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主文、被告人は無罪。|第3話

第3話:捜査が始まる

朝、地元紙の朝刊で女の子が行方不明になっていることが報じられる。

警察は公開捜査に切り替え、情報提供を呼びかける。市民も積極的に協力し、事件の解決に取り組む。

2005年12月2日 14:00、行方不明になっていた女の子が住んでいたところから60km離れた隣の県の山林で遺体となって見つかる。

野鳥を見に来た初老のおじさん3名が山林で遺体を発見、すぐに警察に通報した。特徴が行方不明で公開捜査されている女の子に一致していたため、警察に衝撃が走った。

県を跨いでいたことから、両県警合同捜査本部が設置される。専門家や捜査員が集結し、徹底的な捜査が開始される。

2005年12月2日 16:00、行方不明になった女の子の家族に、女の子に特徴がよく一致する人が見つかったことが伝えられる。家族はすぐに警察署に向かい、行方不明の女の子との関係を確認する。

2005年12月2日 17:00、家族の到着を待たず、検死が行われ、遺体の状況や犯人の遺留物の有無などの詳細な調査が始まる。捜査班は事件解決に向けて時間を惜しまず取り組んだ。

2005年12月2日 20:00、家族が警察署に到着すると、行方不明になった女の子の遺体は冷たい台の上に仰向けで寝かされ、白い布が被されていた。家族は女の子本人であることを足のほくろで確認する。身元確認の結果、家族の絶望は現実となる。

取材陣が警察署の外に集まっていたが、嗚咽が外まで漏れ聞こえた。報道陣も事件の重大性を痛感し、現場には悲しみが広がった。

最悪の結果となってしまった。町全体が悲嘆に暮れる中、事件の真相究明へ警察関係者はより一層気を引き締めた。

2005年12月2日 22:00、司法解剖が行われ、遺体の状態から死因を特定するための鑑定が始まる。司法解剖結果の鑑定書を警察に提出したが警察からの質問は特になかった。一部の捜査員は違和感を覚えながらも、事件の真相に近づく手掛かりは見つかっていない。

遺体は全裸であった。胸には10箇所の刺し傷があり、1㍑以上の血液が流れ出ていた。さらに、頭部に粘着テープが付着していた。足裏には泥がついておらず、別の場所で殺害された可能性も考慮された。捜査員たちは事件の舞台を再構築し、真相に迫ろうとした。

警察は、遺棄現場に血液反応があったことから遺棄現場で殺害されたと断定した。事件の捜査は新たな局面に入りつつあった。

胃の内容物にお昼ご飯があったことから12月1日 17:00 ~ 19:00の間に殺害されたものだと断定した。捜査員たちは事件当日の動きを追跡し、犯人の足取りを探ろうとする。

遺体には複数のDNAが付着していたことから、事件の解決が近いと思われた。そして、獣毛が遺体に付着していることも判明し、有力な証拠となると思われた。

遺体は性的わいせつの痕跡がいっさいなく、司法解剖した医師による印象だと遺体の様子から女性による犯行の可能性を感じたが、公にされるのは、だいぶ後のことである。捜査員たちは過去の事件との関連を探りながら、犯人を追い詰めようとする。

事件の真相には未だ多くの謎が残されており、捜査員たちは時間をかけてしらみつぶしに謎を解明し、早急に事件解決をし犯人を捕まえて被害にあった女の子に報告することを心に強く誓った。

警察の捜査は遺棄現場が殺害現場となったため、複数の意見が出された。また、捜査班は事件の真相を解明するため、拉致現場に警察犬を投入し、同級生と分かれた三叉路から100メートルのところの砂利道のところで匂いが途絶えたため、そこで誘拐されたものと推定した。

警察は遺留品がいっさいなかったことから、県内全てのゴミ処理センターに人員を動員し、怪しいものがあればすぐに発見できる体制をとった。遺棄現場と誘拐現場をつなぐ主要な道路沿線上の周辺の土手や雑木林、山林などの捜索も徹底的に行なわれた。現場付近のすべての住民に対しても聞き込みが行われ、事件前後に怪しいことがなかったかを調べた。目撃情報を探すため、事件のあとしばらく人員を拉致現場付近に派遣し聞き込みが行われた。

拉致現場と遺棄現場では複数のタイヤ痕が採取されたが一致するものは存在しなかった。運動靴の足跡、タバコの吸い殻、汚れていない手袋なども採取されたが、決定的な手がかりは得られていなかった。

捜査は依然として困難を極めていたが、捜査員たちは情報収集に余念がなく、被害者の家族への思いと事件の解決を願って執念を持って取り組んでいた。一方で、報道陣は事件の報道が加熱し、遺族のプライバシーを尊重せず、遺族にとって非常に苦しい日々が続いた。

捜査員たちは犯人の動機や背後に隠された事実に迫るために、さまざまな方法を試みているが、捜査が難航しだして事件の解決には時間を要することを次第に理解していく。

次に続く …


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