エレフエ(電子リコーダー)を試奏してきたよ!!
「エレフエ」をご存知でしょうか?
台湾のメーカーが開発し、日本ではファインアシストが販売元となっているリコーダーを元にした電子管楽器です。
詳細な仕様は販売元のサイトをご覧ください。
楽器は島村楽器などで展示、販売もしていて、先日見かけたので試奏してきました。
その試奏リポートを書いてみました。
電子管楽器として評価するか、電子リコーダーとして評価するかでも評価は変わるでしょうが、ここではリコーダーよりの評価をします。
【総評】
アナログなリコーダーと性能的に比較するのは意味がない
1万円ちょっとのデジタル管楽器として遊べる楽器と思えば十分あり
リコーダー慣れしている人にはつらい問題点がある
【インプレッション】
1.本体
写真をみればわかるように、ソプラノリコーダーサイズの四角い本体です。特に重たくはありません。
2.指穴
指穴の間隔はソプラノリコーダーとほぼ同じです。ただ、右手小指のセンサーも上面にほぼ直線上にダブルホールが作られているので、やや小指は伸ばす必要があります
またサムホール(左手親指)のセンサーは2つあって、センサー2つ覆うと閉じたことに、1つだとサミングした状態、覆わないと開いた状態と判断されますが、斜めに2つのセンサーが並んでいるため、親指を引く方向でサミングすることになります。普段サミングを指を回転などさせて行っている人には、うまくサミングに判定されるようにするのに慣れが必要です。(うまく指を回転させれば可能ですが、指位置の安定と少しコツが必要です)
3.息とボリューム
アナログなリコーダーではありえない、息の圧力で音量の増減しつつ音程は変化しない、が可能です。(逆にそれは表現の幅をせばめもするにせよ)
試奏環境のせいでどのくらい小さな息の量までセンサーが働いているかはわかりませんでした。
ただ息のセンサーは鋭敏ではないので、ゆったりした音量変化には使えますが、ある程度細かな音や急激な変化には追いつきません。さらに変化もワンテンポずれた感じで働くのでその意味では限定的です。
4.指遣い
基本的にリコーダーの指遣いで2オクターブと2度の範囲で音がでます。
ただ、まっさきに書きます!!!
1オクターブ目のシのフラットが01-34----ででません!!!
01-345--、01-34-6-、0-234---で出るのに!!!!
これは相当つらいです。慣れといわれればそれまででしょうが、致命的に近いです。。。
開発者をつかまえて小一時間問い詰めたい案件です!!
一方で、アナログなリコーダーの鬼門である、一番高いドのシャープが0/1-3-4-67ででます。
そして、楽器のサイトで配布されている指遣い表以外の替え指も相当ききます。
0123-56--、0123-567のどちらでもファのシャープ(残念ながら01234-6-ではファがでない01234-67しかでない、出れば無敵だったのに、、、
012-4567でソがでたりする。01-3456-でラとか。0-23----のシ、-123----のドも。
0/1234567で2オクターブ目のレがでるけど、0/1234-67でミがでないのも超残念。これもでたら無敵だったのに、、、(試した時間が短かったので0/1234567/や0/1234-67/を試し忘れた、、、だからどこか抜け道あるかも、、、
なので、指遣い表だけでなく、すべてのパターンを調べて、どの指遣いでどの音がでるかをチェックする必要がありそうです。。。
5.反応速度
電子楽器なので、息と指のタイミングさえあってセンサーが反応すれば、音がでます。
音が裏返るといった心配がありません。でもタイミングがずれたりわずかな指のずれでちゃんとでなかったり音が異なったりします、当然ですが。。。
息のセンサーが反応するように吹かないといけないので、あまり硬い短いタンギングだと反応がうまくいかないことがあります。また反応のタイミングと指と一致させないとだめなので、とても速いパッセージをタンギングで区切るのには慣れが必要です。ずれると音がでなかったり、ガリッと異音がでることがありました(これは試奏環境のせいかもしれませんが)。すごく速いパッセージはスラーのほうが確実です。
6.トランスポーズ
上下半音単位で1オクターブずつトランスポーズできます。
つまりモダンピッチテナーからモダンピッチガークラインまで、それぞれ2オクターブと2度の音域で出せます。
ヴィヴァルディのフラウティーノ協奏曲をソプラニーノリコーダー音域で指を窮屈な思いせずに、さらに高音で音が裏返る心配せずに速いパッセージを吹けます(あくまで電子音ですけどね)。
【良い点、悪い点】
あくまで個人的な感想ですが。
1.良い点
13,000円程度をどう思うかはあるでしょうが、お手軽にヘッドホンで楽しめて、内蔵で10音源、MIDI接続も可能で、息の強さで音量の変化もするデジタル管楽器だと思えば、十分ありなんぢゃないでしょうか。充電してあれば本体だけで音も出せますし。
上下1オクターブ、半音単位でトランスポーズできるのもありがたいでしょう。
そして電子楽器なので当たり前ですが、音程は指遣いに一致した音がその音程ででます。音量を変化させつつ同じ音程が出るのはアナログなリコーダーにはない点です。
そして息のタイミングと指遣いさえあっていればその音がでる、というのはうれしいです。
2.悪い点
あくまでもアナログなリコーダーではないので、上の良い点の裏返しなどが悪い点です。
意図的に音程を微調整(指や息で)はできません。フラットマンとかグリッサンドは無理です。
すっごく速いパッセージをタンギングで区切ろうとしても息のセンサーが追いつかないです。32分音符レベルのディミニューションをタンギングで吹こうとはしないほうがよいです、スラーしてください。
息のセンサーはそれほど鋭敏でないので、どうしても変化にワンテンポ遅れを感じます。
そして、決定的なのが上でも書いたように、シのフラットが01-34---ででない!!
0-234---。01-345--または01-34-6-でないとでません!!これはけっこう無理!!
【楽器として総評再び】
きわめてありきたりな結論を書いておきます。
デジタル楽器としての息と指のセンサーがちゃんとタイミングが一致すれば確実にその音がその音程で変化なく出ること、と、アナログ楽器でのこまかな音質変化、音程変化などができないことをどういうバランスで評価するかで使う人、使い方を選ぶでしょう。
あくまでもアナログなリコーダー的なものを求める人には無縁な楽器となるでしょうが、シーンに応じた柔軟な使い道を考えついたり、妥協ができる人は試してみるとよいでしょう。
うまく有名人、有名ミュージシャン、インフルエンサー(死語)とか巻き込んで宣伝すればそこそこ認知できそうな気はするけれど、って感じの楽器でした。。。
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