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【新規事業】SUPERSONIC開催から占う音楽業界の今後【ビジネス】

昼でも夜でもおはようございます。
エンタメ業界ではたらくサラリーマンです。

「NAMIMONOGATARI」が“密フェス”などと言われて、初めての補助金取消が決定されるなど、夏フェスが打撃を受けています。

そして、「4大フェス」と言われる日本最大級の野外音楽フェスティバルの内、「RISING SUN ROCK FESTIVAL」「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」が開催を中止、「FUJI ROCK FESTIVAL」は開催しました。

そして、最後の4大フェスである「SUMMER SONIC(=SUPERSONIC)」が、今月開催に向けて動いているニュースが発表されています。

主催者によって判断の基準に差はあって当然です。
そして、フェスによって明確に、そのスタンスに差が出ました。

「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」は、医師会の要請によって、中止を決定しました。
「RISING SUN ROCK FESTIVAL」は、様々な要因はあったと思いますが、自粛しました。
「FUJI ROCK FESTIVAL」は、地元から開催の希望もあり、実施しました。

さて残すところは「SUPERSONIC」です。

自治体から、縮小・延期の要請がありましたが、開催しようとしています。

今回は、「SUPERSONIC」開催から占う音楽業界の今後、というテーマで書いていきます。

これだけ差が出たフェスごとの判断を踏まえて、今後どのようにしていくと良いか、について考えてみたいと思います。

参考になったよ!とか、興味深い!と思ってもらえたら、フォローしてもらえると嬉しいです。

① 何故「SUPERSONIC」を開催するのか?

フェスによって判断は様々でした。
基本的には、大人数(1万人以上、県境をまたぐ)イベントは中止・延期・縮小の要請をされたケースが多かったと思います。

そんな中「フジロック」だけは、自治体にとって大きな存在ということもあり、比較的開催に前向きに受け止められ、地元の協力もあって開催することが出来ています。

しかし、基本的には地域の理解・協力が得られない限り、開催には厳しい制約が付きまといます。

そもそも、会場の使用許可や、警備協力体制、緊急時の医療機関の受け入れ態勢など、表に出ないところで、開催に必要な部分で行政の協力は不可欠です。

今回の場合、自治体からの要請は強制ではありませんし、そもそも政府が定めた大規模イベントのガイドラインには則って実施するわけですが、開催そのものが間違いかといえば、一概に判断できません。

「5,000人以下」「50%を上限」などの決まりはあるものの、ある期間にまで販売された入場券の払戻を強制するものではなかったり、ガイドライン自体にも幅を持たせてあります。

そして、入国制限についても必ずしも14日間とは限らず、これ理由に中止を決定するのも難しいとは思います。

しかし、違反じゃないから何をやってもいい、ということにはなりませんし、逆に安心だからと、安易に中止することは難しいということは理解できます。

人命より金を優先するのか、という正論もあるでしょうし、金がなければそもそも生きていけない人もいるとか、色んな意見があり判断は難しいです。

しかし、今回「SUPERSONIC」は開催する、としています。
この後、変わる可能性もありますが、現時点では開催するようです。

何故、開催なのでしょうか?

その理由は外部からは分かりません。
しかし、それはやはり「やらないよりもやった方がいい」と思える何かがあるのだと思います。

生業としている身からすれば「実施を前提に最善を尽くす」という判断はよくわかります。
果たして、現時点(2021年9月10日時点)で、開催することについて考えてみたいと思います。

① 開催した場合に想定できるメリット

まずは、考えられるメリットからいきましょう。

・実施を期待しているファンがいる。
・入場券、協賛金、補助金を含めた収入でトータルプラスになる。
・海外アーティストの活動支援になることで、今後の交渉が有利に運べる。

・実施を期待しているファンがいる
この時期にチケットを買ってくださっている方は皆さん楽しみにしてくださっていて、熱量の多いコアなファンが多いです。
これからも末永くフェスに参加し続けてくれる人たちなので大切にしたいところです。

・入場券、協賛金、補助金を含めた収入でトータルプラスになる。
昨年、J-LODliveという経済産業省が出している補助金では、海外アーティストが出演するコンテンツは、補助の対象外でした。

しかし、これが改訂され日本人が主に主催やプロデュースを担っている場合には補助が降りることになりました。

これが決まったことは、実施に向けて大きな助けになったはずです。
入場券だけでは、例年の5分の1程度でしょうから、規模も縮小して経費を押さえながら、補助金が出るなら、少なくとも従業員の給料分くらいの収入は見込めたのかもしれません。

・海外アーティストの活動支援になることで、今後の交渉が有利に運べる。
日本だけでなく、海外のアーティストも同じように苦境に立たされているはずです。
徐々に、海外でもフェスや公演が再開しつつあるとはいえ、日本よりも厳しい規制を敷いている国も多いはずです。

そんな中、名のあるフェスに出られることは、アーティストの活動にとって重要です。
特に、海外アーティストにとっても、日本という市場は重要な位置を占めています。

日本の活動にとってプラスになるフェス出演をオファーできるということは、今後の交渉を有利進める上で効果的だと思います。

②開催した場合に想定できるデメリット

では、デメリットはどうでしょうか?

