見出し画像

Unity1Week「1ボタン」振り返り 

 1週間でお題に沿ったゲームを作るオンラインイベント「Unity1週間ゲームジャム」の振り返り記事になります。

今回作ったのは弦楽器リズムゲーム「バローニエの弦奏人形」
遊んでね

初TU制作

 前回のunity1weekあたりからunity1week Team-UP!!(以降TU)なるチーム制作企画が始まっておりまして、就活にあたりチーム制作経験は大事だよな面白そうだなというので首を突っ込んでみました。

前回u1wでうちの子のゲームを作るのに味をしめていたので、
「つよつよ絵師にうちの子描いてもらってゲーム作ってハッピー!」
とか思っていたのですが、いざメンバー募集をかけるとなるとこう……尻込みしちゃって 全然動けなくてェ……

謎の圧に負けたのでうちの子関係なく作ることにしました。
アートでもサウンドでもいいから誰か1人来てくれと雑に募集をかけたら……来た!

メンバー紹介

エンジニア・えふぇこ
 
筆者。エンジニア(兼アート兼ディレクター)。全てはnemorumさんに音作りに集中してもらうため。

サウンド・nemorumさん
 
相方さん。携えたオーケストラ曲でえふぇこの心を射止めた。この1週間(正確には6日)で3曲+効果音まで作った剛の者。

 書き下ろしオーケストラ曲でゲーム作れるのめっちゃええじゃん!!と元オケ部のえふぇこの心が動いたのでこのチームになりました。
 世界観で殴りまくってやるぜ……!

ゲーム内容&方針

 世界観で殴ろうと思ったらお題がまさかの「1ボタン」。世界観も何もねぇ。何もないからこそなんでもいいのか?

 とりあえずお題の1ボタンはゲームの操作を1ボタンで行うことで回収することにし、
・nemoさんがいるからこそできる表現をする
・nemoさんの音楽世界観にあった雰囲気を作る
・その他、2人が好きな要素を詰める
をまぜこぜした結果、遺跡の奥に眠る人形を操ってバイオリンを弾くゲームが錬成されました。

 ここで一応ゲーム内容を紹介しておくと、早い話がバイオリン版DEEMOです。プレイヤーはオケ曲のバイオリンパートのみを弾きます。
 スペースキーを押し下げている間だけ弓が下に動き、離すと上に動きます。いい感じにギコギコするわけです。

 また、この作品を所謂「音ゲー」にしないようにしよう、という方針もありました(途中から意識しだしたことですが)。スコアを競い、フルコンボやオールパーフェクトを取るために何度もプレイする、というのはこのゲームには合わんだろうとの判断です。
 そのため、数値としてスコアを見せることもなければハイスコアも記録しておらず、一時中断やリトライボタンもありません。判定もかなり甘いです。その分余計なギコギコには減点を下しています。

 ただし、そういったリトライ性を潰してしまうとせっかくのnemoさんの曲が繰り返し聴かれる機会を奪ってしまうというジレンマもありウゴゴゴ
 えふぇこ自身も音ゲーマーなので、その点でもそこそこ悩みましたが、世界観優先で作っています。一方で、音ゲーマーの習性を利用した演出も一か所だけ入れていたり……

良かったとこ振り返り

予定期間内に終わった!

 えふぇこの都合により、土曜日までの完成を目指すunity6daysスケジュールでしたが、無事に時間内に作り切ることができました!遅刻歓迎のイベントではありますが、中の人としてはやはり〆切を守った方が心が安らかに評価期間を迎えられます。
 殊更難しい実装もなく、メイン部分の8割を1日目で作れたのが大きかったです。プログラムが簡単な分、演出に力を入れる(当社比)こともできハッピー。それでも6日目は残りタスクがいっぱいいっぱいで、nemoさんに作曲以外のタスクも担当してもらいました。感謝。

譜面自動生成システム

 えふぇこファインプレーの部分です。音ゲーの物量を出す中で作曲の次に大変なのが譜面制作ですが、今回はここを半自動化により省力化しました。
 プレイヤーにはバイオリンの音だけを拾ってもらうので、nemoさんが作った曲のうちバイオリンの部分をMIDIデータにし、それをそのまま譜面に流用してしまおうという算段です。
 ただし、MIDIをそのままUnityで使えるわけではない&MIDIの情報全てが必要なわけではないので、JavaでMIDIファイルから独自フォーマットへの変換を行った上で使っています。また、そのままだとゲームとして難しい箇所や作曲者の意図通りにならない部分もあったので、その点は人力で修正しました。
 「作曲者からMIDIデータをもらえる」かつ「音符が流れてくるレーンが1つ」という条件下だからこそ取れた手段ですが、これにより譜面制作コストが大幅に減り、「最終日ギリギリまで楽曲のリテイク・バージョンアップができる」という圧倒的アベレージを手にできました。やったぜ。

