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結婚して一番よかったことは、これ以上結婚しなくて良くなったこと

(若干夢と感謝が足りてないと思われかねない話です。ごめんなさい)

結婚して13年が経過した。結婚してよかったことは?について改めて今振り返ると、子供ができたとか、生活が安定したとか、困った時に助け合えるパートナーがいるとかもちろんある一方で、本当に一番よかったのは「これ以上結婚しなくて良くなったこと」だなと思う。

未婚で30歳くらいだった頃は、会社の先輩方との飲み会に行くと、私がなぜ結婚しないのか、彼氏はいるのか、どのような男が好みなのか、といった話題が酒の肴として卓上に提供されるのが常だった。みんなからしたらきっとただのネタだったのはわかる。いじって「あげている」くらいの感覚だったのだろう。無駄に院卒の高学歴で、平均的な顔の年頃女子の恋愛と結婚事情が。六本木の居酒屋で、「ワカメちゃん彼氏いるの?」から始まる。います、と言ったらなんでまだ結婚しないんだって聞かれるし、いない、と言ってもなんで手頃な男と付き合わないんだ、〇〇(隣のチームのハゲ and/or DB)なんていいじゃないか、と続く。相手が見つからないんだと言うと、最後は必ず「お前が高望みしすぎなんだよ」という捨て台詞でこの話題は終わる。

「高望みしすぎ」と言う言葉の殺傷能力たるや「お前はブスなんだよ自覚しろよ」とほぼ同格だと思う。いや、仮にブスだったとしてもそんなことわざわざ言われなくてもいいよね。

私は極めて昭和トラッドな家庭に育ったこともあって(結婚するのが当たり前、な価値観)20代の中頃から結婚を意識しながら相手探しをしていたけど、彼氏はできてもなかなか結婚までは至らず、別れてはまた次を探す、を数回転していた。その間、周りの学生の頃の友人などは神経衰弱のようゲームのようにちょっとずつつがいになってマーケットから消えていった。正直なところ毎日焦るし、孤独を感じていて、消えたくなっていた20代の終わり。友人の結婚式に呼ばれればもちろん祝福の言葉を伝えていたけど、心の中では邪な思いが横切ることもあった。

私の順番はいつ?

大学の同級生の男子は売れ行きがよく、逆に女子は売れ残っていた。下方婚という言葉を覚えたのはこのころ。男性はみんな、家柄・容姿・学歴などなどそれぞれが大事にしている価値観においてちょっと自分より下の女性を配偶者として選ぶ。

男の同級生たちは、結婚を決めるとなぜか連絡をしてきて決まっていうのだ。

「ワカメちゃんならきっといい人がいるよ可愛いもん」
「僕も本当ならワカメちゃんみたいな人と結婚したかったよ」

キモ。本当にそう思ってんだったらそのCAとじゃなくて私と結婚しなさいよ。ひとりで気持ちよくなってんじゃないわよ。

勉強会のようなパーティで知り合った夫と結婚したのは、今振り返ると本当に勢いみたいなものだったけど、籍を入れた後にものすごくホッとしたのを覚えている。ああもうこれで、「なんで結婚しないの」って言われないんだ。そう思うだけで、呼吸が楽になった。

結婚指輪をつけるようになったら体の周りに結界が出来たように感じた。結婚した女性に、周囲の男性は少しだけ尊敬を払うようになることも学んだ。

13年も経てば結婚生活は人並みに色々あるのだけど(夫が私の話を聞いていないとか、LINEが1週間くらい既読にならないとか、多分相手も同じくらい私に不満があるだろうとか)、それでもすぐ離婚しようと思わないのはこれがあるからだ。

もしいま離婚なぞしたら、きっとどこからともなく性的ボランティアおじさんみたいなのが湧いてきて、「困ってんねやろ」とか「相手されるのも今のうちやで」とか「俺はパンツはシルクの白がええわ」と言い出すに違いない。私にはそれを跳ね除けるほどの元気はないので、静かにその結界の恩恵を受けながら、今日も左手の薬指に指輪をはめて家を出る。



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