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【本屋】大人はヒヤヒヤ、子供はドキドキした絵本のはなし。

こどもの頃大好きだった絵本で
大人になって読んでから考え込んでしまった絵本があって
その話をしようかなぁと。


『あさえとちいさいいもうと』という
筒井頼子さん・林明子さんの名コンビの絵本で福音館書店から出ています。

ずーっと心のなかにあって
いつか子供に読みたいと思っていて

あるとき、長女と次女に読もうと
手に取りました。

ページを開いて
さぁ読むぞ、と読み上げたとたん

「お、ぉお゛!?」
と戸惑ってしまったのです。

だって。
だって、あさえとその妹(あやちゃん)の
ママったら

あやちゃんが寝たからって

こども二人置いて出掛けてしまうんですもの…!!

ええー!?
あさえだってまだ小学校あがるかあがらないかの年齢にみえるし
そんなん、二人だけ置いてく!?

留守番させる!?
起きてる間に一緒に行けばええがな!!


出だしに内心衝撃を受けながらも
読み上げます。

長女と次女は興味津々。

ママはあやちゃん寝たから大丈夫。
寝てるうちに帰ってくるから、
と外で遊んでいたあさえに言いますが
ママが出かけた直後

あやちゃん覚醒します。

外に出てきたあやちゃん。

妹を喜ばせようと
地面にチョークでどんどんお絵描きする
あさえおねえちゃん。

よーし、満足いく絵が描けたぞ!
と顔をあげると

あやちゃん、いない。

あやちゃんが、どこにもいないんです。

あさえは急いであやちゃんを
探しに町へ出ます。


ここから
ハラハラドキドキの展開がはじまるのです。

読み終えたあと
二人とも大満足な表情を浮かべて
もういっかいよんで!
また読みたい!と
すっかり気に入った様子。


……そうよなぁ。
私も、大好きだったもんなぁ。
と思い
私自身が変わってしまったことを感じました。


『あさえとちいさいいもうと』を
読んだとき

・小さいこどもを置いて出るなんてひどい
・私には怖くてできない
・どうしてずっと寝てるって思えるのか

などなど
「母親目線」で見てしまった自分がいました。


でもこれはこどものためのものがたり。
こどもからすると
妹を探す旅に出たおねえちゃんの大冒険物語
なんです。

読者も一緒になって
あさえと妹を探す。

あ!いた!…ちがう。
えっもしかして…あぁ、よかった!

そんなドキドキとひやひやの
凸凹を体験するおはなしなんだなぁと。

とはいえこの絵本が最初に刊行されたのは
昭和の終わり頃。
高度経済成長期、もしかしたら
こういったことが
多くあった時代だったかもしれません。

専業主婦らしいお母さん。
お父さんの存在はありません。

そこだけを切り取れば
時代に合わない絵本かもしれない。

私は
本が好きな方で
こどもの頃に読んでいたから

辛うじてこどもの気持ちに寄り添うことが
できましたが
果たして
もし、こどもの頃にこの絵本を読んでいなかったら。
あるいは、あまり絵本に親しみをもたない人だったら…?

感じ方は違ったかもしれません。


絵本は
こどもが直接目に触れるもの
成長の糧になるものとして
ときどき、大人からの批判に晒されることがあります。


年齢指定が必要だな、と思うものもあれば
んん? それは“大人”の感じかたじゃない?
と思うこともあります。

『あさえとちいさいいもうと』は
こどもだった頃の私

親になってからの私

意見が異なる絵本のひとつでした。

今後も
こどもに愛されているのに
大人から批判を持つ絵本があれば
この絵本で感じたことを
たびたび
思い出していきたいと思っています。





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