つくる

つくる。

私にとって、それは無機質なものでしかなかった。
誰にも感謝されず。誰からも求められず。

ただ生きるのに必要だから、作っていた。
作るのは、私でなくてもよかった。

あるとき「ありがとう」という言葉が生まれた。

その言葉は、消えることなく私の元に届いた。
毎日毎日、私の元に届いた。

私にとって、それは突然色味を帯びた。

それはみどりいろのオクラだったり
まっかなにんじんだったりした。
卵焼きは、ときにあまいきいろになり
ときにしおっぽいきいろになった。

「お弁当、おいしいよ!ありがとう」

手のひらに届く、メッセージ。
私がつくる。喜んでくれる人がいる。

ありがとう。
つくる意味を、生んでくれたあなたへ。

サポートしてくれたあなたに、幸あれ!