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ふるさと納税の人口1人あたり寄付額ランキングを作ってみた

はじめに

今年、初めてふるさと納税をしてみました。
返礼品に力を入れている市町村は非常に多く、地方の市町村にとっては貴重な収入源として重視されていることがうかがえます。
もちろん返礼品のことを考えれば寄付がまるまる市町村の収入になるわけではありませんが、残りは返礼品の生産者である地元に回るわけで、それはそれでよいことです。
元々入る予定だった税収が入らなくなる大都市部からは当然反発を受けていますが、制度自体は完全に国民に定着した感があります。

では、最もふるさと納税で寄付を集めているのはどこでしょうか。

2020年(令和2年)の統計によると、寄付額で全国1位になったのは宮崎県都城市で、13,525,480,079円と、100億円を超える寄付を受け入れています。
都城市は返礼品を「牛肉」と「焼酎」に特化してPRし、大きな人気を得ています。
しかし「最もふるさと納税制度を活用している市町村」も都城市であると、単純に言ってしまってよいものでしょうか。
都城市は宮崎県南西部の中心都市であり、それなりの規模を有しているので、ふるさと納税が市の経済に与える影響というのはそこまで大きくないのではないでしょうか。

そこで、ふるさと納税寄付がどの市町村で盛んかを見ようと
「ふるさと納税の人口1人あたり寄付額」
での市町村ランキングを見たいと思ったのですが、私の調べた限りでは誰も作っていないので、自分で作ってみました。

本記事では、全体の傾向に軽く触れてから上位10市町村を発表します。

(ここでいう「市町村」とは、特別区23区を含みます)


今回の比較に用いたデータは、いずれも総務省の統計によるもので、ふるさと納税寄付額は令和2年度の額を、人口は令和3年1月1日時点の住民基本台帳人口を用いています。


なお、寄付額そのものでの上位10市町村は以下のとおりです。

1位  宮崎県都城市   13,525,480,079円

2位  北海道紋別市   13,392,711,466円

3位  北海道根室市   12,545,868,840円

4位  北海道白糠町   9,736,640,462円

5位  宮崎県都農町   8,268,490,000円

6位  山梨県富士吉田市 5,831,248,349円

7位  山形県寒河江市  5,675,843,000円

8位  兵庫県洲本市   5,398,232,300円

9位  兵庫県加西市   5,337,514,000円

10位 静岡県焼津市   5,218,274,996円


全体の傾向

人口1人あたり寄付額の全国平均(全寄付額 ÷ 全国の人口)は5,310円で、分布はこのようになっています。

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100,000円以上の市町村は71市町村で全体の4%、10,000円以上でも598市町村で全体の34%と、市町村間の格差が大きいことがわかります。
住民がふるさと納税をするとその人が住んでいる市町村の税収は減ること、ふるさと納税を受けた市町村も返礼品を調達する費用がかかることを考えると、相当数の市町村が赤字となっていると思われます。

次に、人口1人あたり寄付額の上位100市町村の分布を見てみましょう。

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北海道が34市町村と最も多くなっています。九州・沖縄の32市町村が僅差で続きますが、市町村の数を考えると北海道勢が強いです。なお、四国の8市町村はすべて高知県でした。

返礼品の一大ジャンルである「生鮮食品」において北海道と九州は圧倒的な強みがあるものと考えられます。また特に北海道は各市町村の人口も少ない傾向にあるので、この比較自体が北海道勢に有利な面があります。


人口1人あたり寄付額 10~4位

それでは、10位から4位を発表していきたいと思います。

10位 鹿児島県大崎町

寄付額 : 4,981,014,988円(12位)

人口 : 12,758人

人口1人あたり寄付額 : 390,423円

主な返礼品 :うなぎ

大隅半島に位置する大崎町はうなぎの養殖で知られ、返礼品もうなぎを中心に人気を得ています。


9位 佐賀県上峰町

寄付額 : 4,442,242,900円(15位)

