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#4 ディックに寄せられて

 「引き寄せの法則」というものがあると以前SNSで見たことがある。「どんなときも」のMVを見たら関連動画に「SPY」が出てくるようなことだろうか(違う)。冗談はさておき信じるか信じないかという軸で私はそれを捉えておらず、そういうのがあるんだなぁ程度に認識している。それに近しい経験をすればあれかぁと思うし、無かったとしてやっぱり嘘八百じゃないかと思うこともない。

 そんな前置きを書くくらいなので法則に則った経験の話をする訳だが、それはつい先日書店を訪れた時。本に関しては基本衝動買い主義の私には珍しくターゲットを定めての突入であった。双葉文庫と新潮文庫の列には見向きもせず通り──あ、沼田(まほかる)さんの本も探してたんだよな。『ユリゴコロ』は……あー、前来た時も無かったんだよな──ぬけ、眼前には水色の壁、ハヤカワ文庫の棚。

 グレッグ・イーガンに「今日はてめえじゃねえ(大失礼)」と目線を送った後、黒の背を探す……までもなくお目当ての一座は堂々と鎮座していた。そう、ハヤカワ文庫で黒の背と言えば『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』で著名なフィリップ・K・ディックである(偏見かもしれない)。電気羊は映画「ブレードランナー」の原作にもなったとか。

 ただ今回私が探しに来たのはアンドロイドでも安堂ロイドでもない。『火星のタイム・スリップ』という作品である。ちなみにディック氏とは初対面。私にはなるべく作家との顔合わせ時には王道の出会いを果たしたくないという難儀な性質がある。『ユービック』も避けたが上記3冊とは苦せずして会うことができた。

 が、難儀な性質Part.2として私には「なんか今日じゃねえな」と思ったら目標物を確認しても捕獲しないような節がある。こうなっては仕方ない。さっさと(フラグ)退散しようと数十分(フラグ回収)うろうろしたところ、一冊の本に何故かとても惹かれる。私の好きなグロ系ホラー系とは遠そうだが、どうしても読みたいと手に取ったところ裏表紙には<フィリップ・K・ディック賞受賞>との文字が。ディックてめえ引き寄せやがったな(大失礼)、とセルフレジの列までエスコートすることに。

 本と共に自分の番が来るとイヤホンから「一緒に帰ろう~」と槇原敬之。

◎ふわっとえっせいとは……
内容もしまり方もふわっとした感じのエッセイらしき
記事です。人生経験の不足を補うために偶に嘘の経験
も混じっていますがそこもふわっとということで……
(#の番号に前回との繋がり的な意味は一切ありません。
こんだけ書いてんだなーと思っていただければ。)

創作の原動力になります。 何か私の作品に心動かされるものがございましたら、宜しくお願いします。