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芍薬が咲かなかったときの楽しみ方

初めての憧れの芍薬

2、3年前に芍薬という言葉と、ピオニーという言葉と、その姿がやっと一致しました。その大振りで豪奢な姿と香りが良いという話に惹かれ、芍薬はずっと私の憧れの花でした。どんなに欲しかったとしても、芍薬が出回るのは5月から6月あたりだけなので、時期を逃してしまえばもう1年待つことになります。

そして今年の5月の初めに、近くの花屋さんで芍薬の蕾を3本買うことができたのでした。お花に詳しい方はなんとなく想像がつくと思いますが、残念ながらどの蕾も良いところまでは膨らんだのですが、花開くことはありませんでした。

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芍薬は気難しい王妃様


芍薬の蕾は蜜で硬く閉じられています。そのため、こまめに霧吹きをしたり、水で洗ったりする必要性があるようです。また、肥料食いと言われていることからも、たくさんの栄養を必要としていることがわかります。

インターネットの情報を頼りに、水揚げをし、無駄な葉を除き、こまめに蜜の対策をしたのですが、どの芍薬も蕾を膨らませたまま止まってしまいました。

「これは咲きそうにない」率直にそう思いました。

ずっと憧れていた、今の季節にしか咲かない花の最も美しい姿を見られないのはとても残念です。けれど芍薬の醍醐味はその姿だけではなく香りにもあります。せっかくなので咲かないからこその楽しみ方をしようと思いました。

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咲かないないなりの楽しみ方

「失礼します」

そう思いながら、私は外側の比較的厚めで色の濃い花びらを指で開きました。その中には少し薄い色の柔らかな花びらがぎゅうと丸まって詰まっています。中の花びらは、咲くことに至らないまま、根本から離れてしまっていました。通りで咲かないわけです。

噂に聞くとおり、花びらは甘美な香りを纏っています。それを丁寧に解して、お気に入りのボウルの中に入れました。

あとは1日中、鼻を近づけて香りを感じたり、指を入れて柔らかい感触を堪能したりしました。1番楽しかったのは、花びらを両手ですくって、洗顔をするように顔にふわっとのせる楽しみ方でした。

「花びらで顔を洗うなんて、なんて贅沢なんだろう」

と、クレオパトラにでもなった気分です。

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おわりに

咲いた姿の芍薬を楽しめなかったことは、やっぱりどうしたって残念です。けれども、蕾のままだったからこそ、香り高い花びらで洗顔なんていう、贅沢すぎる楽しみ方ができたのも事実です。

もしも芍薬が咲かないまま止まってしまったら、残念だと思いながらも少し違う楽しみ方を目一杯してみてください。

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