好きなことをマネタイズするvol.2   ~買う理由と買わない理由~

今回もマネタイズについて。

前回は、以下の2つの方向をイメージしながら、提供内容や顧客について考えてみようということを書いた。

「自分でできるけど、したくない」人たちの代わりに行う。
「自分でできないけど、したい」人たちに教える。

このときに、制約条件を取っ払い幅広く考えるのも大事だが、いい仮説を持つためには、"顧客の理由"を考え抜くことが大事だ。ここで、どれだけ考え抜けるかが成功を左右すると思う。

前回に続いて、農業を例に考えてみよう。
現在、畑で作った野菜を流通を通して売っている人が、家庭菜園を始めたい人に作り方を教えるサービスに乗り出したいとする。代行だけではなく教育に乗り出すイメージだ。

この場合、ターゲットになるのは、「現在は自分で農作物を作ることができないけど、作りたい」人たちになる。

では、この人たちは、なぜ家庭菜園を始めたいのか?それによって、何を得たいのか?買う理由を考えてみよう。
 
 ・趣味を持ちたい。それも家族全員で週末楽しめることがいい
 ・自分で土をいじり、育てる楽しさを子供に体験してほしい
 ・定年退職後の趣味が欲しい
 ・新たな収入源が欲しい。道の駅などで売って、家計の足しにしたい
 ・環境への問題意識が強く、自分で食べるものを自分で作る生活に
  興味がある。その第一歩として始めてみたい

少し考えただけでも様々なニーズがありそうだ。
「畑の一部を10平米くらいの区画に分けて、近隣の家族向けに道具と一緒に貸し出し、作り方も指導する」サービスを始めて、宣伝するだけでも、それなりに顧客ができるかもしれない。

でも、ここでもう一つの方向、買わない理由も考えてみるといい。
今度は、家庭菜園を始めたいけどできない理由は?買わない理由は?という問いになる。

 ・庭が狭くて、土地がない
 ・道具がないし、何を揃えればいいかわからない
 ・どんな野菜をどのように育てればいいかわからない

このあたりの理由であれば、先程のサービスでクリアできそうだ。(もちろん、価格設定にもよるけど、それは別の機会に)
でも、買わない理由は他にもいろいろと考えられる。どのような心の声が浮かぶか、どのようなことをつぶやくか、をリアルにイメージしてみよう。

 ・自分の庭で作りたいから、土地貸出まではいらないんだよな。。。
 ・それぞれの区画でそれぞれ作るだけじゃなくて、
  大勢で交流できるといいんだけど。。。
 ・メインの仕事があるから、毎日見に行くのは難しいし、
  やっぱり無理かな。。。
 ・リタイアして普段は時間があるけど、長期の旅行にも行きたいから、
  育てきれないかな。。。
 ・たくさん作っても、食べきれないし、さすがに売るのは難しい
  だろうし。。。

このように、いろいろと買わない理由も考えていくと、「区画の広さを2平米~など幅を持たせる」「区画を分けて提供するのではなく、みんなで交流しながら育ててもらう」など、提供サービスを工夫できるかもしれないし、「定期的に家庭にも訪問し、個別指導もする」「旅行中、水やりなどを代行する」「食べきれない作物を、道の駅で売る作業を代行する」などのアフターサービスで、さらに価値を高めることができるかもしれない。そして、これからの時代は、そのようなサービスによる価値提供がますます大事になっていくと思う。

人が何かを買うという行為は、抽象的ではなく、具体的な行為だ。
その行為に至ってもらうためには、誰が、どのような状況で、なぜ買うか?なぜ買わないか?をリアルに考えることが大事だと思う。

そして、その誰かのパートナーになることが、どんな時でも必要とされる鍵になるだろう。
次回はそのあたりのことを書きたい。

※今回のような話に興味がある方には、「ジョブ理論」(クリステンセン)
 をお薦めします

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