Schrödinger Equationライブレポート
メンバー全員が博士号を持つ異色のユニット・Schrödinger Equationが発表した久しぶりのアルバム"Cardinal"発売を記念したツアー一日目。ユニット初となる全国ツアーであることに加え、ライブ自体が4年ぶりであり多くのファンが心待ちにしていた。会場は渋谷区■■■。
開場前から多くの人が詰め掛けていたが、作野(Vo./Gt.)による場の量子論を用いた時間操作で会場到着から着席までの実質待ち時間を20分から1分に減らし、開始前から革新的なライブパフォーマンスの一片を見せつける。
定刻をやや過ぎると新アルバムのリード曲"Regular/Singular"のイントロフレーズと共に、会場全体が突如変形。気が付くと数学の聖地・クレイ研究所へと変わっているという演出に会場からは歓声が上がる。同時に最早ファンにはお馴染みの脳髄直接送信システムによって、数学におけるCardinal=基数の概念すべてを直接脳内に流し込まれる。淡々としたフレーズに合わせて得られる膨大な情報によって、観客たちは熱狂の渦に巻き込まれていた。
満を持して作野、幸田(Ba./Vo.)、東海林(Synth.)、古谷(Dr.)が量子転送によって登場。4年前東海林の左手を転送し損ねる事故から見事復帰した四人の姿に会場は大いに沸いた。その後新曲"Dual"、"Inaccessible"、人気の"Lagrangian"、"BRSTBRST"を次々プレイ。量子もつれを利用して"Cat Lives"と"Cat Dies"の二曲を同時演奏する(観客も量子もつれ状態なので違和感なく聴ける)パフォーマンスは、彼等ならではの斬新な世界に導いてくれた。
ここからカオス理論を用いたパフォーマンスに移行していく。初期値を微妙に変えた可能世界を多数用意し、観客をランダムな世界へ飛ばす演出によって混乱と熱狂に包まれる。ここで演奏される曲は各可能世界ごとに違うので、是非足を運んで体験してみてほしい。
ライブ終盤では医師古谷発案の今までとはうって変わった落ち着いた空間にいざなわれる。自我の一体化を行い観客に疑似的な「死」を体験しながら溶けていく様は、まさにこの世のものとは思えない世界であった。
ライブ中東海林がある可能世界で行方不明になるトラブルがあったものの順調に進み、"ToE"で終了。曲中で冒頭と同じように会場が変形し、何もなかったかのように渋谷へと戻った。
体感は半日近くあったが、実際のライブ時間は3分間であった。
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