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小学校低学年で文字の手書き時間が減らされるスウェーデン

先日、このような記事を書いた。
スウェーデンでは字が書けなかった子が、フランスで教育を受けたら書けるようになった|フムランが見たスウェーデン (note.com)

その後、noteがお勧めする関連記事を読んでいると、こんな発見があった。

オランダの子どもたちが"筆記体"で文字を学ぶ理由|三島菜央<🇳🇱オランダ在住/元高等学校教諭> (note.com)

手書き文字には、ブロック体と筆記体の2種類ある。なぜオランダの小学校で筆記体で書くことを教えているのかといえば、

1つ目の理由は、驚くなかれ「ディクレスシアの子どもや、特性のある子どもたちにとって学びやすいとされているから」でした。

オランダでは、ディスレクシアの子供にとって筆記体の文字は学びやすい、という教育方針になっているのに、スウェーデンの小学校ではデジタル機器を与えられ、「文章をスキャンして音声再生して聞いてね」と言われる。
これは真逆の教育方針だ。
このせいで、Anna さんの息子は11歳になるまで字を書くことも読むこともほとんどできなかった。

また、こちらのブログも参考になった。

どうしてモンテッソーリは筆記体なの?&小学校でパソコンを使わないの?|モンテッソーリ大人と子どものスクール (note.com)

そこには、筆記体を書くことの利点が挙げられていた。
以下は本文からの要約抜粋。

・筆記体を書く時のほうが、左脳と右脳の両方が同時に刺激を受ける。思考・言語・ワーキングメモリーを含む広範囲が活発になる。
・筆記体にはpとq、bとdのように間違えやすい文字がない。
・紙と鉛筆を使って筆記体を書くと、筋肉にも記憶される。この記憶は綴りを覚えたり、読めるようになるために必要な基礎。
・筆記体では単語の文字を連結させるので、綴りを覚えたり、動きに集中しやすくなる。
・書字障碍に苦しむ子どもにとっても効果がある。

フランスやオランダの小学校では、まず字を手書きすることに重点が置かれているようだが、スウェーデンは違う。今年2月に大手新聞に載った記事によると、文字の手書きに時間を割いていた小学校が、教育庁から「3年生にはもっとデジタル教育の時間を増やすように」と命じられたらしい。

「スクリーンを使わない授業から後退させられた」
Skola tvingades backa från skärmfria lektioner - DN.SE

教育庁が定めたデジタル教育に関する規則には具体性がなく、学校側は裁量の余地ありと判断していた。
校長はスウェーデン教育庁に対し、小学校低学年教育にデジタルツールを導入することの科学的根拠を問いただした。だが、その返答を聞いても、児童の知的発達が改善できるとは思えなかった。
「教育庁は何も考えずにカリキュラムに入れているような気がします。それなのに、就学前クラス(0学年)にもデジタルツールを使うようにと要求しているんです」

それでも学校側は、デジタル写真を撮る時間を授業に組み入れたそうだ。
それよりも、新聞記事の写真にあるように、色とりどりのペンと書体で「詩を描く」授業のほうが児童の言語能力や創造性を伸ばすのではないだろうか。

ディスレクシアの子供だけでなく、移民家庭で育つ子供たちにも、学校で手を使って字を書くことの意味は大きいと筆者は考える。
スウェーデンでは移民ギャングによる犯罪が2013年から急増しているが、デジタル重視の教育にも遠因があるような気がする。

*有意義なブログ記事を書いてくださった三島菜央さんとモンテッソーリ大人と子どものスクールさんにお礼を申し上げます。




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