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障害者雇用 日々つれづれ シュレッダー掃除に思うこと

障害者雇用の契約書に書かれていた業務のひとつに、シュレッダー掃除というのがある。

この業務は、業務というより作業なのだが、毎週金曜日の夕方にここ1週間で破棄された紙くずを機器から回収し、作業中に飛び散った紙くずたちをほうきとちりとりで掃除して特大ビニール袋をくくる、といういかにも単純明快な作業である。

作業中に粉塵が舞い上がり洋服は粉と化した紙まみれになる。オフィス用のシュレッダーだけで2台あって粉塵をたっぷりと浴びることとなるので、金曜日は黒い服は禁物である。

とはいっても15分未満でちょちょいとできてしまうのでなんとも楽な作業である。

この作業で思うことは、シュレッダー掃除とは障害者雇用のために会社側が頭をひねり、無理やり作り出した業務のひとつなのだろうということだ。

それまではオフィス内の誰かしらが当番制とかでやっていて、なんら不都合はなかっただろう。

パソコンとにらめっこが続くと悶々としたりして、そんなときのシュレッダーから吐き出される紙くずたちとの格闘も、気分転換によかったかもしれない。

それが、障害者雇用の業務の特権となったのだ。

シュレッダー掃除は、それまでは健常者たちの業務のほんの一部だったのが、障害者雇用が作られたことで雇用契約書に堂々と書かれるほどに格上げされた立派な業務となったのである。


かつておじいちゃん家に親戚一同で集まったとき、孫たちの中で私は一番年上なのもあって小さい子の面倒を見ていた。かと思えば大人たちから時々料理の手伝いなどにもよばれ、そのたびにバタバタしていた。コップをテーブルに並べながらふと横を見ると、3歳の従姉妹がコップをつかもうとしていた。遊ぶのかと思ったら「お手伝い〜」と言い切る。お手伝いもなにも私が並べればそれでスムーズに終わるのだが、従姉妹はどうしてもお手伝いとやらをやりたいのだという。ちらりと悩んだ結果、コップを私から受け取って並べるのを任せることにした。

これで立派なお手伝いになるのである。

従姉妹は達成感があるし、大人たちは褒めちぎるし、私も微笑ましくなって、つまりはみんな幸せになる。


障害者雇用でのシュレッダー掃除も同様なのではないか。

シュレッダー掃除は、なんの専門的なスキルも知識も必要ない。

それでもなんだか社会に参加していることを実感できて、周りからは喜ばれて、雇用契約書だけでその内容がありありと頭に浮かんでくるような明確な業務で、

それでいて疲れもたまらない、

なんとも絶妙かつみんなが幸せになる業務なのである。


ーーーーーつれづれと続く


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