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文春新書
2022年5月28日 17:30
本書の著者、速水融氏(一九二九―二〇一九)の生涯は、常に〝学問〟と共にあった。 そもそもが〝学者一家の出〟である。父、速水敬二(養子に出たので「速水」姓)は哲学者で、伯父、東畑精一は農業経済学者で、叔父、東畑四郎は農林事務次官を務め、叔母、喜美子は、哲学者の三木清に嫁いでいる。 戦時中に居候していた東畑精一の家には、政治学者・蝋山政道など「昭和研究会」のメンバーが出入りし、当時一五歳だっ