・金銭的に損害を被る
・自治体や周辺住民から、今後の協力を得にくくなる
・クラスターが発生する可能性

・金銭的に損害を被る
実は、先に紹介したJ-LODlive補助金というのは、支払った経費の50%を補助するという以外に、キャンセルの際にかかった経費を100%補助する、ということも出来ます。

それなら、実施しなくても損害は出ないはずです。

しかし、この補助金は実際の交付までに非常に時間がかかります。
実際、昨年実施の公演でも実際に支払われていないケースがとても多いのが現状です(2021年9月10日現在)。

さらに、経費の発生時点によっては、補償の対象外になる経費もあります。
おそらく、昨年の時点で発生している経費のほとんどは補填されないでしょう。
キャンセルしたとしても、損害が発生することになります。

かといって、実施した場合はどうでしょうか。
メリットの方では、ある程度プラスになるのでは?という見方をしましたが、実は払い戻しを受付続けているので、本番日までに赤字が膨らむ可能性があります。

さらに、自治体からも開催に否定的な声が叫ばれている中実施すると、スポンサーを降りる企業も出てくるかもしれません。

もっと言えば、補助金の審査は厳しく、項目した場合でも一部経費は許可されないなど、減額の恐れもあります。

やったはいいけど、赤字になる可能性も十分あるのです。

・自治体や周辺住民から、今後の協力を得にくくなる

今回の実施そのものについては、政府や自治体のガイドラインに則って実施しているので、違反でも、ましてや違法でもありません。

しかし、県知事からの明確に延期や縮小の要請を受けている中、実施することは、今後の協力関係に亀裂が入る可能性があります。

このnoteは、業界側の立場ですので、根拠も補償もせずに要請だけをする県知事に対しては、もう少し踏み込んだ議論をしてほしいとは思います。

しかし、“密フェス”と言われた「NAMIMONOGATARI」が与えた社会的な信用棄損のインパクトは大きく、世間の人達が納得しないだろうとの見方が広がったことは、否定できません。

愛知県知事のように、約束を守って実施しているフェスは擁護する側に回ってほしかったですが、それほどまでに”密フェス“のマイナスイメージを払拭するには、時間が足りないということなのかもしれません。

そして“密フェス”の事業者に対して、自治体は「(この事業者に対しては)金輪際、会場の使用を許可しない」という発表しているように、今後のこの場所での開催に対して、ネガティブな印象を引きずることにもなりかねません。

・クラスターが発生する可能性

“密フェス”のようにクラスターが発生するかもしれません。
これは、どんな対策をしていても、どんな公演であっても、あり得ることではあるのですが、
これだけ注目を浴びている中では、クラスターでなくとも感染者が増えるだけでも、批判を浴びかねません。

もっと言えば、日本中で感染者が減らなかったとして、それすらも“フェスなんかやるからだ”と言われかねません。

それに、主催者がいくら制限していても、一定数はルールを守らない人というのは出てくるものです。

一部の認識の甘い人たちの影響が、すべて主催者の影響だとは言えないはずですが、それでもフェスに関係ない人から見れば、主催に対する追及は強くなるでしょう。

③ ライブエンタテインメントビジネスを根本から見直す

ではどうすれば良いのでしょうか?

答えは簡単ではありませんが、実はこのnoteで過去に紹介してきた記事では、いくつかのヒントをずっと発信し続けてきています。

最初から市場を世界に求めていれば、デジタルの活用でもう少し余裕のある活動が出来ていたかもしれません。

最初から、デジタルを活用したビジネスを展開し、ライブビジネスだけに依存していなければ、もう少し余裕のある活動が出来ていたかもしれません。

自社のコア事業の周辺の領域に手を広げていたら、もう少し余裕のある活動が出来ていたかもしれません。

そのためには、「よくわからない」と思っていたものに対して、わずかでも投資を続けていたら…

全てはたらればですし、ただのアイディアに価値はないのはよくわかっています。


しかし、「ただのアイディアだから」「形に出来なければ意味がない」と言って、考えることを放置してきたツケが回ってきたのではないでしょうか。

こんな時だからこそ、考えて、やってみて、試してみて、リスクを取ってみて、常識を変えていく時だと思います。

まとめ

いかがでしょうか?
音楽業界、エンタメビジネスに関わる一人一人が考えてほしい問題です。

このnoteでは、一貫して「海外に出よう」「ライブ配信をやろう」「YouTuberになろう」と書き続けています。

そのために、業界人は「他業種のビジネスも学ぼう」「利益だけではなく、意義を考えよう」ということを発信しています。

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