人口 : 9,653人

人口1人あたり寄付額 : 460,193円

主な返礼品 : 佐賀牛

佐賀平野東部に位置する上峰町は、佐賀牛を返礼品の中心にしています。


8位 北海道根室市

寄付額 : 12,545,869,840円(3位)

人口 : 24,858人

人口1人あたり寄付額 : 504,702円

主な返礼品 : かに、うに、いくら

寄付額3位の根室市がここでランクイン。人口1人あたり寄付額も50万円を突破です。北海道最東端の根室市は、多種多様な海産物を軸に攻めています。


7位 北海道寿都町

寄付額 : 1,461,770,000円(96位)

人口 : 2,887人

人口1人あたり寄付額 : 506,328円

主な返礼品 :いくら、ほたて

北海道後志地方の寿都町はかつてニシンの産地として知られましたが、現在はいくらが人気のようです。


6位 高知県芸西村

寄付額 : 1,984,501,380円(61位)

人口 : 3,672人

人口1人あたり寄付額 : 540,442円

主な返礼品 :かつおのたたき

高知県東部の太平洋に面する芸西村は、太平洋で獲れるかつおのたたきをいつでも食べられる冷凍品として返礼品に用いています。


5位 北海道弟子屈町

寄付額 : 3,970,551,094円(20位)

人口 : 6,937人

人口1人あたり寄付額 : 572,373円

主な返礼品 :かに、うに

屈斜路湖、摩周湖のある弟子屈町は、海がないにもかかわらず何故か海産物が人気の返礼品です。返礼品には地元産品もあるようですが、海産物を求める人のほうが多いようです。


4位 北海道紋別市

寄付額 : 13,392,711,466円(2位)

人口 : 21,317人

人口1人あたり寄付額 : 628,264円

主な返礼品 :ほたて、かに

寄付額2位の紋別市がここでランクイン。オホーツク海に面する紋別市はほたての大産地。当然返礼品もほたてが人気です。


人口1人あたり寄付額 3位

それでは3位の発表です!

3位 宮崎県都農町

寄付額 : 8,268,490,000円(5位)

人口 : 10,457人

人口1人あたり寄付額 : 790,713円

主な返礼品 :牛肉、豚肉、鶏肉

宮崎平野北部に位置する都農町は農業、とくに畜産業が盛んです。牛も豚も鶏もあるという畜産地帯、返礼品もとにかく肉類が人気のようです。

人口1人あたり寄付額 2位

続いて2位の発表です!

2位  北海道白糠町

寄付額 : 9,736,640,462円(4位)

人口 : 7,539人

人口1人あたり寄付額 : 1,291,503円

主な返礼品 :鮭、いくら

ここで寄付額4位の白糠町がランクイン。人口1人あたり寄付額は堂々の100万円超えです。北海道南東部の白糠町は鮭が豊富に漁獲されることから、鮭といくらが人気となっているようです。鮭は北海道のいたるところで漁獲されるので差別化が難しいですが、白糠町はその中でも人気が高いようです。

人口1人あたり寄付額 1位

そして、栄光の第1位に輝いたのは…



1位 和歌山県北山村

寄付額 : 614,600,000円(249位)

人口 : 427人

人口1人あたり寄付額 : 1,444,028円

主な返礼品 : じゃばら

寄付額では249位の北山村です!

北山村は和歌山県に属するものの、周囲を奈良県と三重県に囲まれた「飛び地村」として知られています。そのため近隣市町村と合併せず、人口が少ないながらも単独の村として存続しています。
その北山村の最大の特産品が、この村原産の果物「じゃばら」
柚子に似た独特の風味のある実をつける「じゃばら」は花粉症に効果があるといわれており、林業に代わって村の一大産業となりました。
返礼品としても「じゃばら」が果汁、ポン酢、ジャムなどとして用いられています。

私はじゃばらドリンク「じゃばらまる」を選びました。

おわりに

人口あたりで見ると、意外な市町村が上位に入ってきて面白かったです。北海道が強いことは事前に予想していたのですが、九州勢と高知勢の健闘が印象的でした。

なお、寄付額1位の都城市は人口1人あたりでは82,689円で、93位でした。








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