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戒を授かるということ。

いろいろと忙しくしているうちに10月も後半に入ってきました。
高野山の木々も足早に色づき、
信貴山の毘沙門灌頂も2クール目を迎え、
明日からは祥鈴庵の地蔵会の行事も始まります。
今回はお地蔵さまと毘沙門さま合わせてご祈願しますよ。

地蔵会ご祈願のお申し込みは今日までです!

先日、毘沙門灌頂に先立って先輩のお寺で
授戒会が行われました。
戒師さまはお師僧さまがつとめられました。
もちろんお手伝いさせていただきましたよ!

おめでたい機会なので美しい幕が張られています。

授戒会というのは、文字通り戒を授かる会なのですが
今回の授戒会は在家の方も僧侶の人も授かることのできるもの。

仏道修行において学ぶべき三つの重要なことがあります。
それは戒定慧というもの。合わせて三学と呼ばれます。
これはそれぞれ
戒 善を修め悪を防ぐ
定 心身の乱れを静める
慧 智慧を身につけ真実のさとりを得る
ために必要なもの。

この場合「戒」を学ぶというのは
戒律関連の仏典を集めた律蔵を学ぶこと。
それぞれ「定」は同様に経蔵、「慧」は論蔵を学ぶこととされ、
これら全てを十分に学んだ優れた僧侶を「三蔵」と呼びます。

三蔵法師というのは固有名詞ではないのですね。
西遊記に出てくる三蔵法師は玄奘三蔵という方です。

そして、日本人で唯一三蔵法師になられた方が霊仙三蔵。
この方はお大師さまや最澄さまと同じ回の遣唐使の一員として
唐に渡られた方。
大元帥明王法を学んだために中国の皇帝から帰国を禁じられ、
日本に帰ってくることはできなかったということです。

ちょっと脱線しましたが。

これらの三学は学べばいいというだけではなくて、
全て実践することも必要です。
そう、仏教は実践!だからですね。

戒は生活を整えて禅定を修するための条件を整え、
定は心身を静めることで智慧を発するための心を養成し
慧は正しく真実を観察することを通してさとりの智慧を完成させ、
仏道を成就します。

仏道修行が戒を授かるところから始まるのは、
まずいろんなことを学ぶ前に自分と自分の生活の状態を整えることが
全ての基本になるから。

授戒は仏道修行の最初の一歩です。
ですので、授戒会は初心の人が
どのような戒があるか教えてもらって
どのようにすればそれが守れるか考えて
戒を守りましょう
ということを学ぶ会と思えばいいかなと思います。

これも灌頂と同じで何度重ねて受けても良いものとされています。
初心にかえるということは常に大切です。

在家の人が受けられる戒は
五戒
八斎戒
十善戒
の3つ。
前の2つは通仏教、最後の十善戒は大乗仏教の戒です。

十善戒については以前書いたことがありますね。

五戒というのは
不殺生
不偸盗
不邪婬
不妄語
不飲酒
の五つ。

不飲酒はお酒を飲むことでセルフコントロールを失うと
他の4つの戒も全部破ってしまう可能性があるため
特に重要とされています。

が、一番破られやすいのもこの戒。

ですので、授けられる時も
「過度の飲酒は避けるように」
という説明がされることが多いですよ。

そして、満月新月のたびに書いている布薩。
これは、戒を維持していることをみんなで確認する行事
ともいうことができます。

戒を受けたら布薩に出るのは重要なのですが
布薩会が行われているところは少ないので、
少なくとも自主的に確認しておきましょう、というのを
おすすめしているという意味もあるのですね。

戒を授かっていなくても布薩で懺悔することは功徳がありますが
戒を授かったことがある方はなおさらとなります。

高野山の大師教会で授戒は毎日7回行われているので、
高野山にお越しの際にはスケジュールに入れてみてはいかがでしょう?

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