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障害者雇用で3ヶ月② 中途採用業務

3ヶ月を経て新たに与えられたのが、中途採用業務である。

中途採用は年中行われている行事で、その都度筆記試験の準備をしたり書類の処理をしたりする役を仰せつかった。それでもどちらかというと、「親分」ー「子分」ー「下っ端」の順で言うと私は下っ端の役割なので、最初は気が楽だった。

しかし蓋を開けてみるとなかなか身体を動かす業務で、外部の貸会議室会社に予約を取ったり(予約にも電話プラス申込書のやり取りでなかなか作業が多い)、履歴書などの書類を面接官向けに印刷したり、志願者への配布物を作成したり、筆記試験の解答用紙を準備したりなどでバタバタである。

中途採用はこれまで他で働いてこられた方を採用するかどうかを決めるための試験だから、会社の今後に関わることでもあるし、志望者の人の人生を大きく左右する可能性もある。

会議室が取れなかったりすると試験さえ実施できなくなってしまう。

そう考えるととても重大な役回りなので、いつも以上に気が引き締まるのである。

試験当日はスーツを着てパンプスを履き、会場に出向いて机の配置を整えたり筆記試験の監督補佐をやったりする。志願者がやって来たときには検温したりアルコールシュッを提供したりもする。

採用は試験だけでなくその後も続く。
合格なら採用通知の書類を準備したり、その後その方から健康診断書や契約書が届いてそれを処理する。
なかには勤務開始日になっても提出してこなかったりするので、その人には催促メールを送ったりもする。
人事部ならではの(と私が勝手に解釈している)めちゃくちゃ下手(したて)の口調で。

採用に関わるすべての書類は厳重に取り扱う必要があるので、書類を整理するときには緊張感が漂ってピリっとした雰囲気になる。気がする。

まだまだ下っ端の立場だから大きなことは言えないのだが、3ヶ月目を迎えてなんだかようやく「人事部」に配属された実感を味わっているのである。

雇われた当初のピヨピヨのときは業務内容のシンプルさに驚いたのだが、時間が経過していくとなんとも柔軟に対応してくださっていることがうかがえる。
もしかするとシンプルな業務を通して向き不向きを見定めてくださっているのかもしれない。

障害者雇用にはいろいろな形態があることを実感したのである。

書きながらふと思ったのだが、私はてんかん患者である。
発作はいつ起こるか分からないし、志願者の方々が必死に筆記試験に挑んでいる最中に私が後方の席で意識を失うかもしれない。
でも今の会社の場合、中途採用の会場で発作が起こったりしても、おそらくほかの社員さんたちが落ち着いて対処してくださるのだろうと思う。

その様子を見て、採用試験に来た方は社員さんの優しさや寛大さに感銘を受けるかもしれない。そしてぜひここで働きたいと思うかもしれない。

てんかんは差別されるだけの病気ではなく、ときに人の心を動かしうる病気なのである。

ーーーーー続く

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