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読書記録:林真理子さんの「女の偏差値」と「もっと塩味を!」と、ついでに成田さんとの動画も。
お盆休みはやっぱりおばあちゃんの家の庭で静かに読書を、と思ったら空から大粒の雨が降ってきてしまった。仕方がないので庭の片隅にある東屋に避難して雨宿りしていると、それに気がついた爺やがキッチンから淹れたての紅茶をお盆に乗せて運んできてくれる。というのは目黒区の駒場公園に行くたびに私が繰り広げるしつこい妄想なんだけど、本を読むつもりで行ったのについた途端に雨が降ってきて滞在時間5分になってしまったというのだけは本当です。
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最近日大のあれこれなニュースを横目で見て、大変そうすぎるなあと林真理子さんのことが気になっていて、昨日は図書館で借りてきた「女の偏差値」というエッセイ集をまず読んだ。ananに連載していた記事をまとめたもので、林さんが「デブなおばさん」だがしかし「好奇心旺盛で、太っ腹で素直な人」、そして全然「エロババアではない」というキャラ設定を一瞬もぶらさずに日々のことを綴っているのがすごく面白いし好きになってしまう。
例えば、「有難き中国フレンズ」という記事では
つい先週のこと、私がなぜデブなのか決定的な理由がわかった。(中略)私は毛細血管の量が、ふつうの人の十分の一しかなかったのである!
もうこの文章、林さんの良さが滲み出ている。エッセイのあちこちで、林さんの飽食ぶり(食べるのが好きで、お友達も多くてよく誘われる)が描かれているので、読者の9割はこれを読んで「いやいやいや、毛細血管以前に食い過ぎだからだよ」と心の中でツッコミを入れたに違いないのだけど、そういうツッコミの余白をきちんと用意する親切さがきっと長く活躍する秘訣なんだと思う。
「エロババアではない」っていうのは、よく若い人を応援したりご馳走する林さんのこと。夕食を食べに行くためだけに日帰りで京都に出かけたり、舞台や歌舞伎を楽しんだりと随所に欲に素直な生活が伺える。でも男性の支援については、「私は焼き肉までの関係しか持たない。これが長く続くコツですよ、コツ!」と表明されてて、なんだか見習いたいと思ってしまった。いや、よく考えたら私は放っておいても若い男性を支援する機会なんてほとんどないし焼き肉以上のことにはならないのだけど、そうなるパワーがあったとしても使わないってかっこいいなと。
ところで本とは関係ないけど雑誌Withが作成した私の大好きな成田さんと、林さんの対談の動画がある。もし私が林さんの代わりに出演していたらもう成田さん大好きすぎて、時々よだれをすするような不快な音が混ざりかねないのでそもそも共演自体が無理だし、私にお声がかかるわけもないからもはやこれ全てどうでもいい妄想のつづきで何を釈明しているのかわからないのだけど、林さんは終始落ち着いて出版や作家の話をしている。
エッセイもだけど、この動画を見てびっくりするのは、日頃接する私や私の周りにいる人と圧倒的に違って林さんが貪欲で素直な野心家であること。「本を出すなら売れたい」「TVに出るなら視聴率取りたい」「講演会をやるならたくさん人に来てほしい」とはっきり言っているし、エッセイを読むと「頑張って働いてたくさんお金を使う」ことへのもはや信念に近いもの伝わってくる。最近の時代の気分って「好きなことができていれば、人からの評価とかは関係ないですよね」「お金は必要なだけあればいい」「モノってむしろ少ない方がいいよね」の方向にふれていると思うので、逆に新鮮でさえある。
私自身は、経済力や出入りをする場(社交界にいない)からしてバーキンを持つことは一生ないだろうと思うし、特にそこに渇望みたいなものもないのだけど、もしかすると欲しがる前に諦めているだけなのかもしれないと思うことはある。だからこうやってきちんと「欲があり、そこを目指す」みたいなのも潔いし、ちょっとスポーツ選手みたいな感じもする。
続けて読んだこちらの本は2008年に出版されている小説。いつかミシュランの星をとることを目指すシェフと、その妻の出会い、結婚、出店、パリ進出、病気、裏切りや離婚をめぐる物語で面白い。でも私にとっての一番のワオ!ポイントは、何しろフランス料理やブランド物のお洋服の描写がすごく細やかなところで、エッセイで垣間見た林さんの毎日の飽食とお買い物は取材なわけですねと合点がいった。そして、ここでも彼女の上昇志向がちゃんと表れており、「上を目指す男」と「それに伴走する女」が描かれていて、基本的にはチャレンジと失敗が繰り返される。テーマは多分「成功と裏切り」で、主人公のミサコの人生に登場する3人の男性(元夫、勝、直人)それぞれとの成功と裏切りが描かれる構成。
ということで、林真理子さんに浸かったここ数日。日大のニュースの詳細はあまり追っていないのだけど、私にもうっすらニュースが届いてしまうということは完全な外野からのコメントも多いのだろうと想像する。マウイの山火事と同じく早めに鎮火いたしますように!
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