新たな産業構造への転換(後編)

前回の続きということで、2つ目のポイントから。

2.単価の倍増

次のポイントは、労働時間を半減しながらも、今まで以上の高い成果を目指そうということだ。
ここでいう成果を厳密に定義すると「インプットした物質が生み出す、単位あたりの価格」ということになる。例えば、木材1kgを使って生み出した商材の価格を倍にしようということだ。

もちろん、単純に値上げしましょう、という話ではない。
そもそも価値のあるものを創り出していくことが必要だ。
一人ひとりがミッションのために働き、自分の得意を磨き、誰かの心の喜びを増やす。そういう価値ある製品・サービスを増やしていく。

例としては、ディズニーや星野リゾートなどはそういうサービスの典型的な例だと思うし、身近な製品でも、タオルやティッシュなどで通常品の何倍もの価格で売れているものがある。

逆に、うまくいかなかった製品・サービスに目を向けてみると、例えば次のような要因でマネタイズできていないことが多いだろう。

・自分の生み出している商材が、誰にどんな価値があるのかが十分考えられていない
・自分の生み出している商材の価値を低く認識している
・自分の生み出している商材の価値は正しく認識しているけど、うまく伝えられない

実際、僕もこれまで、様々な業種・企業に関わらせていただいてきたけど、上記のようなケースをたくさん目にしてきた。

一人ひとりがミッションのために働き、自分の得意を磨き、誰かの心の喜びを増やす。そういう製品・サービスを増やしていくとともに、その価値はしっかりとマネタイズしていく。これは欠かせないポイントだと思う。


3.サービス消費の爆発

ここまでの2つのポイントは、まとめると生産性の向上ということになる。
2つの要素が掛け合わせると、生産性は何倍にもなる。

そして、それによって得た時間とお金は、喜びを与えてくれるサービスを消費することにどんどん使う。
一人ひとりがミッションのために働き、自分の得意を磨き、誰かの心の喜びを増やす、ことによって生まれたサービスを積極的に消費する。

ここで、喜びを与えてくれるというのは、自分の好きなことだけでなく、自分が苦手なことを代行してもらうという類のものもある。あるいは、知的欲求を満たすといった消費の仕方もあるだろう。

そうやって、様々なサービスを消費することで、非物質(サービス活動)と物質(生産活動)の割合として非物質の方が今以上に大きくなると、有限の資源をあまり使わずに経済活動を回していくことができるのではないだろうか。


以上の3つのポイントは、いずれも簡単なことではないが、できると思う。
そして、これらが大きく変わっていけば、心の喜びにあふれた社会になっていくと思う。

ただし、お金に変わる交換手段がないというのが、大きな課題になりそうではある。お金がお金を生み、格差が広がっていく、今の金融のメカニズムのもとでは、どうしても、たくさん働き、たくさん稼ぎ、貯蓄する方向に流れてしまうのかもしれない。

今は答えがないので、考えてみたい。


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