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江ノ島シネマは、若い人に表現の場を提供するべきなのだ(監督・脚本・アドバイザー高橋巌)

短編映画集「江ノ島シネマ」。今回は、監督・脚本家・アドバイザーが、プロジェクト参画における想いなどを綴るシリーズです。
第一回は、鵠沼駅の監督・脚本と全体アドバイザーを担当している高橋巌さんの寄稿です。

高橋 巌(「江ノ島シネマ」鵠沼駅|監督・脚本、全体アドバイザー)
自主制作からスタートし、2001年『infinity∞波の上の甲虫』で劇場映画に進出。以降、映画、テレビ、VPなどのディレクションを手がける。
2008年から8年間、和光大学表現学部で映像ゼミを担当。

はじめに

江ノ島シネマで全体アドバイザーという位置づけにいる高橋巖です。
時々映画を監督したりしています。

このプロジェクトのオーガナイザーというか、言い出しっぺの安田さんは和光大学でゼミを持った時の最初の学生で、面白いキャラクター故にゆるーく関わっていた結果、今回お手伝いをすることになりました。

最初のnoteで安田さんが何故このプロジェクトの立ち上げに至ったか書いていますが、僕のような老人がデビューした時代とは状況も変わっているので、思いを共有し理解出来ているかと尋ねられれば、否と言わざるを得ません。
ではなぜ関わっているのかといえば、若い人に機会を提供できる場に微力ながら協力したいという想いからです。遠い昔、そのチャンスを貰った僕が出来る小さな恩返しなのです。

『帝都物語』への参加

 1987年。専門学校を卒業した後、そのまま学校で契約パートみたいな感じで働いていた僕は、授業で教えてもらったことだけを後輩に伝えるだけではリアリティが無いというジレンマを抱え、現場を経験しようと退職したばかりでした。

そこで、『帝都物語』のスタッフルームが開設されたというキネ旬の記事を見て、実相寺組に入れてもらおうと東宝撮影所の壁を(比喩でも誇張でもなく、低い部分を見つけて)乗り越えました。

コネとか紹介という煩わしさが、どういう結果をもたらすかを嫌った故の行動でした。今考えればどこの馬の骨かすら判らない僕を、雇おうと思ってくれた決断には頭が下がります。

こうして機会を手に入れた結果、勿論紆余曲折はあったにしても、映画を監督できるようになったのです。

 これは僕の人徳の結果では無く、かつての業界にわずかに残っていたチャンスを付与する慣習によるものだったと思います。
言い換えれば懐の奥行です。どうなるかも判らない若者を受け入れる余裕がまだあったんです。


 現在、製作的にも体制的にもかつての余裕は無くなっています。
そんな中で若い人が従来とは違う表現の場を模索し始めたことは、必然的な流れだと思います。

だから、僕は自分が受けた機会をこれからの人に少しでも提供できる側に参加している訳です。
 

 業界に入って教えられたことは(映画業界に限りませんが)「恩は川下に返す」というルールです。

今では知らない人が多いでしょうが、上から受けた恩は上に返すのではなく、下の世代に返すということです。

江ノ島シネマがどんなポテンシャルを秘めているかは判りませんが、若い人が主体的にやろうとしていることは、それが標準に倣っていなければいない程、映画に限らず良くも悪くも表現領域の拡張をもたらします。
このプロジェクトでそれが起こると良いなあと期待しています。

『帝都物語』撮影風景

老人が参加する理由

 これまで度々「若い人」と書いてきました。
なのにお前も撮るのかとお叱りの声もあるかと思います。
あと出しの言い訳みたいで申し訳ありませんが、「若い人」とは年齢を指している訳ではありません。
表現領域において若さは物質の変化量を必ずしも指しません

では、何をもって「若さ」とするかといえば「熱量」です。

確かに加齢と熱量は反比例し易いですが、それは平均的な見方です。
熱量は好奇心や欲求の高さを表します。
便宜的な年齢とは等価では無いのです。
同時にその熱量を応援することも、同等の熱量が必要であることは言うまでもありません。


このプロジェクトを応援していただける方は、基本的に同様の熱量を保持している方だと思います。
異論はあるでしょうが、アートの歴史において表現者とパトロンが基本的に等価で共犯関係にある理由が、そこにあるのだと思います。
熱量を持った人たちが共鳴した結晶を、スクリーンに映しだす。それがこのプロジェクトの目的なのだと解釈しています。

最後に

 これを書いている時点(4/23)で撮影予定日まで1週間です。
漸くシナリオの原型が出来、スタッフも2人押さえられました。

役者は未定です。

普通なら撮影は流しますが、僕は決められた日時に参加できる人たちとショートムービーを作ることを今回選択しました。

タイミングによって作られる映画というコンセプトです。

多分、他の監督たちは取り入れないであろう撮影スタイルですが、折角自主映画を撮るのですからincidental(偶発)synchronicity(共時性)を取り込めるか挑戦しようと思ったわけです。

これは、このプロジェクトのコンセプトである「つながり」をメタ・コンセプト化する一種の「あそび」でもあります。

どんな結末を作品は迎えるのか、是非、完成した作品をご覧になってください。

ああ、撮影は4月30日です。

担当駅「鵠沼駅」

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