【エニアグラム】セキュリティポイント
エニアグラム・ファシリテーターの高橋あけみです。
以前、【エニアグラム】統合の方向・ストレスの方向という記事で、ストレス時のタイプの動きについてお話ししました。
それぞれのタイプは、ストレスがかかると、別のタイプのような心理や行動を示すことがあります。
慣れない環境や苦手な人の前など、強いプレッシャーを感じる状況では、いわば「ガス抜き」として、「ストレス(分裂)の方向」のタイプの性質が表れます。
一方、親しい友人の前など、安全だと感じる状況では、「統合の方向」のタイプの性質が表れることがあります。これを「セキュリティポイント」と呼びます。
この記事では、「安全な環境で起きる特定の行動パターン」を知ることで、さらに自己理解を深めていただけたらと思います。
また、自分のタイプがまだ定まっていない方にとっては、タイプを判別する目安にもなると思います。
セキュリティポイントとは
それぞれのタイプは、強い不安や危険を感じると、基本的には「ストレス(分裂)の方向」のタイプの性質を示します。
ストレス(分裂)の方向(数字はタイプの番号)
・1→4→2→8→5→7→1
・9→6→3→9
一方、自分が安全と感じる環境においては、「統合の方向」のタイプの行動を試してみることもあります。これを「セキュリティポイント」といいます。
統合の方向(数字はタイプの番号)
・1→7→5→8→2→4→1
・9→3→6→9
安全な環境とは、例えば気心の知れた友人や家族、慣れ親しんだコミュニティなど、関係性がしっかりと築かれているような状況です。
このような場合に「統合の方向」のタイプの性質を一時的に表すことがあるのですが、これは「統合」や「成長」とイコールではありません。
あくまでも、ストレスやプレッシャーに対する「ガス抜き」の方法であり、とらわれや恐れを手放すプロセスとは異なります。
そのため、「セキュリティポイント」では、統合先のタイプの「通常の段階」の行動が表れます。
<統合、分裂、セキュリティポイント>
・統合:統合先のタイプの「健全な段階」の資質が表れる
・セキュリティポイント:統合先のタイプの「通常の段階」の資質が表れる
・分裂:分裂先のタイプの「通常の段階」の資質が表れる
次に、各タイプがどのようなセキュリティポイントの動きを示すのか、見ていきたいと思います。
タイプ1のセキュリティポイント:タイプ7
タイプ1は本来、真面目で、自分個人の欲求を自制する傾向があります。羽目を外したり、わがままな行動をとることを控え、「しっかり者」として振る舞います。
しかし、慣れ親しんだ環境の中では、通常の段階のタイプ7のように羽目を外し、陽気で、遊び好きになることがあります。興味が拡散し、様々な趣味に衝動的に手を出しますが、どう余暇を過ごすのがベストなのかはよく分からないと感じます。
タイプ2のセキュリティポイント:タイプ4
タイプ2は本来、人に対して献身的で、ポジティブな感情表現をします。自分の深いところにある気持ちよりも、相手の感情やニーズに焦点を当てます。
しかし、相手との関係がたやすく崩れないと分かっている状況では、通常の段階のタイプ4のように、自分の欲求に従ったり、ネガティブな感情を表に出すことがあります。気分が変わりやすく、孤独感や自己憐憫(自分をかわいそうだと思う気持ち)が強まります。
タイプ3のセキュリティポイント:タイプ6
タイプ3は本来、有能で、好ましい人間であろうとします。不安や自信のなさなど、目標達成の妨げとなる感情は脇に置き、良い印象を与えるよう心がけます。
しかし、安全だと感じられる親しい間柄においては、通常の段階のタイプ6のように、不安や自信のなさを表現することがあります。「できる人」というイメージをそこまで維持しなくても良いと感じ、不満や悲観主義を表に出します。
タイプ4のセキュリティポイント:タイプ1
タイプ4は本来、それぞれの人の個性を理解し、尊重します。規範や常識よりも、個人の感情や個別性を重視する傾向があります。
しかし、簡単には人間関係が壊れないと分かっている環境では、通常の段階のタイプ1のように、批判的になり、人の欠点や間違いを率直に指摘することがあります。完璧主義的になり、自分や他者のささいな短所が許せなくなります。
タイプ5のセキュリティポイント:タイプ8
タイプ5は本来、「観察者」として周囲に関わり、理性的にものごとを処理します。人に積極的に関わるよりは、人から距離を置くほうが安全だと感じます。
しかし、ある程度関係性が確かな相手の前では、通常の段階のタイプ8のように強く自己主張をし、人と敵対することがあります。激しい議論をしたり、攻撃的な物言いをすることで、相手を負かそうとします。
タイプ6のセキュリティポイント:タイプ9
タイプ6は本来、責任感が強く、与えられた役割を果たそうとします。周りからの期待に応え、ハードに働きます。
しかし、気心の知れた友人や家族の前では、通常の段階のタイプ9のように、周りからの要求に対して反応が鈍くなり、関心が薄れることがあります。期待に応えることに疲れ、周りの人たちや仕事への関心を「シャットダウン」します。
タイプ7のセキュリティポイント:タイプ5
タイプ7は本来、好奇心の幅が広く、活動的です。楽しむことに多くのエネルギーを使い、周りの人を楽しませることを自分の喜びとします。
しかし、安全だと感じる状況においては、通常の段階のタイプ5のように、人との接触を控え、自分の関心事に集中することがあります。人を楽しませたり、新たな活動に飛び込むことにエネルギーを使わなくなります。
タイプ8のセキュリティポイント:タイプ2
タイプ8は本来、独立心が強く、強さや頼もしさを呈示します。コントロールされることは危険だと感じ、人と依存関係に陥ることを避けます。
しかし、信頼できる近しい間柄においては、通常の段階のタイプ2のように、世話を焼いたり助けたりすることによって、相手を依存させることがあります。よく面倒を見ることで、相手が自分から離れていくことのないようにします。
タイプ9のセキュリティポイント:タイプ3
タイプ9は本来、おとなしく、目立つことを控えます。あえて人に好印象を与えるような行動をとるよりも、後方に下がり、周りに溶け込みます。
しかし、安全で慣れ親しんだ環境においては、通常の段階のタイプ3のように、人に与える印象を意識し、周りの期待に応えようとすることがあります。環境に順応し、仕事中毒になり、高い成果を上げることを求めます。
おわりに
今回の記事では、「安全な状況下で起きる特定のパターン」として、「セキュリティポイント」をご紹介しました。
【エニアグラム】統合の方向・ストレスの方向と合わせて読んでいただくと、さらにタイプへの理解が深まると思います。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました(^^)
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▼タイプごとの具体的な特徴については、こちらのマガジンにまとめています。
https://note.com/ennea/m/m25bf50cb04fc
▼今回の記事を書くにあたり、下記の書籍を参考にしました。
『新版 エニアグラム【基礎編】 自分を知る9つのタイプ』
(ドン・リチャード・リソ&ラス・ハドソン著、高岡よし子&ティム・マクリーン訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4041073170/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_skbHFbMDSVRG5
『Understanding the Enneagram: The Practical Guide to Personality Types』
(ドン・リチャード・リソ&ラス・ハドソン著)
『Discovering Your Personality Type: The Essential Introduction to the Enneagram』
(ドン・リチャード・リソ&ラス・ハドソン著)
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