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【755回】伊坂幸太郎「777」を読んだ

伊坂幸太郎は僕が大好きな作家の一人。新作が出るたびに、読んでいます。
本当、新作に出会うたびに、「よくぞ生き延びてくれた俺…!」と自分の頭をなでたくなります。よしよし。40代折り返し地点。高くなっていた尿酸値の値は平均値へ、血糖値も平常。投薬は必要だが、まだまだ生きていけるぞ、俺。

で、その新作。「777」ですよ。トリプルセブン。「グラスホッパー」「マリアビートル」「アックス」という、いわゆる「殺し屋シリーズ」の続編です。最初「グラスホッパー」を読んだとき、「いや、人が死ぬすぎ」と引いてしまいました。ところが再度読んでいるうちに、殺し屋一人ひとりの個性というのものに注目がいきました。その個性と個性のぶつかり合いの結果が、命のやり取りになるのですね。この殺し屋シリーズでは、結果的には、「人の苦しみを楽しむ」「人を陥れる」ような人物は助かりませんね。だから、読み進めていられる作品なのかも。

「777」の舞台は、ホテルです。高級なビジネスホテルですね。「マリアビートル」では東北新幹線E2系が舞台でした。あのときは、まさか最初から最後まで新幹線のみで物語が進むなんて思いもしなかったので、主人公の天道虫が新幹線をいつまでも降りられない不運に、「はあ」とため息をついたものです。その不運な天道虫は今回も、ホテルから出られません。序盤から、あり得ない悲しい不運に見舞われてしまいます。そして当然、業界の人たち、つまり様々な殺し屋が登場するわけです。天道虫の他に、「コーラとソーダ」という金持ちコンビ、「六人」という邪悪な面々、「モウフとマクラ」というホテル業者コンビが、新たな殺し屋として登場します。またホテルに逃げ込んだ紙野という一般人、謎の元政治家である蓬、そして殺し屋ではないですが彼らと依頼人をつなげる人や、殺し屋から人を逃がす「逃がし屋」ってのも出てきますね。この殺しの業界は、役割が多いんだなあ。

物語に触れたらネタバレになってしまうので、触れません。
読み切った幸せを噛み締めながら、次に僕は「777」で気になった言葉を探ります。物語の中には、心に残る、気になる言葉があります。特に伊坂幸太郎の物語には、「春が空から降ってきた」とか「砂漠に、雪を降らすことだってできるんですよ」とか「ロマンはどこだ」、なんか妙に気になる言葉に出会うんですよね。

さて、「777」で気になった言葉は何かなあ。

ああ、長くなったので、今回はここまで。おしまいです。