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【776回】北海道自転車1周記3日目(美瑛→旭川62km)〜上智、ラーメン、隣のおばさん

199X年8月  
3日目
美瑛〜旭川 62km
走行時間 3時間42分


PART1.合宿を終えて

大学のサークル合宿を終えて、美瑛町白金温泉を出発。今日の目的地は旭川。
まずは美瑛駅へ向かう。

石造りの駅舎で記念撮影。僕の服装はGパンにTシャツ。北海道を自転車で1周している人とは思えない…。

「日本1周中なんですか?」
美瑛駅前にいた自転車旅行者に声をかけられる。4人組の彼らは、神奈川県厚木市から来たという。いえ、北海道1周中です…。
荷物が多すぎたのだろうか。でもなあ、僕にとっては、必要な荷物なんだよ。
前向きに捉えるとたしかに、この荷物で日本1周もできるのかもしれないな。ただ、走る距離と日数とお金と体力が必要なだけで、装備は同じで大丈夫だもんな。
とにかくまずは、北海道をまわろう!と目を輝かせる。

美瑛の丘を完全無視して、旭川までまっしぐら。


PART2.旭川駅到着

旭川駅に到着。
現在は立派な高架駅となっている。当時は、地上にあり、駅の中にはお店が広がっていた。

旭川駅到着

駅前には、バックパッカーというのか、リュックがたくさん置かれていた。JRに乗って移動するのだろうか。このような旅行者は2024年現在どれくらいいるのだろう。僕も、昔を偲んで、再挑戦してみようか。JRやバスで北海道を巡る旅を。

ここでまた、自転車旅行者と出会った。彼は上智大学の学生だった。
「キャンプ用品を売っているところはないか?」と聞いてくる。
しかし、僕は札幌の人間だ。旭川のことはさっぱりわからない。
一緒に探すという選択肢もあったのかもしれない。だが、僕は空腹だった。旭川といえば、ラーメンだ。僕は、ラーメンを食べなければならない。すまない。どうしても。ラーメンを、食べたい。

今思えば、上智の彼が行きたかった店は秀岳荘旭川店だろう。そんなことを言っていた気もする。旭川駅からはちょいと離れている。

とりあえず、ラーメンを食べに行く。


PART3.ラーメンその1

旭川駅についた時間は、昼過ぎだ。旭川駅の隣にはイオンモールがある。ところが、当時は、旭川エスタという商業施設が存在していた。ホテルと飲食店などのテナントがいくつか入っていた。
「ごん兵衛」というラーメン屋に入る。

ところが、ここでの記憶が全く無い。何ラーメンを食べたか、覚えていない。旭川だから、おそらく、醤油ラーメンを食べたのだろう。
エスタは消え、「ごん兵衛」そのものも消えてしまった今、どうにもならない。

これでは、まったく面白くない。だが、自転車旅行中である。エネルギーが、必要だ。「ごん兵衛」を食べ終わってからの記録を見ると、天を仰いでしまう。

食べ終わったあとに、また別のラーメン屋に食べに行っている。
カロリーとりすぎでは…

そのラーメン屋とは、「生姜ラーメンみづの」だ。


PART4.ラーメンその2

「いいか、旭川には生姜ラーメン『みづの』というのがあってな…」
大学の先輩、Oさんが話し出す。僕は北海道に住み始めたばかりであった。旭川に行ったことはない。
「お店がなんとも言えないんだ。店の前には自転車が置かれている。いつも置かれている。しかも何台も」

2003年 生姜ラーメン「みづの」自転車が見えますね。

なんとも言えない、謎があるラーメン屋だと言い、先輩に車で連れて行ってもらった。
生姜が苦手だった僕が、生姜と握手をしたラーメン屋である。生姜がこれほどラーメンと合うとは。食べたのに、もう1杯食べたくなる、胃に優しいラーメンだ。

「みづの」さん、僕は自分の足で来ましたよ!

大盛りを一気に食べた。汁も全部飲んだ。

本日のラーメン、2杯目終了。
満足したね、もういいよね。今日はラーメン終わり。


PART5.ラーメンその3

「うまい、うまい」
僕の目の前で、上智の彼がラーメンを食べている。もちろん、黙ってなんか見ていない。僕も食べている。「生姜ラーメン」を。
まさかの、ラーメン3杯目だ。

旭川では、キャンプをすると決めていた。生まれて初めてのソロキャンプである。

春光台公園のキャンプ場にて、テントを設営していると、上智の彼が現れた。
どうやら、秀岳荘旭川店には行けたようだ。

上智の彼も、春光台公園にて1泊するとのこと。それでは、と一緒に入浴と食事にいくことにした。

まずは銭湯「フタバ湯」

あったまったと、さらに自転車をこいで、「生姜ラーメン『みづの』」へ。
店員さん、僕、また来ちゃった。

上智の彼は、戸惑っていた。
「生姜ラーメンって」
確かに名前だけ聞くと、首をひねる。僕も最初はそうだったよ。でも、本当においしいのだよ。

「生姜ラーメンはね、隠れた傑作なのよ」
隣のテーブルでラーメンを待つおばさんが語りかけてくる。店員ではない。お客さんだ。
ほら、こうやって言っている人もいるから、大丈夫。
ところで…あなた、誰ですか?

結果、上智の彼の「うまい、うまい」
うまいコールの連発です。


PART6.レアキャラの情報

上智の彼から聞いた話には、耳を疑った。どうもレアキャラがこの北海道で旅行をしているらしい。どこで出会えるかはわからない。
ドラゴンクエストといったロールプレイングゲームをしているかのようだな。答えはさっぱり見えてこない。ところが、これが面白い。謎は謎のままで、旅行は進む。

レアキャラと書いたが、オリジナルの格好で旅行をしている方たちである。
3人いるという。

猫を乗せた乳母車を押しながら、歩きながら北海道を巡る「ねこおんな」
おもちゃの刀を持って走るライダー「サムライダー」
仮面ライダーのベルトを付けてツーリングをしている「ライダーマン」

こういう情報は、噂話として、旅行者の間で広がっていくのだろう。
さて、本当にいるのだろうか。

ラーメン3杯、お腹に入れて。
カロリーよりラーメン3杯分の出費に後悔しながら、旭川の夜を過ごす。

さあ、ここからは北へ向かおう。まずは最北端、宗谷岬を目指すのだ。

3日目は、これでおしまいです。
ありがとうございました。