新たな産業構造への転換(前編)

次はマネタイズのことを書こうと思っていたところ、前回の記事を読んでくださった大学時代の恩師とのやり取りによって思考が深まったので、前回の続きをもう少し書くことにした。

その前回の結論は「経済成長ではなく、(お金や物質を獲得すること以外で得られる)心の喜びの成長を志向しよう」であり、今回のテーマは「心の喜びの成長を志向した先にある産業構造は?」だ。

結論を先に書いておくと、大きなポイントは3つだ。

1.労働時間の半減
2.単価の倍増
3.サービス消費の爆発

今までの半分しか働かないけど、得意なことを追求することでより高い価値のある製品・サービスを生み出し、単価を上げ、収入は増やす。そうして得た時間とお金を、今度は他者が生み出した高い価値のある製品・サービス、特に物質を伴わないサービスを消費することにどんどん使う。

このような構造を目指していけば、心の喜びにあふれた社会になっていくのではないだろうか。

それでは、それぞれについて、少し詳しく書いてみたい。


1.労働時間の半減

一言で言ってしまえば、よく言われる「働き方改革」なんだけど、思い切って半減を目指す。

今、新型コロナをきっかけに、テレワークが一気に進んでいる。最初は戸惑いがありながらも、あっという間に慣れ、通勤時間の削減、営業訪問時の移動時間の削減、会議時間の削減、はんこなど手続きの簡略化など、より効率的に成果を出せる手応えも感じていると思う。

このまま変化が一気に加速すれば、例えば、都心の大きな本社に多くの人が出社するという状況を変えることができる。小さな本社オフィスを都心に残しておいてもいいけど、組織は自律分散型へ移行し、多くの社員はそれぞれ好きな場所で働く。企業による管理もなくなり、自分自身で判断してスピーディに動く。

進歩した技術を活用しながら、そのような組織を目指せば、通勤時間を含めた総労働時間を半分にしても、今までと同じだけの成果は出せると思う。

さらに言うと、その組織は一つの大企業である必要はなくなるし、一人ひとりも一つの企業に所属する必要もない。企業よりも、その地域のコミュニティへの帰属意識が強くなり、仕事は複業、そんな生活になる。「資本主義の終焉、その先の世界」(著:水野和夫、榊原英資)において、「より早く、より遠くに」という時代から「よりゆっくり、より近くに」という時代への変化が起こると述べられていたが、まさにこの言葉のイメージだ。

そのための課題は技術ではなく、これまでの組織の慣性に逆らって、いかに変革を進めるかという点だ。
分散した組織において求心力となるビジョンやミッションを示し、一人ひとりの自律を支援する成長機会をいかに与えるか、対話を重ねながら、新たな組織、新たな働き方へ移行していくことが求められるだろう。

(今日はここまで。続く。。。)

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