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主文、被告人は無罪。|第4話

第4話:未解決事件

事件発生から10日後、警察は証拠不十分ながらもKを容疑者リストに加えた。Kは誘拐現場に少しの間住んでいたことがあり、目撃情報にあった不審車両と特徴の一致する車に乗っていたこともあり、事件の状況から彼が関与している可能性が指摘されたためである。

警察はすぐにKを内偵し、彼の乗用車の写真を撮影したが、目撃者の情報と車の特徴が一致しなかった。このことはKのアリバイを裏付けるものではなかったが、容疑者としての確証は得られなかった。

2006年になっても事件は未解決のままであったが、Kに対する情報提供も続いた。Kのパソコンの先生が警察に対してKが怪しいとの情報を提供したことで、再び彼が注目されることとなった。

警察は2006年にKに対して3回の聞き取りを行ったが、アリバイがないこと以外は特に不自然な点は見つからなかった。しかし、無実である確固たる証拠が不足していることから、容疑が晴れることはなかった。

実は、2005年12月1日のKは事件とは無関係であることを示すアリバイが存在していた。しかし、そのアリバイを思い出すことができずにいた。捜査に時間が経過したことでアリバイを忘れてしまい、それを確認することができなかったのである。

もしもKが事件の初期に聞き取りを受けていたら、アリバイを思い出すことができ、彼に対する容疑が晴れる可能性があったかもしれない。時間の経過が事件解決の妨げとなっていたことが示唆される。

KのDNAと事件現場のDNAが一致しなかったため、一時的に彼は容疑者リストから外れることとなった。しかし、真犯人が別の手段で事件に関与していた可能性が指摘され、捜査は再び展開される。

未解決事件であるこの事件を解決するために、警察は犯人に結びつく情報の提供に200万円の懸賞金をかけた。この懸賞金がさまざまな情報提供者を呼び込むこととなる。

情報提供は増える一方で、事件の捜査は難航し、県警は警察庁に対してプロファイリングを依頼した。犯人の心理的特徴や行動パターンを分析することで、捜査の手がかりを得ようとしたのである。

プロファイリングの結果、犯人が小児性愛者の傾向があるとして特徴づけられたため、捜査はその方向性に沿って展開される。しかし、容疑者を特定するには至らなかった。

「小児性愛者」とのプロファイリング結果から、国内屈指のオタクの聖地やフィギュアショップなどで広範囲に渡って聞き込みが行われたが、有力な手がかりは得られなかった。

2007年になって、遺体に付着していた複数のDNAが同じ男性のDNAであることが判明した。解決に一歩近づいたと思われた。

2009年、驚くべき事実が発覚する。有力な手がかりとしていた遺体に付着していたDNAが捜査幹部のものであることが判明したのだ。これにより事件はさらに混迷を極め、捜査に対する信頼性が揺らぐ中、事件の解決は遠のいてしまった。

捜査チームは、遺体に付着していたDNAに焦点を当ててきたが、それらが捜査幹部のものであると判明したことで、捜査は振り出しに戻ることとなった。真犯人の特定に向けて、新たな方針を模索しなければならない状況となった。

事件が未解決のまま長期にわたり続いたため、警察には多くの情報提供が寄せられた。しかし、それらの情報はどれも決め手に欠け、犯人逮捕にはつながらなかった。事件の謎は深まるばかりであり、解決への道は依然として見えないままだった。

事件から7年の月日が流れ、未解決事件として名前を知られるようになっていた。事件はマスメディアやネット上で話題に上り、依然として多くの人々が真相解明を願っていたが、その望みは遠く遠くに感じられるものとなっていた。

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