バスに乗車チュロスに着地.


映画鑑賞の約束のためバスに乗る。人はまばらだった。座席に腰かける。フィールドライティングなる作業があるらしい。ふと思い出したのでやってみることにする。バスは揺れている。

飛行機の音がする町からとんびの声がする町にきて数年になる。引越したての時、何もなかった場所にペンキが塗りたてピカピカの店ができた。バスで通りすぎる。

ピカピカはカツ屋らしい。にぎわっているようだ。
カツはあまり食べない。へぇ〜と目線から流す。
ふと町の変化に気づく自分に、気づく。なんとかやり過ごせている生活にすこし驚いた。ひとり暮らすことに慣れてしまった淋しさと一緒に膝の上にある荷物をさっきより強く抱えてみる。八百屋が見えてきた。バスなので通りすぎる。

店は八百屋であるのに野菜は並んでいなかった。並んでなどいない立っていた。陳列棚には傾斜がある。傾斜具合がとにかく良い。一際目をひく野菜がある。遠くからでも白ネギは白ネギだとわかる。野菜界のアカデミー賞はアイツかもしれない。アイツの存在や味のあるパフォーマンスが好きだ。アイツが冷蔵庫にいてくれるのなら現場の安心感は段違いだ。料理の味は見事に落ち着くだろう。目的地につく。バスから降りる。

小腹が空いている。思えば昼は食べていなかった。
600円のチュロスより温かいお手頃のパンが吉。そう思い映画館までの道でパン屋に寄る。手にしたのは330円のだった。パンにしてはそこそこのものを手にしている。映画館につく。チュロスは400円だった。




〰︎〰︎〰︎ あとがきノあがき 〰︎〰︎〰︎

鍋の具材ではネギがいちばん好きです。

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