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主文、被告人は無罪。|第1話

第1話:それぞれの1日

田舎の小さな町に住む明るく元気な小学1年生の女の子。彼女はみんなから愛され、家族や友人と共に幸せな日々を送っていた。

ある寒い冬の日だった、女の子の元気な笑顔が町を温かく照らしていた。

一方、女の子が住む場所から40km離れた場所に住む青年、Kはフリーターとして生活していた。彼は台湾で生まれ、日本で育った経歴を持ち、内向的な性格で人付き合いが苦手だった。幼少期の家庭環境は辛く厳しい生活だったが、人生を諦めず必死に生きていた。白い車でドライブするのが大好きだった。

2005年12月1日の朝、女の子は家族と共に温かい朝食を取り、学校へと向かった。小学校に到着すると、友達たちと楽しそうにおしゃべりしながら授業を待っている。

一方、Kは家を出てフリーターで母親の仕事を手伝って生計を立てる日々を送っていた。彼の目の前に広がる地方都市の喧騒に、内心では孤独を感じながらも前向きに生きていた。Kと女の子の接点はほとんどなかった。強いて言えば、Kは女の子が通う小学校に3ヶ月間だけ通っていた。日本語が全く話せなかったが、中国語ができる子が偶然いて、短い間だったが楽しい学校生活を送ることができた。

女の子の小学校では、授業が進み、友達との楽しい時間が続いていた。その日は木曜日だった。木曜日だけ小学1年生が早帰りする日だった。

女の子は、同級生3人と一緒の班だった。下校ルートは民家が少なく、車がすれ違えないぐらいの幅ぐらいの田んぼと杉林の続く道だった。
学校から歩いて20分ぐらいのところで、三叉路についた。女の子は、班の他の女の子と帰る方向が違うため、分かれることになった。

いつものように、別れ際に笑顔でみんなにバイバイをしていた。

しかし、このあと、突然の悲劇が彼女を襲うことになる。下校途中、女の子は何者かに誘拐されてしまったのだ。

同じ頃、Kは街のレンタルショップでコミックを借り、ひとときの癒しを求めて、ゲームセンターに向かっていた。Kは自分が犯罪者にされることなど知る由もなく、普段通りの日常を過ごしていた。

第2話:行方不明

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