向かいます。

島原鉄道の現在の終点である島原港駅はこんな。簡素な無人駅で、線路の先はどうなっているかというと、単に草むらにフェードアウトしている。

一方で、その何駅か手前の島原駅にはこんな立派な駅舎がある。名実ともにここが島原のターミナルになっています。お城が目と鼻の先にあるからか、なんとなくお城風のデザイン。

電車の本数は1時間ごとといったところ。4時過ぎの電車で3日間を過ごした島原を発つ。終点の諫早でJRに乗り換えて長崎へと向かう2時間弱の電車の旅です。交通系ICは使えないので、券売機で紙の切符を買う。何年ぶり!?

島原在住の友人フミアキさんには最後まで完璧にエスコートしてもらい、大変お世話になりました。おかげでめちゃめちゃ充実した観光ができました。

ちょうど眉山(七面山)の山頂に沈んでゆく夕陽

島原鉄道で長崎へ

改めて前掲のマップを。島原鉄道は島原半島の北端に沿って海沿いを行く電車です。多くの地方鉄道の例にもれず、都市部に比べると利用率も少なく、現在は観光路線的な意味合いも大きいのだとか。

島原へのルート

なので、あの手この手で見どころを増やそうと鉄道会社も頑張っている様子がうかがえる。そのひとつが「日本一海に近い駅」をうたう大三東(おおみさき)駅。CMなどのロケ地としても有名なのだそうで。

しばらく行くと、右手に諫早湾が見えてくる。水門を越えると、ひたすら水田の広がる地帯。

このようにして風景には見どころが多く、飽きずに楽しめました。ローカル鉄道、噂に聞くばかりでなかなか乗る機会がなかったけれど、楽しいものです。地元の高校の放送部の子たちが代わる代わる受け持つ車内アナウンスも良かった。いいアイデアだね。

終点の諫早は大きな都市で、車窓からの風景はもう見た感じ首都圏のそこそこの駅と大差ないくらい。実際、長崎空港と長崎を結ぶ中間に位置する諫早は、開通したばかりの西九州新幹線のターミナルでもあるし、島原方面へのハブになっている都市だから、そこそこひらけている。ここでJR長崎本線のおしゃれな電車に乗り換えて、長崎へ向かいます。

内装もおしゃれだった

四海楼のちゃんぽん

そこから更に小一時間、長崎市内に着いたころにはすっかり暗くなっていました。この日泊まるANAクラウンプラザホテル長崎グラバーヒルへチェックインを済ませたあと、近くの中華料理店「四海楼」へ。

ここはなんと長崎ちゃんぽん・皿うどん発祥の地を自認する、創業1899年の由緒あるお店なのですが、そのわりにリーズナブル。言ってもちゃんぽんですからね。普段リンガーハットくらいしか知らないし、長崎へ行ったら本場のちゃんぽんを食べてみたいと常々思っていたので、念願叶いました。

こんなんですよ。だしの風味こそ効いているものの、素材の旨みをそのまま生かしたなんとも素朴な味! 普段、ラーメンとかも外食するならスパイスに凝った複雑なスープが比較的好みなのですが、ストレートに具がうまいとそこからにじみ出る美味しさがスープに凝縮されており、シンプルに強い。原点でした。

鍋冠山展望台からの夜景

夕食後、そのまま夜道を散歩しながら、長崎の夜景を一望できるという鍋冠山展望台へ歩いて向かいます。この徒歩ルートは完全に住宅地のなかを行く初見殺しの険しい登り道で、ましてや夜間であるので、こちらのブログ記事のガイドが大変参考になりました。

グラバースカイロードの「斜行エレベーター」のような珍しい設備を利用します。文字通り、見た目は箱状のエレベーターに乗るんだけど、斜めに上がっていく。普通に地元住民の足として使われているのだそうで、そういえば急斜面の多い長崎にはこういった設備がいくつもあるのだと聞いたことがあった。

エレベーターを2つ乗り継いだだけでもう凄まじい夜景が見られるんだけど、ここから更に暗がりを20分くらい登って行って、山頂の展望台へ。20分とはいえ、急坂をがっつり登っていくのでそれなりの覚悟で。

いやー、ものすごい夜景ですよ長崎。地元東京、横浜の夜景なら見慣れているんだけど、全然違う。長崎は湾を挟んですり鉢状になっているからか、まるでシアターかスタジアムで鑑賞しているような眼前に迫る立体感がある。実はこの夜、予報が雨がちで傘を手に向かったのですが、頂上に辿り着くころにはすっかり止んでいました。

展望台はリニューアルから間もないとのことで小ぎれいな感じで、日曜の夜にもかかわらず人も少なくて静かに楽しめました。長崎の夜景スポットとしては比較的徒歩でもアクセスしやすく、おすすめできます。

時間帯によってはライトアップイベントもやっていて、こんなふうに特定箇所に星座の形が浮かび上がるような演出もある。

帰り道もこんな。あたり一帯民家ばかりで、日常に溶け込む非日常の光景にしばし感嘆の長崎の夜でした。

旅行5日目、最終日に続きます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?