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【54回】読書日記(190207)〜ハンナ・アーレントが考える全体主義に驚く

○仲正昌樹「悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える 」(NHK出版新書、2018年)

ハンナ・アーレントは10年位前から気にしていた。
最初に買ったのは、ちくま学芸文庫の「人間について」
次は、みすず書房の「エルサレムのアイヒマン」
でも、どちらも読んでいない。結局、難しい本に手を出してしまったわけだ。
だから、読みやすい本がほしい。すると、新書だ。
「悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える 」
実際、読みやすい。6割程度読み終えた。

ハンナ・アーレント「全体主義の起源1〜3」について、すごく簡単に書いている。この「全体主義の起源」を書店で見たことがあるが、どれも厚い。例えば、第1巻は352ページある。ゆえに、新書では、紹介程度ということになるのだろうが、僕には十分、興奮しながら読んでいる。

アーレントは、全体主義は「国家」でなく「運動」だと言っています。

今日一番、「えーっ!?」と感じた一言。

「市民社会」を構成する「市民」が、自由や平等に関する自らの権利を積極的に主張し、要求を実現するために各種の政党やアソシエーションを結成することに熱心な人たちだとすれば、「大衆」は国家や政治家が何かいいものを与えてくれるのを待っているお客様です。自分自身の個性を際立たせようとする「市民」に対し、「大衆」は周りの人に合わせ、没個性的に漫然とした生き方をします。

深く考えることをしない大衆が求めるのは、安直な安心材料や、分かりやすいイデオロギーのようなものです。それが全体主義的な運動へとつながっていったとアーレントは考察しています。

陰謀論にはまった大衆が勝手に想像力を働かせてくれたおかげで物語世界がふくらみ、ナチスの世界観を強化していくことになりました。

全体主義を動かすのは、国家ではない。大衆なんですよ!
国家が下地を作っても、あとは大衆が勝手にどんどん進めてくれる。
気づいたら、異分子排除の動きになっていた。しかも疑うこともなく!

正直、こわいです。

これ、学級にも起こりうることだから。



○マシュー・マッケイ、パトリック・ファニング著、高橋祥友訳「自尊心の育て方」(金剛出版、2018年)

再読中。

認知の歪曲について。
歪曲の種類は9種類ある。どの歪曲も実感している僕は、重症だ。しかし、落ち込むことはない。歪曲を戻す、つまり、誤った認識に反論し、自分を取り戻すことはできるのだ。歪曲した思考が出てきたときは、まず頭の中で「待て!」「だまれ!」と叫び、反論を開始する。具体的にどういう思考のクセがあるのか、どの部分が歪曲の思考なのかをアセスメントしてから、反論しなければ。

明日は、「〜すべき思考」についてだな。


○塩野七生「十字軍物語2」(新潮文庫、2019年)

テンプル騎士団、聖ヨハネ騎士団登場。
イェルサレム王国は初代ゴドフロア、2代目ボードワン1世、3代目ボードワン2世と続き、4代目フルク。第一次十字軍を経験せず、フランスからやって来たフルクは、イスラムのことを、十字軍国家の状況を把握できていないまま王位につく。
これからは、イスラム側に有能な人材が登場するらしい。結果はわかっているのだ。これから十字軍国家は追い詰められていくのだから。