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【789回】北海道自転車1周記5日目(小平→天塩)〜展望台、無料を選ぶ、見つめるライダー

199X年8月  
5日目
小平〜苫前〜羽幌〜初山別〜遠別〜天塩 103km
走行時間 6時間5分


PART1.展望台から景色を楽しむ。

小平町望洋台キャンプ場といえば、高いところから海を望む、景色がポイントだろう。展望台に登れば、キャンプサイトから海まで、景色を独り占めできる。
展望台は、キャンプサイトの端にある。記録によると、30分ほど景色を楽しんだらしい。前日も旭川を出発したのが午前10時。今回もゆっくりしたスタートだな。

2022年再訪。展望台は使用不可に。
キャンプサイト。
日没をじっと眺める。

「今日は、ここまで行かなければいけない」というように、目的地ががっちり決まっていない。「今日はどこまで行こうかな」と探りながら進む。緊張感もあるだろう。それ以上に、「なんとかなるさ」という気持ちが強かったのだと思う。

PART2.小平町郷土資料館

「有料だから行かない。無料だから行ってみた」
小平町望洋台キャンプ場から、国道232号線を北上する。「道の駅おびら鰊番屋」には、国指定重要文化財「旧花田家番屋」がある。ところが入場料が必要となる。隣接する「小平町郷土資料館」は無料だ。

ここらへんの海でおきた遭難事故の博物館の方が興味がもてた。樺太からたくさんの人々を乗せた船が旧ソ連軍の攻撃にあってもう少しで小平に着くというところで沈没した事故だ。船から引き上げられた遺品などが展示してあった。

このように記録を残していたのだから、小平町郷土資料館を見て、記憶に残るほどのインパクトを得たのだろう。

PART3.小さい自転車と旅人と

「道の駅おびら鰊番屋」では、ソフトクリームを食べたらしい。お金が無いのではなかったのか?ソフトクリームを食べながらうろついていると、ホクレンのガソリンスタンでもらえる旗を6つくらいつけている自転車を発見した。自転車はとても小さかった。折り畳み自転車だったのだろうか?持ち主には会えなかった。こんな小さい自転車でツーリングができるのか!と当時の僕は驚いたようだ。

今でこそ自分はBROMPTONユーザーではあるが、果たして、BROMPTONで、小平〜天塩間の北上する国道を走り抜けられるだろうか。道路地図だけでは、わからない道路の変化がある。

BROMPTONは楽しいぞ。

地図ならば、道は、海沿いに北に向かって伸びているだけに見える。ところが、平坦な道路ではない。登った下ったりアップダウンが続く。平坦な道路がずっと伸びているイメージを持っていたので、うんざりした気がする。

小平町から苫前町に入り、坂道をウガーと走りながら、羽幌町へ。北海道の正義、セイコーマートで昼食。店の前で食べていると、ライダーが話しかけてきた。彼は、神奈川出身。網走で高校の先生をしているという。しかも担当教科は数学だ。なぜ、ここまで情報を聞き出し、記録に書いているのだろう。19歳の僕よ、どういう力を発揮したのか?

「北海道ハマるよ〜。1周してもきっとまたもう1周したいと思いたくなるから」

彼はそう言い残し、札幌方面へバイクを飛ばしていった。
この旅行後、自転車で北海道1周をすることはなかった。しかし、車に乗るようになってからは、あちこち運転し、自転車旅行で訪問した場所を再訪問してまわった。北海道には確かにハマる。北海道の住民になって20年以上経過し、北海道の景色が当たり前になってしまった。逆に、東京や大阪に行くと、「ここは人が多すぎる!」と呆然としてしまう。

この日はもう一人、旅人と出会っている。
羽幌町から北上し、初山別村へ。「しょさんべつ温泉 岬の湯」に入浴し、さらに北へ。勢いよく僕を追い抜いたライダーが前方に止まり、こちらを見ている。フルフェイスのヘルメットだと、顔が見えない。表情がわからない。この人はなぜ、僕を見つめているの?緊張しながら近づく。
あれ、Kさん!
大学の先輩、Kさんだった。
札幌で顔を合わせる日々はいつもどおりの日常。
ところが、札幌から約200km離れた道北の海沿い、初山別村で再会するなんて。Kさんも僕も、お互いの旅行行程は知らない。連絡を取り合っているわけでもない。偶然の出会いなのだ。Kさんは高く腕を上げて、先に進んでいった。僕は自転車だ。自分でペダルを漕いで、進むのだ。

PART4.遠別から天塩へ

初山別村から遠別町。「道の駅富士見」で休憩。日没までまだ時間がある。先へ進める。天塩町へ。鏡沼海浜公園キャンプ場到着。

ずいぶんと賑やかなキャンプ場だったようだ。
それでもしっかりと寝て、明日に備える。

稚内が手に届く距離に近づいた。約70km程度か。
天塩から稚内への道は道道106号線。電柱もない、ただ原野の中を道が突き抜けていく。日本とは思えない景色を味わえる。旅行序盤のハイライトだ。

5日目は、これでおしまいです。
ありがとうございました。