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科学館と種まき

世間はGW真っ只中。
いつの間にか最高気温25度という話にも驚かなくなり、天気が良いのは嬉しいことだけど汗はかきたくないな・・・なんて贅沢な事を考えてしまう。
4月の終わりからお台場の不思議な魅力に気づいてしまった私達夫婦は、また休日にお台場に来てしまった。

というのも前回は時間がなくて行けなかった日本科学未来館でゆっくりと過ごしてみたかったのだ。ここには修学旅行と社会人になってからも1,2回来ていた。そんなこなれた場所ではあったが、2023年に常設展を大リニューアルしたと聞いてからずっと気になっていたのだった。

到着するなりすぐに見たのはドームシアター(プラネタリウム)。ここでは複数の作品を上映しているが、この日は『INHERIT ~はやぶさ2・宙への夢と挑戦をのせて~』
という作品を見た。内容については深く触れないようにするが、職業柄、全体の構成が良かったなーと感じた。この作品は主に、満点の星空・少年少女のアニメーション・はやぶさ2開発に携わった人々のインタビューの3つの要素で作られていた。もちろんプラネタリウムに来たからには、満点の星空は見ておきたい。その他の要素として、子供目線で楽しめるアニメーションと、大人目線で楽しめるプロの試行錯誤が描かれていた。
正直その二つがうまく折り重なっているというところまでは言えなかったが、誰が見ても何かを持ち帰れるようにしたいという制作の意図が感じ取れた。

そのあとは楽しみにしていた常設展をゆっくりと回った。驚いたのはどのブースでも子供がゲームのように楽しんでいた事だった。特に"老い"をテーマにした一見子供は見向きもしなそうなブース。老眼や、難聴、買い物での物忘れ、足が自由に動かずに交差点を渡り切れないなんていう事もゲーム化されていて、子供たちが楽しそうに遊んでいた。

もちろん大人に刺さるようにも出来ている。風鈴を目の前に音を聞くと、なんだか涼しい気持ちになるねー。なんて妻と話していたが、実はそれは電子音だったとか。
核融合の解説も非常によく勉強になった。学のない私は核という言葉が入るだけで、原発事故を思い出してしまっていたが、それらとはまるで違う新エネルギーの事だったという事をこの場でようやく知る事が出来た。

たらたらと感想を述べてしまったが科学館を出るなり、子供が出来たら一緒に来たいし、こういうところを楽しめるようになって欲しいねと妻と話していた。私はふと、子供目線ではこの科学館をどう感じているのか考えた。きっと彼らは満点の星空と楽しく遊んだゲームの事が思い出になるだろうし、小さな文字でたくさん書かれている解説なんかはあまり読んでいないと思う。
だけど何かのきっかけで興味を持ってくれたら、いつの日かここで体験した事だと思い出してくれたらという願いを込めて全てが作られていたと思う。

そういえば私もいつの日かの仕事の飲みの席で、今は分からないだろうけどねと、人生の先輩からアドバイスをもらってきた。中にはそういう事だったんだなーと気付いたものもあれば、とっくに忘れてしまった話もたくさんあるだろう。
どれも過去を振り返って思い出すという事はきっと"気づき"に変わった瞬間なのではないだろうか。

もちろん今その瞬間が楽しい、すぐに役立つ、みたいな会話がほとんどだが、それらは答えの提示なのだろう。世の中のほとんどがそうやって出来ているのではないかなと思う。でもそれでは相手の気づきを芽生えさせてあげているわけではない。だからこそ今分からないであろう事を、分からないながらに体験させてあげると、いつの日か気付いた時にそれは大きな糧になるかもしれない。

ん・・・なんて難しいんだ・・・。
家族、会社の部下、将来の子供。たくさんの人にこの気づきを与えてあげたいと思うけれど、私は今まで誰かにこれを与えられたことはあったのだろうか。大人になるってハードすぎるな。少しだけ先の話をするのがコツなんだろうか・・・。あとやり過ぎて結局武勇伝おじさんにはなりたくないしな・・・。難しい。

あっでもそれがハードすぎるなって事に気づけたな。これも気づきだ。俺えらいじゃん。と自分に甘い私はニヤニヤとしていたら、靴紐を結んでいた妻をおいて歩いてしまい、大きなガンダムの下で少し怒られた。

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