nemorumさんがすごすぎた

 上でも言及しましたが、nemoさんは6日でオーケストラ曲を3曲も作ってくださりました!作曲ができない羊から見ると恐るべきスピードです。どこから降ってくるんだそのフレーズ量。効果音も5案くらい引っ提げてくるし。
 えふぇこがふわっとしたリテイク依頼を出したときも、えふぇこがオーダーを細かく言語化できるように導いてくださって、とてもやりやすかったです。どういうことを伝えれば相手が作りやすくなるのかってわからんのですよね。
 後は最終楽曲がめちゃくちゃにラブなのですが、それはまた下のおまけで……

より遠くへいける

 ソロとチーム、それぞれの違いを表すのに「はやさと距離のトレードオフ」というのはよく言われますが、まさにその距離を実感できました。1+1が3くらいになった気分です。作曲者がチームメイトとしているからこそのより良い表現、仲間のパフォーマンスに応えなければというやる気、互いに意見し合うことによる磨き合い。「良いもの創っちゃったぜ……」という余韻に浸っています。

反省点振り返り

伝達忘れ&想定不足

 えふぇこは羊でありながら猪突猛進の質も備えているがゆえに、計画性というものにはやや欠けています。そのため、以前伝えたことを撤回したり、見逃していた点が浮上してきたりがありました。実装を進めるまで、音ゲーの曲選択画面には固有BGMが要らんことに気づかないのですね。マネジメントパワーが足りないなぁというのがしょんもりポイント。nemoさんすまない。

怒りのバグ修正

 Unity→WebGLはオーディオ周りに罠が多いことが知られていますが、リズムゲームという今回のゲームジャンル上その罠は避けて通れないわけです。見事に何回か引っかかりました。
 良かったとこの最初で予定期間内に終わった!とか言ってますが半分嘘です。

えふぇこ「サムネを完成させ日曜0時!これは勝ったな!」
nemoさん「演奏が始まっても音符が流れてきません……」

深夜のバグ直しに爆散するえふぇこ

 戦いは深夜1時まで続きました。ビルド毎に奪われる10分、やけくそに仕込まれるDebug.Log、今まではWebGLでもちゃんと動いていたのに……
 結局AudioClipのloadTypeがStreamingだったのが良くなかったようです。その状態でAudioSource.timeは取れないらしい。公式ドキュメントにもStreamingは対応してないと匂わされてる。じゃあなんでエディタ上で選択できちゃうの

結論

チームの力はすごいや
多分次もTUにお邪魔するかと思います。こんどこそうちの子ゲームを作るのじゃ!


おまけ

 ゲーム内で最後に開放される曲が好きすぎるので語ります。じゃっっかんのネタバレがあるので最終曲聴いていない人は先に聴いてきてください。


nemorumさんがSoundCloudに曲をあげてくださっているので是非聞きながらどうぞ。

 2曲目でも使われた主題(音楽の中で繰り返し使われるメインのフレーズ)から始まります。そして続くのが……フルートによるメロディーパート!バイオリンはなんとそれに掛け合う側!バイオリンメインのゲームでこれをしてくるとはさすがです、今までのバイオリン=メロディーの流れを覆す新鮮な風が吹き、遊びごたえが増す……!
 そして再びメロディーのバトンはバイオリンに渡され、主題が繰り返されます。途中までは2曲目の主題と同じですが、途中から2曲目とは違ったフレーズへ。これが!感情爆発ポイント①!2曲目のテーマは終焉であり、自動人形を作った文明の終末とその後を表す曲になっています。対して3曲目のテーマは再起。同じフレーズから始まり、それぞれが別の分岐をたどることである種のif的な、もしあの文明が滅びに瀕しながらも(あるいは滅んだかのように見えた後に)復興したのなら……そういった趣が感じられます。最高。
 しばしバイオリン休憩ののち、再び主題が復活します。転調をして!!!そこでそれはズルいでしょう。2nd感情爆発を迎えたえふぇこは泣きます。主題っぽいですけど微妙にリズムも違うんですよね。これもまたゲームとして良い裏切りです。好き。えふぇこを泣かせたメロディーは管楽器へと移り、バイオリンはこれまでにない軽快なリズムを奏でます。ここプレイしていて一番好き。そして物語は終盤へ。楽器が終結し、かつての栄光とその存続を夢見させて……
 
 好きすぎて作業中何度もリピートしていました。本当にありがとうございました!!!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?